1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

何でもアリの平成仮面ライダー その根底に「不変の設定」と石ノ森章太郎の「魂」?

マグミクス / 2019年6月20日 19時20分

何でもアリの平成仮面ライダー その根底に「不変の設定」と石ノ森章太郎の「魂」?

■もはや「何でもあり?」な平成ライダーたち

 2000年の『仮面ライダークウガ』から現在放送中の『仮面ライダージオウ』までの平成仮面ライダーシリーズ20作品は、原作者である石ノ森章太郎先生が1998年に亡くなった後に始まっています。それでも、原作者の手を離れても、20作品にわたって受け継がれている石ノ森先生の精神があるのです。

 仮面ライダーのイメージとして挙げられるものは、昆虫をモチーフとし、複眼と触角とクラッシャーと呼ばれる牙を有したデザイン、そしてバイクを駆る改造人間……という設定でしょうか。いま挙げたのは仮面ライダー1号と2号の特徴ですが、これら全てを満たしている平成ライダーは存在しません。

 平成ライダーたちは改造人間でもなければ、昆虫がデザインのモチーフではないものがほとんどです。現在放送中の『ジオウ』は時計がモチーフですし、『仮面ライダー鎧武』はフルーツと鎧がモチーフです。

 さらには、電車に乗る『仮面ライダー電王』や車を運転する『仮面ライダードライブ』、複眼のない『仮面ライダー響鬼』や『仮面ライダーエグゼイド』といった作品も登場しました。

 SNSなどでは「何でもあり」とすら言われているように、平成ライダーたちは毎年新作が発表されるたびに、その設定やデザインをめぐってファンの間で議論が起こっています。

 しかし、石ノ森先生自身の手によって、従来のイメージとは違う仮面ライダーのデザイン画がいくつも描かれています。カタツムリをモチーフとしたものや、左右の側頭部からチューブが伸びている『仮面ライダーX』のデザイン案、後頭部が毛で覆われている『仮面ライダーアマゾン』のラフデザイン、さらには上半身に仮面ライダーの顔が配されたデザイン案も存在しています。

■仮面ライダーも敵も、その力の根源は同じ

大人が装着できる変身ベルトとして、バンダイから発売された『仮面ライダーW』の「アクセルドライバー」。作中で使用されたUSBメモリ状のデバイス「ガイアメモリ」も再現 (C)2009 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

 残されたさまざまなラフデザインは、石ノ森先生自身が従来のイメージにとらわれることなく、新たな発想で仮面ライダーを創造していた記録ではないでしょうか。多彩な平成ライダーのデザインは、固定観念に囚われない、石ノ森先生の精神を受け継いだものと考えられます。

 見た目や基本設定がそれぞれ大きく異なる平成ライダーたちですが、実は第1作目の『仮面ライダー』と通底している大きな要素が存在します。それは「仮面ライダーと敵怪人の力の根源が同じ」という点です。

 平成ライダー作品を数多く手掛けた東映の白倉伸一郎さんは、この要素のことを「同族同士の争い」と表現し、『仮面ライダー』の根底にある特徴としています。仮面ライダーも、彼が戦う敵の怪人も、悪の組織ショッカーによって改造された存在です。平成ライダーはこの仮面ライダーの基本設定をとらえ直し、仮面ライダーと敵怪人の力の根源は同じ、という設定を柱にしています。

 白倉さんが直接関わっていない『仮面ライダー剣』や『仮面ライダーW』、『仮面ライダーオーズ/OOO』『仮面ライダーウィザード』といった作品でも、この要素は徹底されています。また『W』や『オーズ/OOO』などの作品では、ライダーも敵も、USBメモリやメダルといった共通のアイテムを使用しています。アイテムを用いることで、「力の根源が同じ」という設定をわかりやすく表現しているのではないでしょうか。

 斬新なデザインや設定にさまざまな意見が寄せられることが多い平成仮面ライダーですが、昭和の仮面ライダー1号から変わらない設定要素と、石ノ森章太郎先生の精神を確実に受け継いでいるのです。

※本文を一部修正しました。

(森谷秀)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください