BS12で『マジンガーZ INFINITY』を放映 時代を先取りし続けた「Z」の歴史
マグミクス / 2023年5月14日 8時10分
■巨大ロボットブームを巻き起こした『マジンガーZ』
「空にそびえる くろがねの城」
思わず主題歌を口ずさみたくなるのが、TVアニメ『マジンガーZ』(フジテレビ系)です。巨大ロボットアニメブームを巻き起こした『マジンガーZ』は1972年12月~74年9月に全92話が放映され、最高視聴率は30.4%(ビデオリサーチ、関東地区調べ)を記録しています。
そんな『マジンガーZ』の生誕45周年を記念して製作されたのが、10年後の世界を描いた劇場アニメ『マジンガーZ. INFINITY』(2018年)です。兜甲児、弓さやか、兜シロー、ボスといった『マジンガーZ』の懐かしい顔ぶれが大集合。さらに続編『グレートマジンガー』(フジテレビ系)の主人公だった剣鉄也と、炎ジュンも参戦。地獄から蘇ったDr.ヘル、あしゅら男爵、ブロッケン伯爵らと戦います。
2023年5月14日(日)の19時からBS12で放映される『マジンガーZ INFINITY』の見どころに加え、『マジンガーZ 対 デビルマン』から始まった、劇場版『マジンガーZ』の歴史も振り返ります。
●CGで描かれる必殺技の数々
マジンガーZたちの活躍によって、機械獣軍団が撃退されてから10年後の世界が舞台です。マジンガーZの原動力である「光子力エネルギー」の平和利用によって、地球人類はかつてない平和な時代を迎えていました。戦いを終えた兜甲児は、今では科学者となっています。研究に追われる毎日で、新光子力研究所の所長となった弓さやかとの仲も、進展しないままでした。
兜甲児が夢中になっていたのは、富士山の地中から発見されたロボット型の巨大遺跡「インフィニティ」の調査でした。そんな折、死んだはずの天才科学者・Dr.ヘルがこの「インフィニティ」を強制的に再起動させ、人類に宣戦布告します。兜甲児は10年ぶりにマジンガーZに乗り込み、機械獣軍団や全長600mもある「インフィニティ」と戦うのでした。
アクションシーンはCGを多用しており、ニューデザインとなったマジンガーZが、ロケットパンチやブレストファイヤーを機械獣たちに見舞うシーンは見逃せません。最新のアニメーション表現によって、「神にも悪魔にもなれる」マジンガーZの魅力がたっぷりと描かれています。
ボス、ヌケ、ムチャの3人が乗り込む「ボスボロット」にも、しっかりと見せ場が用意されています。仲間のピンチに体を張るボスたちの姿は、笑いだけでなく男気も感じさせます。
『マジンガーZ 対 デビルマン』も収録された『マジンガー the MOVIE 1』DVD(東映)
TVアニメシリーズ『マジンガーZ』は欧州でも大人気を博しましたが、映画界でも大活躍しています。マジンガーZのオリジナル劇場版の第1弾となったのは、『マジンガーZ 対 デビルマン』(1973年)です。
同じ永井豪原作マンガのキャラクター同士とはいえ、『マジンガーZ』は「週刊少年ジャンプ」で連載、フジテレビ系で放映。『デビルマン』は「週刊少年マガジン」で連載、NET系(現在のテレビ朝日系)での放映でした。ヒーロー同士の異色対決に、当時の子供たちは興味津々でした。
実際にはマジンガーZとデビルマンが激突するシーンはありませんでしたが、兜甲児とデビルマンこと不動明がバイクで競い合うなど、TVアニメでは不可能だった競演シーンが実現しています。「東映まんがまつり」の一本として公開された上映時間43分の中編アニメですが、なかなか夢のある内容でした。マーベルコミックのヒーローたちが集まった『アベンジャーズ』(2012年)よりも、ずいぶん時代を先取りしていたと言えるでしょう。
その後もグレートマジンガーのお披露目となった『マジンガーZ 対 暗黒大将軍』(1974年)、さらには『グレートマジンガー 対 ゲッターロボ』(1975年)などの、スーパーロボットたちの夢の共演が劇場版で実現しています。
当初はヒーロー同士がいがみ合う展開が多かったのですが、シリーズ最終作『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣』(1976年)では「ロボット軍団」と呼ばれ、チームプレイを見せるようになっています。
●さまざまなジャンルに影響を与え続ける魔神
こうして振り返ってみると、『マジンガーZ』はいろんなジャンルに多大な影響を与えてきたことが分かります。遠隔操作ではなく、主人公が巨大ロボットに乗り込むというスタイルは、視聴している子供たちに抜群の臨場感を与えました。『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)や『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)などに引き継がれ、日本のSFアニメの主流となっていきます。
マジンガーZをモチーフにした「超合金」や「ジャンボマシンダー」といった玩具も、大人気を博しました。おもちゃ会社はアニメ番組のスポンサーとなり、アニメ制作会社との結びつきが強くなっていきます。
世界観の異なるヒーローたちが劇場版でのみ競演するというスタイルは、東映制作の特撮ドラマ「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」とのコラボ企画「スーパーヒーロー大戦」シリーズなどに受け継がれています。
生誕から半世紀が過ぎたマジンガーZは、まさにサブカルシーンにそびえる「くろがねの城」だと言えそうです。
(長野辰次)
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