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『逆襲のシャア』ジオンのパイロットがアクシズを押し戻そうとした「本当の理由」は?

マグミクス / 2023年5月6日 6時10分

『逆襲のシャア』ジオンのパイロットがアクシズを押し戻そうとした「本当の理由」は?

■「サイコフレームの効果」だけでは説明がつかない?

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』には数多くの名シーンがありますが、物語終盤、アムロ・レイのν(ニュー)ガンダムをはじとするモビルスーツたちが、地球への落下コースに入ったアクシズの破片を押し戻すシーンは作中屈指の名場面といえるでしょう。

 次々と飛来する地球連邦軍のモビルスーツだけでなく、生き残ったネオ・ジオン軍のギラ・ドーガまでもがサイコ・フレームの光に導かれるようにアクシズへ取り付いていくシーンは、驚きとともに深い感動をファンにもたらしました。

 しかし当然のことながら疑問があります。なぜアクシズを落とそうとしたネオ・ジオンのパイロットが、アムロの行動に同調したのでしょうか。

「地球がダメになるかならないかなんだ、やってみる価値はありますぜ!」

 このとき、ネオ・ジオンのパイロットは、理由をこう語りました。一見すると非常に良いセリフですが、少し冷静に考えれば「いやちょっと待ってくれ。ついさっきまでアクシズを地球に落とそうと戦っていたのはあなたじゃないのか?」と、ツッコミを入れたくなるのが自然です。

 νガンダムと、シャアが搭乗するサザビーの脱出ポッドの一部を構成していたサイコ・フレームには他者の思考を共鳴させる力が備わっているため、もしかしたら単にアムロの思考に影響されて、同じ行動を取っただけなのかもしれません。

 小説版『逆襲のシャア』では、シャアがサイコ・フレームを使い人類全体に謙虚さを教示しようかと語り、ナナイが冗談交じりに地球全体をサイコ・フレームで包めば可能と答えています。数人のパイロットがそれまでの立ち位置を変えてアクシズの押し返しに参加するのはありえないことではないのでしょう。

 しかし、命令に従って行動していた軍人が、ついさっきまで殺し合いをしていた相手と同じ行動を取ることができるのかというと、いくらサイコ・フレームの力があると言っても難しいと思われます。

 もしかしたら、現場の兵士、少なくともアクシズの押し返しに参加したパイロットは地球の環境を破壊するのに内心では反対していたのかもしれません。

■地球を破壊することに「罪悪感」が?

落下するアクシズを押し戻したのはアムロが搭乗したνガンダムなどのサイコ・フレームがきっかけといわれているが……画像は「MG『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』RX-93νガンダム Ver.Ka」(BANDAI SPIRITS)

 軍人は命令に忠実な存在です。自分が死ぬとわかっている命令であっても従う事例は珍しくありません。アムロをはじめとする押し返しに参加した地球連邦側の人間の意志が伝わったからといって、アクシズを落とすための作戦に参加していたネオ・ジオンのパイロットが、即座に押し返しに参加するのは難しいでしょう。

 しかし、実は彼らがアクシズ落としに反対していたとなれば話は別です。地球の環境が破壊され、人が住めなくなれば新たに多くの人間が宇宙へと上がるはめになり、大きな混乱がもたらされるのは目に見えています。住居や食糧の不足にも悩まされるでしょう。『逆襲のシャア』を手掛けた富野監督がのちに作った『Gのレコンギスタ』では、宇宙世紀は結局破滅的な最期を迎え、人が人を喰う世の中となっていたことが示唆されています。

 未来は定められてしまっていますが、もし時代の転換点となるアクシズ落としの現場にひとりの人間として存在していた場合、喜んで地球の破壊に手を貸せるかというと、大きな迷いが生じるのは当然でしょう。もしかしたら、恐怖を感じているかもしれません。

 他者の意志に共感するのは、何かしらの共通する意思や考え、人間性がどうしても必要となります。アクシズを押し返して地球を救おうとする意志に共感したということは、ネオ・ジオンの兵士のなかに「地球は大切なものだ」と感じる何かがあったのだと考えるのが自然です。「やってみる価値がある」という言葉からも、それが裏付けられているでしょう。

 自分の意志を押し殺し、命令に従ってアクシズ落としに参加していた兵士であれば、目の前で「地球を救う戦い」を目の当たりにすれば喜んで参加してもおかしくはありません。

 もしかしたら、ニュータイプがサイコ・フレームを使用し共振を行えば、人はひとつになれるという演出のために、ネオ・ジオンの兵士も推し返しに参加しただけなのかもしれません。それでもなお、筆者は兵士の心のなかに眠っていた意志や心が彼らを突き動かしたのだと、思わずにはいられないのです。

(ゆうむら)

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