月9『監察医 朝顔』 父娘コンビの活躍はいかにして生まれた? 原作者に聞く
マグミクス / 2019年7月8日 19時40分
![月9『監察医 朝顔』 父娘コンビの活躍はいかにして生まれた? 原作者に聞く](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_15558_0-small.jpg)
■「法医学者の娘」と「刑事の父」の協力関係
女優の上野樹里さんが主演を務めるフジテレビ月9枠ドラマ『監察医 朝顔』(かんさつい あさがお)が、2019年7月8日(月)21:00から放送されます。
原作は2006年から『漫画サンデー』(実業之日本社)で連載開始した同名のマンガ作品。法医学者の娘・朝顔(上野樹里)と、刑事の父・平(時任三郎)が協力しあいながら死因不明の遺体の謎を解き明かしていく物語です。
朝顔は過去の震災で母親を失った経験から、つねに真摯に遺体と向き合いながら、遺体が伝えたかった思いを明らかにしていきます。平(原作では万平)は、わずかな可能性がある限り、捜査に一切の妥協をしないベテラン刑事。母親不在のなか、ふたりは生活の面でも支え合っています。
時には家族として、時には仕事のパートナーとして支え合う娘と父の設定はどのようにして生まれたのか、マンガの原作者、香川まさひとさんに聞きました。
ーー連載が企画された当時、「法医学者の娘と刑事の父が、遺体から事件の謎を解き明かしていく」というコンセプトはどのようにして生まれたのでしょうか?
香川まさひとさん(以下敬称略) 「法医学者を主人公にする」ことから出発しました。そのうえで、「家族の良さ」を描ければと思っていました。いわゆるホームドラマですね。
父を刑事にすることで、家とは違う父の顔が見える。あるいは娘の違う顔が見える。事件を通して、同じように喜び、同じように泣く。あるいは事件現場で対立して、それでも夕飯は一緒に食べる……そんな姿を書ければと思いました。
■原作マンガと違ったドラマ生む可能性も?
法医学者・朝顔と刑事の父は、情報や意見を交わしながら事件の真相に迫っていく(『監察医 朝顔』第18話より) (C)木村直巳・香川まさひと・佐藤喜宣/実業之日本社
ーー原作では、朝顔の母親は「阪神淡路大震災で亡くなった」という設定でした。この背景はどのように考え出されたものなのでしょうか?
香川 「なぜ朝顔は法医学者になったのか?」 そこから考えてのことです。ただ、震災そのものを動機にしたくはありませんでした。「人」が「人」を動かすという視点から、現場で働く茶子先生(朝顔の恩師である法医学者=編集部注)に会うことを動機にしたいと思いました。
ーードラマ版は原作と違い、朝顔の母親は「東日本大震災で被災し、遺体も見つかっていない」という設定になっています。このことによって、亡くなった母に対する娘と父の感情を、人びとはどのように受け止めるでしょうか?
香川 阪神淡路大震災と東日本大震災、逆説的に言えば差はないと思ってます。なぜなら、人の死はつねに特別なものだからです。震災でも事故でも病気でも。
ただ、漫画とドラマ版の違い、「母の遺体が見つからない」ことは、まったく別のドラマを生むと思います。もし自分が書くなら、全く違うものになるでしょう。
ーードラマ版に期待していること、また作品に興味を持ってくれる読者に伝えたいことはありますでしょうか?
香川 ドラマ化にあたって、「どうぞお好きにやって下さい」と返事しました。マンガとドラマは別のものと思っていますから。でも、私も経験がありますが、原作を変えると言うのは勇気が要ることなんですね。だからこそ、そこに強い作り手の意思が見えるんです。
とはいっても、試写を見て、ドラマで訴えたかったことはマンガとぶれてはいませんでした。言いたいことは同じことです。もしドラマを見て興味を持っていただけたら、ぜひマンガも読んでいただいて、「どこが違い、どこが同じか」を楽しんでいただければと思います。
* * *
原作マンガは2013年に30巻で完結。親子、師弟、恋人など、人間関係のドラマがファンの心を打ちました。TVドラマでは、茶子先生役の山口智子さんや、主人公の恋人・真也役の風間俊介さんなどが脇役を務めます。豪華キャストによってどのような人間模様が描かれるのか、注目したいところです。
●香川まさひと(かがわ・まさひと)
脚本家。『羊の木』『クヒオ大佐』(ともに吉田大八監督)などの映画脚本、『学校の怪談 花子さん』(黒沢清監督)などのTVドラマ脚本を手がける。マンガ原作では、『ましろ日』(作画:若狭星)、『前科者』(作画:月島冬二)など。
(マグミクス編集部)
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