どの曲が好きだった？ 「ドラゴンクエスト」思い出に残る名曲5選

■記憶に残る名曲の数々

　ファミコンで発売された『ドラゴンクエスト』シリーズは、故・すぎやまこういち氏により生み出された、美しい楽曲の数々でも知られています。記憶に残る名曲たちのなかでも、特に強い印象を残した5曲を紹介します。

●竜王（竜王のテーマ）

『ドラゴンクエストI』のラスボスである、りゅうおうとの戦いで流れる「竜王」は、スローテンポで重々しく、恐怖と威厳を併せ持つ曲です。冒険の末にりゅうおうの元へたどり着き、第一形態を倒してホッと一息ついた次の瞬間に現れる巨大な竜の姿ともに流れるこの曲は、多くの人の心に恐怖とともに刻み込まれていることでしょう。

　スーパーファミコン版『ドラゴンクエスト』で付け加えられたイントロには、まるでドラゴンの叫び声のような音も入っており、さらに恐怖を募らせるようなバージョンアップが施されています。

　その印象の強さから、「竜王」は後のシリーズでもたびたび登場しており、ゲームボーイ版ではなんとオープニングに、『ドラゴンクエストIX』では「大魔王の地図」の竜王戦に使用されました。『ドラゴンクエストX』ではドラゴンクエスト誕生30周年記念イベント「竜王城の決戦」でグレードアップされた懐かしのメロディーを披露してくれています。『ドラクエ』シリーズが続く限り、竜王が関わる場面ではこの曲が使われ続けていくのでしょう。

●LOVE SONG 探して

『ドラゴンクエストII　悪霊の神々』で「ふっかつのじゅもん」を入力する画面で流れた曲「LOVE SONG 探して」も、当時のプレイヤーの間で人気を集めていた

『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』で「ふっかつのじゅもん」の入力時に流れるのが「LOVE SONG 探して」です。元の曲は当時アイドル歌手だった牧野アンナさんが歌ったイメージソングで、レコードやテープで発売された際には歌詞にゲームのヒントが含まれているという宣伝もあり、子供たちがこぞって買い求めました。当時としては稀なメディアミックス企画としても、特筆すべき存在でしょう。

　ペルポイの町の地下にいるアンナに話しかけるとBGMがこの曲に変化するギミックが仕込まれていましたが、スーパーファミコン版では残念ながら削除されました。『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』のWii版では、インストールおよびアップデート時にこの曲が流れるなど、その後も耳にする機会は多く、曲自体の人気もかなり高いものがあります。

●この道 我が旅

『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』のエンディングとして使われたのが「この道 我が旅」です。当時としては珍しく歌詞が設定されており、切なくも温かみのある旋律に合わせて紡がれる、少年時代を思い出させるようなノスタルジックな歌詞は、長い戦いの末に破壊神シドーを打ち倒した勇者たちの冒険の終わりを告げるにふさわしい名曲に仕上がっています。

　1991年版のTVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のエンディングとしても使われていますが、このときボーカルを担当したのは『帰ってきたウルトラマン』の主人公である郷秀樹を演じた、団時朗氏だったことも話題となりました。残念ながら団氏は2023年3月に亡くなりましたが、その歌声は今も多くの人の心のなかに残っています。

●冒険の旅

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のフィールドBGMとして使われたのが「冒険の旅」です。『I』『II』のフィールド曲はどちらかといえば寂しさや悲壮感が漂う楽曲だったのですが、「冒険の旅」はそれらの要素を含みながらも勇者たちが強大な敵に立ち向かう力強さをあわせ持っており、『ドラクエ』シリーズを代表する名曲として、オーケストラなどでもしばしば演奏されています。

　後のシリーズでも、『ドラクエX オンライン』のイベントBGMや、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』で魔道士ウルノーガを倒したのちのフィールドBGMとして登場しており、屈指の人気曲として今なお高い評価を集めています。

●序曲

　ファンファーレとともに始まる「序曲」は、『ドラクエ』シリーズの始まりを告げる曲として、極めて高い認知度を誇っています。『ドラクエI』が発売された1986年、子供たちがようやくの思いで手に入れたカセットをファミコンに差し込み、電源を入れて最初にこの曲が流れた瞬間、『ドラクエ』は成功を約束されたのではないでしょうか。ファンファーレとその後に続くメインメロディの行進曲はこれから自分たちは冒険に出発することを教えてくれる道しるべのようであり、そこから先に大きくたくさんの道が広がっていき、いまに続いているのです。

（ゆうむら）