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市場では「衰退」といわれる「18禁ゲーム」 実は主戦場が変化していた?

マグミクス / 2023年5月6日 21時10分

市場では「衰退」といわれる「18禁ゲーム」 実は主戦場が変化していた?

■2002年度には1050万本が販売

 日本で初めて登場した18禁ゲームは、1981年にハドソンがシャープのパソコンであるMZ-80K・MZ-700用に発売した『野球拳』とされています。それ以来40年以上の間、数多くのタイトルが次々に送り出されており、時に『Fate/stay night』のように、後に多くのシリーズの礎(いしずえ)となった作品も生み出されています。

 しかしながら近年では、18禁ゲームは衰退の傾向にあるともいわれています。それは事実なのでしょうか。

 18禁ゲームの審査を行なっているコンピュータソフトウェア倫理機構によれば、最も多くのパッケージが販売されたのは2002年度の1050万本となります。

 同年に発売されたタイトルで有名なものといえば、Leaf(アクアプラス)の『うたわれるもの』や『腐り姫』、虚淵玄氏がシナリオを担当した『鬼哭街』(ニトロプラス)、超個性派ヒロインのタカさんが登場する『The ガッツ!』、後にシリーズ化され複数回のTVアニメ化も行われた『D.C. ~ダ・カーポ~』、アリスソフトの『妻みぐい』に『超昂天使エスカレイヤ―』など、まさに多士済々の勢いです。

 個人的に振り返っても、この時代が一番盛り上がっていた時期だったと思えます。特にこの時期は日本の人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代がまだ20代後半~30代前半であり、活力に満ちていた上に社会人として働いているため購買力も高かったことから、活況につながっていた可能性が高いでしょう。

 そこから19年後の2021年度の販売数はパッケージが236万本、PCのダウンロード数が357万本、スマホなどの携帯端末ダウンロード数が4万9778本と、合計で600万本弱となり、本数だけを見れば4割減少した形となります。

 日本人の平均年齢が48歳をこえたことと、日本経済の停滞を考えれば市場の縮小はなんとなく想像できるかもしれませんが、実はここには登場しない数字も存在しています。

 それは、「同人タイトル」です。

■海外で存在感、「同人タイトル」

近年では18禁ゲームの人気シリーズ作がスマートフォンゲームやコンシューマゲームなどにも進出するケースが増えている。画像はスマホゲーム『うたわれるもの ロストフラグ』  (C)AQUAPLUS

 同人タイトルはソフトウェア倫理機構の審査対象外であり、統計には計上されていません。しかし現状では大きな存在感を示しており、例えばNEKO WORKsの『ネコぱら』シリーズは2021年時点で500万本以上の売り上げを叩き出しています。購入者は主に北米と中国に集中しており、日本国内の売り上げは1割以下とされています。18禁ゲームの主戦場が海外へと変化したことを示す好例と言えるでしょう。

 ちなみに『ネコぱら』は当初18禁タイトルの販売が禁止されているSteamでの展開となりましたが、公式サイトで有償パッチを購入することにより規約をクリアしています。

 他にも存在感を持つタイトルは複数存在しており、18禁ゲームの主戦場は同人へと移行しつつあるのかもしれません。最近18禁ゲームの元気が無いという話は、国内だけを見た場合に限られるのでしょう。

 また、18禁ゲームの状況が見えづらい理由として挙げられるのが、情報の入手手段が雑誌からTwitterなどのSNSへと移行したためと考えられます。SNSでの情報発信は便利なものですが、18禁コンテンツはセンシティブとされ情報を表に出しづらい傾向があります。うかつに画像などの情報を出せばアカウントの凍結やシャドウバンの対象となるため、情報の拡散は難しいでしょう。

 かつては雑誌「コンプティーク」の袋とじでなどで特集されていた18禁ゲームでしたが、2000年ごろには膨大な数の雑誌が刊行されており雑誌コーナーの一角を占拠する勢いでした。しかし現在では「BUGBUG」や「メガストア」などごく一部が刊行を続けている状況となっています。

 ゲーム自体もパッケージからダウンロード主体となり、目に見える形では減ったように見えてもおかしくはありません。しかし実態は、今なお18禁ゲームは一定の人気を集めており、世界規模で存在感を発揮し続けているといえるでしょう。

※参考資料:コンピュータソフトウェア倫理機構公開情報

(ゆうむら)

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