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『ドラクエ3』で「おうごんのつめ」を持ってラスボスに挑戦 残ったのは「切なさ」だけ?

マグミクス / 2023年5月14日 21時10分

『ドラクエ3』で「おうごんのつめ」を持ってラスボスに挑戦 残ったのは「切なさ」だけ?

■「ギアガの大穴」を通ってアレフガルドへ

 今年2023年は、ファミコンRPG最高傑作のひとつ」と評価される『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、ドラクエ3)の発売から35周年となります。この機会に、久しぶりにファミコン版『ドラクエ3』をプレイしました。しかも、武闘家用の最強武器だが、モンスターの出現率が大幅に上がる「おうごんのつめ」を持ったままエンディングまで突き進むというチャレンジを行いました。

 そのプレイの様子は、以前「魔物を引き寄せる「おうごんのつめ」でバラモス討伐を目指すとどうなる?」というタイトルでご紹介しました。バラモスを倒した時点で、船を手に入れて転職してレベル1になった戦士が36レベル、武道家35レベルとなりました。通常プレイと比較して、取得経験値は2倍……という感じです。

 今回は「おうごんのつめ」を持ったまま、ラスボスの「ゾーマ」を倒すところまでを目指します。RPGらしく、前回のおさらいも含めて、ゲームをプレイしつつ、脳内ストーリーで「解釈」してみましょう。

* * *

 私は勇者アリエル。勇者オルテガの息子として育てられたが、実は娘だ。

 アリアハンでは、誰もが私を男性と認識する。自分らしく生きたいと苦しんでいたら、仲間で商人のロミオが「私が私らしく生きられる町」ロミオバークを作ってくれた。でも、彼は私のために、イエローオーブを無理に手に入れたことで投獄されてしまう。

 アリアハン王に魔王バラモス討伐を報告し、そうしたら勇者を辞めて、ロミオのところに戻ろう。そう決意して王と面会した私は、大魔王ゾーマの存在を知る。ゾーマはこの世界を闇に覆うと宣言。意気消沈したアリアハン王は、ゾーマの存在を秘密にしてしまった。

 アリアハンの城を出た私は、仲間である戦士ライアス、武道家シレネア(このふたりは全ての呪文が使える)、賢者ニコライに宣言した。

「これから、大魔王ゾーマの居場所を探し出し、これを討とうと思う」

「一銭にもなりません。国王は事件を隠ぺいしようとしているのですよ」と賢者ニコライ。

「バラモスを倒しても、何も報酬なんていただいていませんけど」と私。

「おうごんのつめを試せる相手がいるなら、なんでもいいわ。ゾーマって強いんでしょ」。シレネアがつめを手入れしつつ、うっとりとして言った。

「ていうか、勇者の仕事ってそういうもんだ。……金ならもういらねぇよ」と戦士ライアス。

 実際、おうごんのつめが魔物を呼び寄せ、倒すたびに金品を落とすので、私たちは手持ちと銀行を合わせて20万ゴールドくらい持っている。

「そう。私の父は勇者オルテガで、私も勇者。理由はそれだけだし、それで十分なの」

 不死鳥ラーミアで、世界中を冒険したけれど、父オルテガの消息はわからなかった。亡くなっているのかもしれないけど、今もゾーマと戦っているのかもしれない。私は自分らしくは生きたいけれど、勇者であることには誇りがあった。父に恥じる生き方はできない。

 私たちはラーミアに乗り、ゾーマの居場所を探す。怪しい場所の目星はついていた。バラモス城のすぐ近く。ギアガの大穴だ。以前は城壁のような壁で囲まれていたが、今は破壊されている。巨大な力が通過した証だ。大穴に近づいた私たちは、強い魔力に引き込まれ、穴に落ちた。

 ゾーマの罠とか思ったが、はるか下まで落ちたとき、落下速度がゆるやかになり、怪我することなく、地面に着地した。何者かが干渉した気配を感じる。周囲は闇に覆われた港で、灯りに照らされていた。港の管理者たちに話を聞くと、ここはアレフガルドという場所で、大魔王ゾーマが支配する常闇(とこやみ)の世界らしい。管理者たちは、バラモスを倒した私たちに協力するために、帆船を提供してくれた。

 夜の船旅。アレフガルドにも海の魔物が出る。

 キングマーマンを倒したら、宝箱を持っていて「まほうのビキニ」が入っていた。昔、私が女性だと理解してもらうために「あぶないみずぎ」を着たことを思い出す。

「今回はわたしが着るわ。暗いから恥ずかしくないし」とシレネアが持っていった。

* * *

 というわけでアレフガルド。設定では地下世界なんですが、穴からダイブして到着するんですよね。塔から落ちてもノーダメージの世界だから、今さらだけど。

 港に置かれている船を、何も言わないで持っていくのはドロボーだと思うので、脳内解釈しました。アレフガルドで最初にすることは、海でキングマーマン狩り。武道家最強の防具である「まほうのビキニ」を64分の1の確率で落とすからです。もちろん女性しか装備できないので、武道家は女性がいいのです。

■「おうごんのつめ」でモンスターが激増! 呪文が封じられ「全滅」

アレフガルドの世界を作ったという、精霊ルビスとの出会い

 ラダトーム城で王様にあいさつした後、最強の盾である「ゆうしゃのたて」を入手するために「ラダトーム北の洞窟」に向かいます。すっかり忘れていたのですが、この洞窟は呪文が使えません。呪文では回復不能で、おうごんのつめにより、敵の出現率が激増している状態は、過去最高難易度です。

「勇者は逃げない」がマイルールなので、ゆうしゃのたては拾えたものの、帰路で初めて全滅しました。お金がカンストしていたので、5万ゴールドを一気に失いました。しかし、こんな危険な洞窟から、どうやって全滅した勇者一行を城に回収しているんだろう……。

 精霊の祠(ほこら)で「あまぐものつえ」を入手後に、ドムドーラの町に移動してオリハルコンを入手し、マイラの村の道具屋で売却。お金を銀行でおろしてカンストに戻していたので、道具屋で「おうじゃのけん」を2本買いました。道具で他のキャラクターが使えれば、無限バギクロスなんだけど、なんの意味もない……二刀流したい。

 マイラでは「ようせいのふえ」を拾って「ルビスの塔」へ。塔では「ひかりのよろい」を拾い、精霊ルビスの像にたどり着きます。

* * *

 私は「おうじゃのけん」「ひかりのよろい」「ゆうしゃのたて」を身に着け、精霊像の前に立った。伝説の装具は、私に合わせて伸縮し、体の一部のようにしっくりとくる。

 「ようせいのふえ」を吹くと、精霊像が美しい女性の姿に戻る。

「ああ、まるで夢のよう! よくぞ封印を解いてくれました。私は精霊ルビス。このアレフガルドの大地を作った者です」

 精霊ルビスはそう言いつつ、私に「せいなるまもり」を授けてくれる。

「もし、大魔王を倒してくれたら、いつかその恩返しをしますわ」

 精霊ルビスはそう言った後、平和を願って天に戻っていった。

* * *

 聖なる祠で「にじのしずく」を得れば、物語は最終局面に。ゾーマの城に突入した時点で、レベルは勇者44、戦士43、武道家41、賢者50。バラモス戦が勇者39、戦士36、武道家35、賢者47レベルなので、ずっと戦っていることがレベルでもわかります。

■父・オルテガを救えなかった悲しみ

目の前に自分の娘がいるとも気づかず、瀕死のオルテガは勇者の一行に伝言を託す

 ゾーマの城は、とにかくHPが高いモンスターばかり。逃げないので、戦闘ごとに削られます。地下4階で、全員のMPが50程度。このままゾーマ戦は難しいと感じつつ、悲しいイベントが起こります。

* * *

 ひとりの勇者が怪物と戦っていた。覆面をして、装備はほぼ付けず、斧だけを持っていたが、ひと目で父・オルテガとわかった。

 女性みたいな外見(私は父親似だ)を気にして顔を隠し、肉襦袢(じゅばん)を着て強そうに見せかけていた父だったが、今は偽物ではなく、鍛え上げた肉体なのがわかる。生きていることは知っていた。ラダトームの城で父の介抱をした女性と会ったから。

 私は「にじのしずく」で魔の島に渡ったから、伝説の装具で身を固めているけど、父は魔の海を泳いで渡ったから、装備がないのだろう。だけど、ロクな装備もなしで、5本の首がある巨大な怪物・キングヒドラと戦うのは無理だ。4人で進んでいる私たちでも、ほとんど余力がない、この戦地で。

 父の回復呪文が尽きるのがわかった。助けに入ろうとするが、魔物たちが行く手を阻む。
 渾身の父の一撃を受け、キングヒドラは撤退するが、そのまま父も倒れた。駆けよって、ベホマを唱えるが、全快するどころか効果がない。

「この方は……魔の海の水で、呪いを受けているのですね。外からの呪文は受け付けないようです」

 賢者ニコライが厳しい顔をした。

「……私は、アリアハンのオルテガ。そこの旅の人よ、どうか伝えてほしい。もし、そなたがアリアハンに行くことがあったら……そこに住む、アリエルを訪ね、オルテガがこう言っていたと伝えてくれ……」

「お父さん! 私はここに、いますっ!!」

 呼びかけるが、致命傷を負った父は私を認識できない。覆面が鮮血に染まっていく。

「平和な世界にできなかった、この父を許してくれ……とな。ぐふっ!」

 大きく血を吐いた。私は間髪入れずザオラルを唱え、ニコライがザオリクを唱えるが、呪いに防がれて、呪文が届かない。そこで父の覆面を取り去ると、父は大きく目を見開いた。そして、私の頭を撫でて微笑み……こと切れた。

「おのれゾーマ! 報いを与えてくれる!!」

 私は怒りに震え、さらに進もうとした。そこで戦士ライアスが私の肩を掴んだ。

「アリエル、ここで撤退だ。シレネアがいいものを見つけてな」

「けんじゃのいし、よ。全員の傷を癒せる。帰るわよ。次は、楽にここまで来られるわ」

「嫌だ! お父さんの仇を、討つんだ!」

「その話だけは、聞けねぇな。アリエル。貴女を死なせるわけにはいかない。ロミオが、貴女を、待っている」

 戦士ライアスが私の目を見た。ロミオ……彼と私のかつての仲間。私のために、罪を犯し、独房で私を待つ人。その名前を出されて、私は唇を噛み、そしてリレミトを唱えた。

* * *

 けんじゃのいしを取った時点でMP切れとなり、再度ゾーマの城へ。ゴールドを預けたら、金額が増えすぎていて、銀行の上限25万5000ゴールドに達してしまいます。

 再びゾーマの城に潜りますが、けんじゃのいしの回復により、今度は打撃だけでMPを使わずに進めます。無傷で地下5階のボス連戦に到達し、この時点でレベルは勇者52、戦士49、武道家47、賢者55です。

 キングヒドラ戦。オルテガの脳内ストーリーがあるので、ゾーマ戦より個人的に盛り上がる戦いでした。ルカニで防御力を下げ、バイキルトで攻撃力を上げるとダメージは300を越えます。他の仲間は決着まで、手を出させません。

 バラモスブロス、バラモスゾンビは問題にならず、いよいよラスボス、ゾーマ戦に。

* * *

「アリエルよ! 何故もがき、生きるのか? 滅びこそが我が喜び。死にゆくものこそが美しい。さぁ、我が腕の中で、息絶えるがよい!」 大魔王ゾーマが宣言する。

「自分の、喜びで、命を弄ぶなっ! 望み通り、滅ぼしてやる!!」

 私はそう叫び、私たちは死力を尽くしてゾーマと戦った。打ち倒したとき、ゾーマは言った。「再び闇が現れるが、お前は年老いて、生きてはいまい」と。

 最後の言葉を聞いて、私はほっとした。大魔王は息絶えて「年老いて息絶えるまで、もう勇者をしなくていい」と知ったから。私たちは、崩壊したゾーマの城から脱出した。世界に光が戻り、空が閉じる音がする。

「空が、閉じる?」

 それだけは認められなかった。私は、戻らなければならないのだ。彼の町に。
 ラダトームの王に、ゾーマを討ったことを報告する。そして願い出た。

「もし、再び闇が現れたとき、私の血筋が残っていたら、必ずこの地を守りますから。伝説の装具を、この城に戻します。もう……私には必要ないから」

 剣も、鎧も、盾もわかってくれた。伝説の装具が私の体から離れていく。お別れだ。

 私はルビスの塔に行かねばならない。精霊ルビスは言っていた。「大魔王を倒してくれたら、恩返しをする」と。彼女に、天を開いてもらう。帰るんだ、あの人の、元に。

* * *

 というわけで、勇者アリエルの脳内冒険はおしまいです。『ドラゴンクエスト』のこだわりは「プレイヤーの数だけ物語がある」から、主人公にセリフを喋らせなかったことです。

 だから『ドラゴンクエストIII』を遊んだ皆様には、それぞれ胸が熱くなる冒険があることでしょう。本当に名作で、楽しいプレイでした。

(安藤昌季)

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