韓国の「怪獣映画」とは? 強烈描写とB級感あふれる「すさまじい」世界
マグミクス / 2019年7月21日 15時10分
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■1960年代から見られた、衝撃的な描写
2019年はハリウッド版『ゴジラ』の新作も公開され、世界的に怪獣映画が盛り上がっていますが、韓国の怪獣映画にはどのようなものがあるのでしょうか。
韓国の怪獣映画で有名なのは『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)でしょう。漢江の河川敷を舞台に人を襲うグエムルの姿は非常に迫力があるものでした。また『第7鉱区』(2011年)では、海上で孤立した採掘船の中で怪物に襲われる恐怖を描いていました。
韓国ではロボットものやヒーローものの映像作品はたくさん存在していましたが、怪獣映画は案外多くありません。しかし存在しないわけではありません。ソフト化はされていませんが、韓国版の『プルガサリ』(1962年、北朝鮮で製作された『プルガサリ―伝説の大怪獣―』(1985年)とは別)や『宇宙怪人ワンマグイ』(1967年)といった作品を嚆矢として、いくつかの怪獣映画が作られています。
他の怪獣映画では、大映のガメラシリーズのスタッフが参加したことで知られる『大怪獣ヨンガリ』(1967年)が有名だと思います。ヨンガリはドイツでは『ゴジラ 死の爪』というタイトルで知られています。
ラスト、薬剤を散布されて体中を掻き毟り苦しみながら下血して死んでいくヨンガリの姿に衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。日本でもソフト化されているので視聴は比較的容易です。
こうした作品に影響を受けたのか、怪獣もののアニメ映画、その名も『怪獣大戦争』(1972年)という作品もあります。同名の東宝特撮とは全く無関係な作品です。
『帰ってきたウルトラマン』(1971年)や『黄金バット』(1967年)に登場する怪獣が世界中で暴れまわり巨大ヒーローと戦うという内容でした。ヒーローが怪獣軍団を大量虐殺しているようにしか見えないバトルシーンや怪獣を絞め殺すシーンなど、衝撃的な戦いを見ることができます。
宇宙ロケットがストーリーに絡む点でも『大怪獣ヨンガリ』の影響がみて取れます。この『大怪獣ヨンガリ』は1999年にリメイクされてシム・ヒョンレ監督による『怪獣大決戦ヤンガリー』として日本でも公開されたのは、ご存じ方も多いだろうと思います。
そして2007年には同じシム・ヒョンレ監督による『D-WARS』が作られましたが、公開されたアメリカでは酷評されたということです。確かにB級映画の雰囲気があります。
■『ヨングと恐竜チュチュ』シム・ヒョンレ監督のすさまじい世界
赤ちゃん恐竜チュチュのお母さん恐竜が暴れまわる、『ヨングと恐竜チュチュ』。シム・ヒョンレ作品
『怪獣大決戦ヤンガリー』や『D-WARS』には祖先があります。特に直系の先祖が『ヨングと恐竜チュチュ』(1993年)です。ヨングと言うのはシム・ヒョンレの持ちキャラのおバカな登場人物です。
作品はシム・ヒョンレ本人の監督作品です。同氏が「ヨングアートムービー」という会社を設立後、初めて監督した作品です。
恐竜の赤ちゃんチュチュと仲良くなったヨングですが、ヨングとチュチュは盗賊にさらわれてしまいます。それを助けに現れるチュチュのお母さん恐竜。彼女は市街地を襲い、橋も襲います。その描写が、『大怪獣ヨンガリ』へのオマージュとなっており、ヨンガリを観た人にはあっと思わせる画面となっています。
なお、盗賊団はお母さん怪獣の火炎放射に焼かれ溶けて死にます。このシーンも強烈です。『大怪獣ヨンガリ』へのオマージュは橋の破壊シーンなど『怪獣大決戦ヤンガリー』でもあります。
シム・ヒョンレ監督はB級の特撮が好きなのか、ヒーローものやモンスターものをいくつか作っています。
モンスターものでは『ヨングと恐竜チュチュ』以外に、例えば『ティラノの爪』(1994年)は原始時代に人間と恐竜が共存しているという設定で、時期的にジュラシックパークの影響を受けているのだろうかと思います(でも恐竜と原始人が頭突き合戦をするシーンや、プテラノドンとの戦いのシーンなど、作品自体はシリアスに作っているのにコメディにしか見えないのです!)。
また『ヨングと宇宙怪物プルガリ』(1994年)では、アンドロメダ星人が送り込んだ宇宙怪獣プルガリとおバカなヨングが戦うというコメディタッチの作品で、プルガリの意外な弱点が「ある食材」というのも、おバカな設定で面白いです。
『ドラゴンツーカ』(1996年)は、なんと時代劇に巨大なドラゴンが登場するという変わり種の作品。ヨングの身体を宇宙人が操ってドラゴンツーカと戦います。
どれもB級感あふれる作品ですが、それらの要素は『怪獣大決戦ヤンガリー』や『D-WARS』にが受け継がれていることが感じられます。
このように、1990年代の怪獣映画は韓国で途絶えずに作られ、現在に受け継がれています。今後の韓国怪獣映画も楽しみです。
(かに三匹)
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