『FF』「防御力」ってそもそも何? 『ドラクエ』「守備力」との違いは? RPGのナゾ
マグミクス / 2023年5月4日 21時25分
■「防御力」とはそもそも何なのか!
RPGでHPや攻撃力と並ぶ大事なステータスとなる「防御力」。防御をする能力…とひと言で言うのは簡単ですが、ゲームにおける防御力が具体的に何を指すのかを考えてみると、実はタイトルによって千差万別であったりします。数々の名作における、防御の概念を深堀りしてみましょう。
●『ウィザードリィ』防御力を上げれば人も戦車級の頑丈さに!?
1981年にアメリカのサーテック社からPCのApple IIで発売されたコンピューターRPGの金字塔『ウィザードリィ』では、防御力はAC(アーマークラス)という指標で表されており、低ければ低いほど防御力に優れていることを示します。
説明書には、ACが-10(最高に低い=防御力が最高の状態)になった冒険者の頑丈さを示すものとして、その隣に戦車が並んでいるイラストが掲載されました。
ACという語はテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下、D&D)」にちなんだものと思われますが、「D&D」では敏捷度の一部がACに反映される(=素早さが高いと防御力も高くなる)のに対し、『ウィザードリィ』におけるACは防具の性能によってのみ決まる仕様でした。
唯一の例外であったのが上級職の「忍者」で、忍者だけは「武器・防具を何も身につけていないと、レベル上昇にともないACが下がっていく」という特徴を持っていました。忍者にとってのみ、ACが「身のこなし」を兼ねているとも言えそうです。
●素早さが守備力に反映された『ドラクエ』初期作
「守備力」という用語でおなじみの「ドラゴンクエスト」シリーズ。初期の作品は「素早さの1/2が守備力に反映される」仕様となっており、盾や鎧などの重装備を扱えない『ドラクエIII』の武闘家も、持ち前の素早さでそれなりに高い守備力を持っていました。
その代わり、勇者や戦士だけが身につけられる重装備には呪文や炎・氷の息などのダメージを軽減する効果を持つものもあり、そうした副次効果で差別化が図られていました。
素早さで守備力が底上げされる仕様は『D&D』の影響を感じさせますが、『ドラクエV』からは新たなステータス「身の守り」が登場し、素早さは被ダメージの軽減に影響しなくなっています。
また、『ドラクエIX』からは盾で敵の攻撃を防ぐ「盾ガード」という概念が新たに登場しました。いわゆる身のこなしは「身の守り」、盾を使う技術は「盾ガード」で表現されていると考えると、今の「ドラクエ」における守備力は、シンプルに防具の防御性能と考えられそうです。
■16回攻撃を16回防御!?激しい攻防が繰り広げられる『FF』
『ファイナルファンタジーII』ピクセルリマスター
「ファイナルファンタジー」シリーズは作品によって防御のシステムが異なりますが、『FFIII』と『FFIV』は防御に「回数」の概念が設定されていました。攻撃にも同様に回数の概念があるので、防御できる回数が多いほど受けるダメージが少なくなります。
見方を変えるなら、1ターンの間に何度もの攻防が繰り広げられているといえます。もしかしたら『FF』の1ターンは、『ドラクエ』の1ターンとは経過時間が違うのかもしれません。
変わりダネなのは『FFII』で、同作では防御ではなく回避に回数の概念が設定されていました。回避の回数が多いと石化などの厄介な状態異常を無効化できたりするので、大事なステータスです。
ファミコン版の『FFII』は戦闘でのコマンド選択時に「たたかうを選択→次のキャラのコマンドをBボタンでキャンセル→もう一度たたかうを選択…」を繰り返して武器の熟練度を一気に上げる有名な裏技がありましたが、実はこの裏技を使うと敵から攻撃を食らう回数が減って回避率熟練度が上がりづらくなり、その結果としていつまでも敵の状態異常に苦しめられてしまう…というデメリットもありました。
●”物理吸収”ってどんな現象なの!?
その他の有名シリーズも軽くチェックしてみましょう。『ポケモン』は「防御」「素早さ」「回避」がそれぞれ別々のステータスとして存在しています。そしてポケモンたちは当然防具なんてものは身につけませんから、このシリーズにおける「防御」は…もしかして、”皮膚の固さ”みたいな意味だったりするのでしょうか。
アトラスの名作RPG『真・女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズでは物理攻撃も属性のひとつとしてとらえられており、守備力がどのくらいであるかに関係なく物理攻撃を無効化/反射/吸収することもできます。
「物理反射」はなんとなくイメージもしやすいですが、斬っても突いてもまったく効かない「物理無効」と、物理攻撃に対してダメージを受けるどころかむしろ体力が回復する「物理吸収」はどのような理屈なのでしょうね? そんな芸当ができるのも、本作の敵が”モンスター”ではなく”悪魔”だからなのでしょうか。
「あるゲームにおける”防御力”は、具体的に何を意味する数値なのか」は、基本的に考える必要がない要素です。しかし、あえて考えてみると、世界設定やキャラクターたちへの解像度が高まってプレイがより楽しく感じられる…かもしれません。
(蚩尤)
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