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『プロメア』前知識なしの楽しみ方。面白さは「熱さの対比」にあり?

マグミクス / 2019年6月14日 17時20分

『プロメア』前知識なしの楽しみ方。面白さは「熱さの対比」にあり?

■燃やす側と消す側の対立、でも「無益な殺生をしない」

 2019年5月24日から全国公開されたアニメ映画『プロメア』は、強烈すぎる作中の必殺技「滅殺開墾ビーム」がTwitterトレンド入りするなど、話題となっています。同作品は『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』などを手がけたTRIGGER制作の劇場アニメで、「ぴあ映画初日満足度ランキング」1位を獲得しました。

 同作の舞台は、炎を操る人種「バーニッシュ」の出現をきっかけに「世界大炎上」が起こり、世界の半分が消失しています。それから30年、バーニッシュのなかでも一部の攻撃的なバーニッシュが「マッドバーニッシュ」を名乗り、対バーニッシュ用高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」とぶつかり合うというのが、ストーリーの軸になります。

 まず目につくのがポップな色調。炎を操るバーニッシュと火消しの話ですが、単純な赤と青は使われていません。およそ炎らしくない色で炎を演出しています。でも映画を見ると、それが炎だというのはよくわかるようになっています。

 そしてバーニッシュとバーニングレスキューのやりとり。「燃やす側」と「消す側」、両者の信条、信念、野望がぶつかり合うとても熱いシーンです。バーニッシュはカラフルな炎を使って燃やすのに対し、バーニングレスキューは水と氷を使うという対比も、視覚を刺激します。

 ここで大事なのは、両者とも無益な殺生をしないところ。攻撃的とはいうものの、人を直接傷つけたり、殺したりということはしません。レスキュー側は救命消防隊なので、まずは火消しと人命救助が最優先です。

 両者がそれぞれ求めるのは、マッドバーニッシュ側は目標を放火し逃げること、レスキュー側は火を消しマッドバーニッシュを非殺傷で捕らえることとなります。もちろん、画面狭しと大暴れする彼らの高機動アクションは映画の見どころのひとつです。

■「言葉による戦い」もさらに加熱

主人公と対立するマッドバーニッシュのリーダー、リオ (C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 もう一つの熱いポイントが、セリフの掛け合いです。物語序盤は軽い掛け合いから始まりますが、終盤にかけて全ての裏の事情まで明らかになるにつれて、主義主張が言葉となってぶつかり合い、加熱していきます(同作品の脚本のひとり、中島かずきさんは「劇団☆新感線」の脚本で熱い物語を多く手がけられています)。

 キャラクターに命を吹き込むキャストたちの演技も迫真です。過去に『天元突破グレンラガン』をご覧になった方は、ラスボス・アンチスパイラルの必殺技「インフィニティ・ビッグバン」を叫んだ時の上川隆也さんの声を思い出して下さい。今回はメインの3人のうちひとりが、それに匹敵する絶叫、脳みその血管が切れそうな絶叫を披露してくれます。

 作品の「熱さ」を盛り上げるのが、愚直なまでに真っ直ぐな主人公・ガロ。バーニングレスキューの新人で、バーニッシュが起こした火災で助けられたことからバーニングレスキューを目指した青年です。とにかく熱くてバカなところは、TRIGGER作品の主人公らしい設定です。

 彼のライバルキャラである、マッドバーニッシュのリーダー・リオは、対照的にクールで美少女と見紛う中性的な容姿をしています。対決するガロとリオの関係性がどうなっていくかも、見どころのひとつです。

 前知識なしでも、「熱さ」や「色彩」「主義・主張」など、いろいろな対比を楽しめる作品。主人公のガロ自身も「火消しでありながら、魂は燃やす」など、対比できるものを探す楽しみもある作品です。

(マグミクス編集部)

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