5月9日は「ゴッグの日」 『ガンダム』初の水陸両用MSはもっと評価されるべき?
マグミクス / 2023年5月9日 6時25分
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■水陸両用MSの「一番手」として搭乗
本日5月9日は「ゴッグの日」。ゴッグとは『機動戦士ガンダム』に登場する水陸両用MS(モビルスーツ)です。それまでに登場した汎用型MSとは一線を画すフォルムと武装を持ったMSでした。
ゴッグの型番は「MSM-03」。初の水中用MSとして改良された「MS-06M/MSM-01 ザク・マリンタイプ」、ゴッグと次期量産型の座を競った「MSM-02水中実験機」の次にMSMシリーズの型番をもらっています。
この水中実験機との試験評価の結果、正式に初の水陸両用MS量産型となりました。一説によるとゴッグの量産はオデッサ作戦よりもかなり早い時期だったそうです。劇中でアムロ・レイがゴッグの名前を知っていたことを考えれば、つじつまが合う話でしょう。
水中と陸上の活動、その両方で活躍できるようにゴッグの兵装は固定武装だけですが、特殊かつ独特の発想のものがそろっています。
まずは腹部に搭載した固定式のメガ粒子砲が2門。一説には機外の水を冷却剤として用いる水冷式核融合炉を搭載したことで使用可能になったと言われています。ジオン公国軍の量産型MSでは初のビーム兵器。ただし威力はそれほど高くはないようです。
そして両手に装備された格闘戦用の爪「アイアン・ネイル」。通常のMSのような武器を持てるマニピュレーターでなく、近接戦闘に特化したこの爪は、以降の水陸両用MSにも引き継がれた伝統的な武装となります。
この他にも腹部のメガ粒子砲の横に装備された魚雷が2門(一説にはミサイルランチャー)。頭部には迎撃用の光線兵器「フォノンメーザー」。水中で機雷などをからめとるゲル状の物質を放出する「フリージーヤード」と、攻防両面に豊富な固定武装を持っています。
しかし、ゴッグの一番特徴的な武装といえば、水中用ゆえに与えられた強固な装甲とパワーかもしれません。アニメ初登場の際、水中から目的地に侵入する際に数発の機雷ならばものともせず進行し、陸に上がった後もそのパワーで地球連邦軍の戦車部隊を単独で翻ろうしています。
何よりもガンダムの新兵器である「ハイパーハンマー」を両手で受け止めるというシンプルな方法で直撃を防ぎ、その鎖を引きちぎるという方法で無力化しました。このままでは勝てないと判断してアムロはこの後一時後退するのですから、初戦のゴッグの活躍は十分な戦果を挙げたといえるかもしれません。
あのアムロを戦略的撤退に追い込んだという点だけを見ても、ゴッグの優秀さはもっと評価されてもいいと思います。
■当初「ゴック」とも呼ばれた? ふたつの名前を持つ「MSM-03」
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場したゴッグのバリエーション機、「HGUC 1/144 MSM-03C ハイゴッグ」(BANDAI SPIRITS)
今ではゴッグと誰もが呼称していますが、実は「ゴック」と呼ばれていたこともありました。確かに初登場時のセリフからはゴックと聞こえます。当時のシナリオなどにもゴックと表記されており、それに準じた書籍も多くありました。もっとも現在ではゴッグに統一されています。
これには諸説ありますが、メカデザインの大河原邦男さんのデザイン画では「ゴック」、作画用にキャラクターデザインの安彦良和さんが描いた決定稿では「ゴッグ」となっており、これが表記揺れの原因とする説がありました。ちなみに大河原さんの描いたデザインをより重量感のあるものに安彦さんがリライト変更した例として「MS-09 ドム」もあります。
ゴッグが正式名称になったことで問題となるのが、「MSM-07 ズゴック」、「MSM-08 ゾゴック」との関係でしょう。富野喜幸のラフデザインではゴックとなっており、ゴックシリーズという位置づけでした。同じくMSMナンバーを持つアッグシリーズと別のラインと考えると興味深い設定です。
ゴッグと言えば、史上初の可変MSであるという興味深い説が一部のファンから言われていました。腕部の収納などで水中用巡航形態になるからです。これには議論の余地がありますが、熱心なファンの間では揉め事に発展する可能性もある危険な話題かもしれません。
この水中用巡航形態を含め、形状が大きく変化したバリエーション機として「MSM-03C ハイゴッグ」があります。OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場しました。一部のファンには原型機のゴッグよりも人気のある機体です。
『0080』では多くのMSがリファインしたデザインとなっていますが、ハイゴッグだけは大幅にデザインを変えたことで名称も変えました。これにはデザイン担当の出渕裕さんが以前『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場した「AMX-109 カプール」のラインを意図的に加えたからと言われています。
ちなみにカラーリングも青系統に変わったハイゴッグですが、OVA『機動戦士SDガンダム Mk-IV』収録の「夢のマロン社『宇宙の旅』」で通常のゴッグと同じ茶系統の機体がジャブロー戦に参戦していました。さらにこれをSD化したものがカードダスにもなっています。
一部のファンには「ジオン水泳部」の愛称で親しまれている水陸両用MSは、もともとはスポンサーである玩具会社「クローバー」からのオーダーで1話登場のMSを増やしたことが原因ですが、結果的にそのことで現在のようなMSVが生まれたきっかけとなりました。
その一番手であるゴッグは登場回数の少なさからメジャーなMSとは言えないかもしれませんが、その活躍は記憶に残るほど鮮烈なものだったと思います。
(加々美利治)
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