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意味がわかると恐すぎる!?『トイ・ストーリー』作品のホラーな魅力

マグミクス / 2019年7月9日 19時40分

意味がわかると恐すぎる!?『トイ・ストーリー』作品のホラーな魅力

■子どもの「残酷さ」リアルに描いた第1作

 フルCGアニメ『トイ・ストーリー』といえば、子どもから大人まで世界中で愛されている、ピクサー制作の大人気シリーズです。これまでは、主人公であるカウボーイ人形のウッディと持ち主である人間の少年・アンディとの友情が描かれてきましたが、8年ぶりとなるシリーズ第4弾『トイ・ストーリー4』は、ウッディをはじめとするオモチャたちのその後の物語となっています。

 第1作『トイ・ストーリー』(1995年)の公開から、すでに24年。子どもの頃に夢中になった世代も、すっかり大人になっています。ウッディたちが子ども部屋を飛び出して大暴走する一方、持ち主であるアンディへの思慕にもあふれたハートウォーミングな作品ですが、どんなに時間を経てもファンの心をつかんで放さない面白さは、それだけではありません。

 イノセントな存在として描かれがちな子どもたちの残酷さもきっちりと描いて見せたことで、『トイ・ストーリー』は観客の心にグサリと刺さる作品になったのです。

 子どもたちはオモチャが大好き。でも、新しい別のオモチャを手に入れると、すぐそちらに夢中になってしまいます。また、子どもたちは日々成長していき、やがてはオモチャで遊ばなくなってしまいます。アンディの成長を見守るウッディたちは、「いつかは自分たちも不要品扱いされるかもしれない」という恐怖心を抱きながら、毎日を過ごしているのです。

 具体的な恐怖シーンとして記憶されているのが、アンディ家の隣りに住む悪童シドの登場場面です。オモチャを大切に扱うアンディと違い、シドはオモチャをバラバラに分解し、ロケット花火をくくり付けて爆発させるのが大好きです。シドの部屋には分解されたオモチャたちの首や胴体が別々なものと繋ぎ合わされ、ホラー映画の世界そのものとなっていました。

 また、自分はスペースレンジャーだと思い込んでいるアクションフィギュアのバズがテレビCMを見て、自分が大量生産された玩具に過ぎないことに気づくシーンも、強烈なインパクトがありました。カズオ・イシグロのSF小説『わたしを離さないで』の主人公たちが、自分らはクローン人間だと気づいたときも、きっと同じような衝撃を受けたことでしょう。

■『3』で人類の「負の歴史」に遭遇

『トイ・ストーリー3』 (C)Disney/Pixar

 シリーズ中、最も背筋の凍るのが『トイ・ストーリー3』(10年)です。アンディが大学に進学することになり、残されたオモチャたちは保育園へと向かいます。毎日子どもたちと一緒に遊べる楽園かと思いきや、そこは強制収容所を思わせる恐ろしい管理社会でした。ウッディの手引きによって脱走を図るオモチャたちでしたが、その先に待っていたのは、ゴミ焼却場で燃え盛る地獄の業火だったのです。

 このとき、ウッディたちは死を覚悟して、みんなで手を繋ぎ合います。オモチャであるはずのウッディたちは、第二次世界大戦期のナチスドイツで行なわれたユダヤ人大量虐殺のような、人類の負の歴史を体感するのでした。見た目はまるで変わらないウッディですが、内面は大きく変化を遂げ、アンディから自立することを余儀なくされるのです。

 最新作『トイ・ストーリー4』もホラー要素たっぷりです。『トイ・ストーリー3』のラストで、近所に棲む少女ボニーに引き取られることになったウッディたちに、さらなる受難が待ち受けています。旅行に出掛けたボニー一家からはぐれてしまったウッディは、アンティークショップに飾られた人形ギャビー・ギャビーと出逢うのですが、彼女は人間の子どもから一度も愛された記憶のない悲しい人形でした。

 音声装置に不具合のあるギャビー・ギャビーは、ウッディの体内に縫い付けてある音声装置を手に入れるため、ウッディを拘束して解体しようとします。ネグレクトや臓器売買といった現実の社会問題が、『トイ・ストーリー4』に投影されていることがうかがえます。

 オモチャの目線を通すことで、人間の心のダークサイドをあぶり出してみせる側面が「トイ・ストーリー」シリーズにはあります。あなたがオモチャを手にしたとき、オモチャもまたあなたのことを見つめているのです。

(長野辰次)

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