【スペースハリアー】ありし日のゲーセンを「遊園地」に変えた、セガ体感ゲームの世界
マグミクス / 2019年6月30日 11時0分
■操縦桿と連動、筐体が動きまくる!
1985年にセガ(現・セガゲームス)からリリースされたアーケードゲーム『スペースハリアー』を復刻した、『SEGA AGES スペースハリアー』が2019年6月27日、ニンテンドースイッチ向けに配信開始されました。
『スペースハリアー』は、超能力戦士「ハリアー」となって、地平線の彼方から迫ってくる凶悪なドラゴンや一つ目のマンモスといった異世界のモンスターを撃ち落としていくという3Dシューティングゲームです。
復刻された『SEGA AGES スペースハリアー』は、ニンテンドースイッチのワイド画面に対応するほか、家庭用ゲーム機版の最終ボス「ハヤオー」の追加、アーケード筐体の雰囲気を再現する壁紙とブラウン管風の画面表示といった追加機能のほか、敵の弾以外の体当たりや障害物を退けるバリアをまとってプレイする「コマイヌ・バリア・アタック」モードも搭載しています。
一方、元祖『スペースハリアー』が登場した当時のゲーム体験は、画面の中だけではなかったのです。
当時の『スペースハリアー』は、モニターを備えた戦闘機コックピットのような大型筐体で、操縦桿の操作と連動して筐体そのものが動き、まさに全身でゲームに没入できるものでした(一部に、動かないタイプの筐体もありました)。
この『スペースハリアー』のような大型筐体を使ったゲームは、のちに「体感ゲーム」と呼ばれる一大ブームを築いていました。
セガから登場した体感ゲームは、『スペースハリアー』以外にも、オートバイ型の筐体にまたがって、左右に傾けながらプレイする『ハングオン』(1985年)、赤いオープンカーで多彩な景色のコースを疾走する『アウトラン』(1986年)、ジェット戦闘機に乗って敵の攻撃をかいくぐっていく『アフターバーナーII』(1987年)、左右方向にほぼ1回転する筐体を使った、宇宙を舞台とした3Dシューティング『ギャラクシーフォース』(1988年)などが絶大な人気を集めていました。
■心臓が高鳴るゲーム体験、すぐれたBGMも高揚感に
『ギャラクシーフォース』などのサントラと、『スペースハリアー』などのBGMのアレンジバージョンを収録したCD「S.S.T.BAND GALAXY FORCE」(ポニーキャニオン)
1980年代後半のゲームセンターの多くは、『スペースハリアー』などの体感ゲームをひときわ目立つ場所に設置していました。
筆者が初めてプレイした体感ゲームは『アフターバーナーII』でしたが、ぐるぐる回る地平線や揺れ動く座席に心拍数はみるみる上昇。次々と浴びせられる敵のミサイルを夢中でかわしながら誘導ミサイルをぶっ放していく爽快感は、遊園地のジェットコースターの楽しさをも上回っていました。
当時、一般的な筐体ゲームが1プレイ100円だったのに対し、体感ゲームの多くは1プレイ200円、『ギャラクシーフォース』にいたっては1プレイ300円もしましたが、それでも小遣いをはたいてプレイしたくなるほど魅力的な「アトラクション」であり、体感ゲームがあるというだけで、ゲームセンターという空間がワクワクするような魅力を放っていたのです。
また、セガの体感ゲームは、そのすぐれたBGMも多くのプレイヤーの記憶に残っているはずです。
軽快でメロディアスな曲が多い『スペースハリアー』、ドッグファイトを盛り上げるハードロック調の『アフターバーナー』、近未来を感じさせる電子音と、人間が叩いているかのような表情豊かなドラムサウンドが融合した『ギャラクシーフォース』などのBGMは、それ自体がファンの支持を集め、サウンドトラックやアレンジバージョンを収録したCDも次々と発売。セガのサウンドチームからなる「S.S.T.BAND」のライブ活動なども展開されました。
『スペースハリアー』の登場から34年。現在でも、東京や大阪などの一部のゲームセンターで、1980年代に活躍したセガ体感ゲームが現役で稼働しているといいます。それらは、かつてのゲーム少年たちにとって「格別」の体験もたらしていた歴史を今に伝えています。
(マグミクス編集部)
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