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『ガンダム0083』「星の屑作戦」が発動してなかったら…ティターンズは結成されなかった?

マグミクス / 2023年6月3日 6時25分

『ガンダム0083』「星の屑作戦」が発動してなかったら…ティターンズは結成されなかった?

■星の屑作戦の前提が成立しない?

 ジオン公国軍残党「デラーズ・フリート」と、地球連邦軍の戦いを描いた、アニメ『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。その冒頭でデラーズ・フリートのエースパイロットであるアナベル・ガトー少佐が、連邦軍人に偽装してトリントン基地に潜入し、整備中のガンダム試作2号機を奪取します。

 ガンダム試作2号機には核弾頭が搭載されており、デラーズ・フリートを指揮するエギーユ・デラーズ中将は「南極条約違反のガンダムを連邦が製造していた」と政治的な批判材料とします。

 さらにデラーズは、ガンダム試作2号機を「星の屑作戦」に投入、連邦宇宙艦隊の観艦式に核攻撃を敢行し、連邦艦隊の2/3は壊滅します。

 その後、デラーズはスペースコロニーを北米の穀倉地帯に落として、地球の食糧生産に大きな打撃を与えました。最終的に、デラーズ・フリートはほぼ全滅しますが、この戦いを生き延びた、地球連邦軍のジャミトフ・ハイマンやバスク・オムは、ジオン残党狩りを名目とした事実上の私兵部隊「ティターンズ」を結成することになります。

 もし、ガトーのガンダム試作2号機奪取が失敗していたら、どうなっていたでしょうか。

 例えば、元・彼女であるニナが、ガトーの存在に気づいて通報するとか、ガンダム試作2号機を追撃したガンダム試作1号機にベテランのバニングが搭乗し、2号機を撃破した場合など、作戦が失敗する可能性は割とあったと考えられます。

 デラーズ・フリートの「星の屑作戦」は、スペースコロニーを月面都市に落とすと見せかけて、月面都市からのレーザー照射によってレーザー推進装置を作動させて、軌道を変更するものです。これにより、月にスペースコロニーを落とすと見せかけて、連邦艦隊を誘導した後で、地球へと落とす陽動作戦ですが、作戦の前提として「ガンダム試作2号機の核攻撃で、連邦艦隊主力が壊滅」して、防衛戦力が減少していることが挙げられます。

 ガトーによるガンダム2号機奪取が失敗していたなら、デラーズは連邦主力艦隊に壊滅的打撃を与える方法がありません。劇中通り、スペースコロニーの軌道を変えたとしても、主力艦隊の攻撃でコロニーが破壊され、星の屑作戦は失敗に終わったことでしょう。

 また、ガンダム試作2号機という物証がないのであれば「連邦が南極条約違反のガンダムを製造していた」という情報を得ていただけとなり、政治的影響力は期待できないでしょう(南極条約は地球連邦とジオン公国の「戦時条約」なので、一年戦争終結により「核兵器禁止条項」を含む条約自体が無効となっている可能性もあるのですが)。

 つまり、デラーズ・フリートは「星の屑作戦」を実施できないことになります。彼らの戦力ではシーマ艦隊を味方にできたとしても、連邦宇宙艦隊への正面攻撃は困難ですから、デラーズ紛争によるコロニー落とし自体が起こらなかったと思われます。

 この場合、デラーズやシーマは、小惑星帯の宇宙要塞アクシズにいるジオン残党と合流するか、アクシズと連携して、地球圏でゲリラ戦を行うか、ということになるでしょう。

 どちらにせよ、連邦艦隊主力は健在のままです。艦隊を率いていたグリーン・ワイアット大将らが生存しますから、彼と対立していたジャミトフ・ハイマン准将が連邦軍の主流派になることはありません。コロニー落としも行われないため、ジオン残党の脅威は劇中以下となりますから、ティターンズの結成も行われないでしょう。

 史実ではタカ派であるティターンズが、スペースノイドとの対立路線を取り、宇宙世紀0085年にサイド1へ、毒ガス攻撃を行います。これにより、連邦軍の一部が離反し、反地球連邦組織「エゥーゴ」を結成するに至るわけですが、「星の屑作戦」が行われない場合は、これらが発生しない可能性も高いです。

 エゥーゴという受け皿が地球圏に発生しない場合、シャアがクワトロ・バジーナ大尉を名乗り、地球圏に帰還するかどうかも微妙です。

 アナハイム・エレクトロニクスはデラーズ・フリートの本拠地「茨の園」建設にも関わっているので、ジオン残党にアナハイムやルオ商会が協力した「反地球連邦組織」が結成される可能性はありますが、デラーズがその指導者ならザビ家至上主義であり、ザビ家を憎むシャアは参加しないでしょう。

 一方でマンガ『機動戦士ガンダムC.D.A 若き彗星の肖像』によれば、アクシズを統治しているマハラジャ・カーンは、元々はシャアの父であるジオン・ズム・ダイクンに共鳴している人物で、その娘であるハマーンもシャアに好意を持っています。

 そしてシャアは、父・ジオンの理想を捨てきれる人物でもないように思います。地球圏に受け皿となるエゥーゴが存在しないのなら、シャアは重力に魂を引かれた人たちの専横を糺(ただ)すために、ミネバ・ラオ・ザビの摂政に推挙したハマーンとの関係を深め、最終的にアクシズを掌握するしかないものと考えます。

 ハマーンもまた『機動戦士ガンダムZZ』で、ジュドーに「ジオンの血(ミネバ)を利用しているだけだ」と語る人物でもありますから、心の底からザビ家至上主義というわけではありません。シャアが「キャスバル・レム・ダイクン」であることを明かし、ミネバを害するつもりはないことも伝えれば、むしろ協力したのではないでしょうか。

 シャアたちは宇宙世紀0083年に、アクシズ内強硬派によるクーデターを鎮圧しており、赤い彗星に対抗できる人物もいませんから、シャアとハマーンでアクシズを掌握できると思われます。シャアが、サイド3などの地球圏に人脈を持っていることは『機動戦士ガンダムZZ』以降に、ミネバを保護しつつ、ネオ・ジオン総帥となっていることでも明らかです(エゥーゴ時代の人脈である可能性もありますが)。こうした動きが前倒しになるのではないでしょうか。

 一方で、デラーズらジオン残党はゲリラ戦を行うでしょう。ワイアットもジャミトフも「タカ派」ではあります。ゲリラ戦とジオン残党狩りの応酬で、スペースノイドへの圧力は高まり、シャアはそれを利用して、アナハイム・エレクトロニクスなどの協力を取り付けるのではないでしょうか。

 ギレン・ザビの信奉者であるデラーズは、シャアが正体を明かしても従うことはないでしょうが、地球連邦打倒のために協力関係にはなるでしょう。

 エゥーゴの指導者を経験して、そこで絶望していないシャアが『逆襲のシャア』のように、一気に地球を粛清する作戦に討って出るかはわかりません。とはいえ、コロニー落としもなく、エゥーゴとティターンズに分裂もしておらず、大きな力を持つ連邦と、アクシズをバックボーンとしつつ、スペースノイドに浸透を図るシャアの対立が、次第に深まっていったのではないかと考えます。

(安藤昌季)

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