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「賢者の石」と聞いて思い浮かべる作品は? 皆が使いたがる「チートアイテム」

マグミクス / 2023年5月16日 7時25分

「賢者の石」と聞いて思い浮かべる作品は? 皆が使いたがる「チートアイテム」

■『ドラクエ』発祥じゃないの?

「賢者の石(けんじゃのいし)」と聞いたとき、多くの方は「ベホマラーの効果」を持つアイテムを思い浮かべることでしょう。そう『ドラゴンクエスト』シリーズにおいて「けんじゃのいし」は、後半に登場する実に心強い回復アイテムでした。世代によっては「けんじゃのいし」は『ドラクエ』オリジナルのものである、と思っていた方もいるのではないでしょうか。

 そんななか、1999年に日本で初めて『ハリー・ポッターと賢者の石』(著:J・K・ローリング 訳:松岡佑子)が発売され。大ブームになります。これに元ドラクエ少年たちは驚愕。「賢者の石」が登場するということは、ドラクエと関連している? なんて要らぬ混乱を招いたのです。当然ながら違います。ハリーは別に、回復アイテムを欲している訳ではありませんでした。メラミとか唱えません。

 さらにさらに、時代を同じくして、「賢者の石」が多くの少年マンガにも登場してきます。代表的な例を挙げるとすれば、2001年夏に連載がスタートした『鋼の錬金術師』(著:荒川弘)にもまた、「賢者の石」が物語の核に据えられていましたし、2003年には今なお根強い人気を誇る、『武装錬金』(著:和月伸宏)が連載開始されました。この作品もまた「賢者の石」が、崇高な万能装置として物語に登場します。

 また、1997年から連載が始まった『からくりサーカス』(著:藤田和日郎)には、水に溶かすと人間に超長寿をもたらす「生命の水(アクア・ウイタエ)」を生み出す「柔らかい石」なるものが登場しましたが、こちらは「錬金術の集大成」によって誕生したもので、作中では一度もそう呼ばれてはいないものの、明らかに「賢者の石」に該当する存在でした。

 世紀末から新世紀にかけて、少年少女が触れる作品に同時多発的に「賢者の石」が登場していたことはちょっとしたシンクロニシティを感じてしまいます。もちろん、それ以前にも「賢者の石」が出てくる作品はあり、1989年から1996年まで連載されていた『スプリガン』(原作・原案:たかしげ宙 作画:皆川亮二)では「賢者の石と他金属との合金」として生まれる「オリハルコン」が出てきた他、1978年公開の映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』では「賢者の石」はルパン一味とマモーが奪い合う、重要なアイテムでした。

 いろんなフィクションに登場し、「ベホマラーの効果」以外の使い道も多い「賢者の石」ですが、もともとはどんなものだったのでしょうか。『鋼の連勤術師』『武装錬金』のタイトルからもわかる通り、本来は中世ヨーロッパの「錬金術」に関係する代物です。

『日本大百科全書』(小学館)によれば、「錬金術作業では卑金属(銅・鉄・鉛・錫)から貴金属(金・銀)をつくる際の最高の動因であり霊薬であるとされた。」とのこと。まさに不可能を可能にする奇跡の石であり、あくまでも「空想の産物」とされています。なんたるロマンでしょう。すでに設定がしっかり確立されているこのアイテムに、作家や漫画家が魅了されるのは、納得のいく話です。

 さて、そうなってくると『ドラクエ』の「けんじゃのいし」が、「ベホマラーの効果」しかないのが、なんだか物足りなくなってくるのでした。「貴金属を作る」「永遠の命を与える」などの設定がゲームに加わると、あまりにも「チート」なアイテムになってしまうので、仕方がないのかもしれません。

(片野)

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