ニュータイプ専用ガンダム「アレックス」は高性能だけど使いにくい? もしアムロに渡っていたら
マグミクス / 2023年5月2日 6時25分
■アレックスはZガンダムより推力が高い
アニメ『機動戦士ガンダム』は、作りこまれた設定と、数多く発表された作品群がお互いを補完する、大河ドラマ的な重厚さを持つ作品です。アニメ『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場した「ガンダムNT-1」通称「アレックス」は、『機動戦士ガンダム』の主人公である、アムロ・レイ向けに調整した「ニュータイプ用ガンダム」として、放映当時、話題を呼びました。
アレックスは、元になったRX-78-2「ガンダム」と比較して、大幅に性能が向上した機体です。ジェネレーター出力は「ガンダム」の1380kwから、1420kwに、センサー有効範囲は5700mが5900mと、この部分は大差ありませんが、推力において大きな差があります。
ガンダムの総推力は5万5500kgですが、アレックスは17万4000kgと3倍以上。数字が高い方が機動性で優れる「推力重量比」で見ても、ガンダムが0.925、アレックスが2.4ですから、機動性での優位は明らかです。
アレックスの推力は、後の新型機である、Zガンダムの11万2600kg(推力重量比1.807)、強化型ZZガンダムの12万4800kg(推力重量比1.743)、νガンダムの9万7800kg(推力重量比1.552)をも上回っています。
つまり、アレックスはモビルアーマーに近い機動性を持っていると考えられます(ちなみに、モビルアーマーと比較しても、エルメスが推力重量比2.211でアレックスに近いだけで、他の機体は概ね下回ります)。
他にも全天周囲モニターやマグネット・コーティング、腕部に内蔵式ガトリングガンも採用されており、一年戦争時のモビルスーツとしては破格の高性能です。
こんな高性能機が、最強のパイロットであるアムロに渡ったとしたら、どうなったでしょうか。筆者は「後付設定も含めてのガンダム」だと考えますので「後付設定の存在」を前提として、どうなったのか考察してみたいと思います。
時系列としては、アレックスがサイド6に到着したのが0079年12月11日。ホワイトベースがサイド6を出港したのが12月5日ですから、ホワイトベースがサイド6を出港した後、アレックスを取りに行けば、12月10日には引き渡されていたでしょう(あるいは、地球上でのテストを切り上げて、ジャブローに輸送していたら、もっと早かったかも)。
ホワイトベースは12月24日のソロモン攻略戦まで、大きな戦闘に参加していませんから、ここで引き渡していたら、アレックスの実戦投入は12月24日になったのでしょうか。
『0080』の時系列も確認してみましょう。ジオン軍のサイクロプス隊が、サイド6でアレックス奪取を狙ったのが12月19日ですが、これは失敗して部隊は壊滅し、バーニィがザクII改でアレックスに立ち向かったのが12月24日です。
つまり「アレックスは13日間サイド6にいた」けど「大きな任務がなく、ソロモン攻略戦への参加に備えていたホワイトベースには届けられていなかった」ことになります。
この時期、アムロの成長により、ガンダムの性能は限界に達しており、ソロモン攻略後の12月25日ごろにマグネット・コーティングを行って、急場を凌いだくらいですから、アレックスの到着は、切実に必要とされていたはずです。
つまり「届けてほしいけど、アレックス側が届けられる状態になかった」のではないでしょうか。なお、ソロモン戦から星一号作戦まで、わずか4日間ですが、ガンダムは実績がないマグネット・コーティング改造を終えて実戦参加しています。
このように宇宙世紀の兵器開発は現実と違い、非常にスピード感がありますから、アレックスが13日間(マンガ版では地球でもテストしていましたから、もっと長いと思われます)かけても「完成」しないのは、機体の側に大きな問題があった可能性が高いです。
■クリス「機体が鋭敏すぎて扱いにくい」
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場した、「RX-78NT-1 ガンダムNT-1」。画像は「ROBOT魂 機動戦士ガンダム0080 [SIDE MS]RX-78NT-1 ガンダムNT-1 ver. A.N.I.M.E. 」(BANDAI SPIRITS)
アレックスに搭乗したクリスは「機体が鋭敏すぎて扱いにくい」と言っていました。こればオールドタイプであるクリスが、ニュータイプ用ガンダムの性能に対応できない描写と考えられてきましたが、それだけではなく「操作性に問題があった」とも考えられます。
実際、クリスはテストパイロットですから、それなりの腕を持っていたはずです。しかし彼女が操縦するアレックスは、実戦経験をほぼ持たないバーニィの、性能で大きく劣るザクIIに接近戦を挑まれ、相討ちになっています。
アレックスは「高すぎる推力」「採用例のない全天周囲モニターやマグネット・コーティング」など、開発でトラブルが生じる要素が多くあると考えられます。ビームライフルも、出力を向上させた新型ライフルとなっており、トラブルが起こる要因でしょう。
元になったガンダム自体は、9月18日から実戦投入され、特に大きなトラブルも起こしていません。つまり、アレックスの「当時の技術力を越えた部分」がトラブルを続出させ、実戦投入できる状態ではないと判断されていた可能性が高いです。
実際、推力を7万500kgに抑えた、ガンダム4号機と5号機は実戦投入を実現しており、大きなトラブルもないようです。アレックスの後に開発された「ペイルライダー」は推力10万3200kgですから、アレックスの大推力が実用化を阻んでいたと考えられます。
これほどの推力重量比を持つ機体に、AMBACシステムの性能が追い付いておらず、例えば「宇宙に出ると、思ったように動かせない」(『機動戦士ガンダム0083』のガンダム試作1号機が「宇宙用」ではないので、上手く動かせないという描写がありましたが、あのような状態です)といった問題があったのかもしれません。
機械的要因によるトラブルが原因であれば、いかにアムロが凄腕とは言え、機体性能を引き出せなかった可能性も高いでしょう。
ネット上では「アレックスにアムロが乗っていれば、シャアのジオングを簡単に撃墜できた」とよく言われています。アレックスは上記の通り、時系列を見れば、ソロモン戦に間に合う機体です。
ですから、言われている性能が発揮できるなら、ジオングの撃墜以前に「ビグ・ザムに簡単に接近できて、スレッガーは死ななかった」「シャアのゲルググとララァのエルメスと交戦しても、ゲルググだけを撃墜でき、歴史が変わった(ここでシャアが戦死するので、ジオングとの対戦は発生しない)」という可能性はあるでしょう。
とはいえ、アレックスと同等の推力重量比を持つ『0083』の各種ガンダムの3~4年後に開発されたガンダムMK-2の推力重量比が、1.5と抑え気味であることを考えても、大推力を備えたモビルスーツ開発は、簡単ではなかったというのが筆者の推察です。
アムロは「アレックスは扱いにくいので、マグネット・コーティングをしたガンダムの方がいいです」と言ったかもしれません。
(安藤昌季)
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