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『北斗の拳』ケンシロウの胸の傷は「ただのファッション」? 作者が語るウラ話

マグミクス / 2023年6月5日 17時55分

『北斗の拳』ケンシロウの胸の傷は「ただのファッション」? 作者が語るウラ話

■ケンシロウの北斗の傷は、原作者の思惑があった

『北斗の拳』は1983年から1988年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された作品です。誕生から40年経った今でも人気がある同作の主人公・ケンシロウは、「お前はもう死んでいる」をはじめとしたセリフだけでなく、見た目の部分で胸の「北斗七星をかたどった七つの傷」が知られています。これは『北斗の拳』の原作者・武論尊先生が決めた設定でした。

 当時、編集者の堀江信彦氏の依頼で原作を担当(作画は原哲夫先生)することになった武論尊先生は、『北斗の拳』の公式サイトのインタビューで「(ケンシロウの傷の設定は)もう、完全なファッション。入れ墨やトレードマークみたいなもので。カッコイイから入れてくれって原作に書いてね。それを見ればケンシロウであることが分かるでしょ? 胸に七つの傷がある男と言えば、名前は出てこなくてもケンシロウなんだと」と語っています。

 理由よりもビジュアルを重視した原作者の思惑通り、その設定は当時の読者に強いインパクトを与え、ケンシロウの特徴として定着しました。そして、物語が始まって割と早い段階で、その傷ができた理由が明らかになります。かつてはケンシロウの親友だった南斗聖拳のシンが、ケンシロウの恋人・ユリアを奪うために彼を襲った際に、負わされた傷だったのです。

 ちなみにこの「七つの傷」の設定は、第2話の原作を描き終えた時点で、手応えを感じた武論尊先生が後付けしたものでした。1話の原作を書いたときは「ケンシロウが旅をしている理由」すら考えていなかったという武論尊先生は、上記のインタビューで「『俺は天才か?』と思ったね。後付けのくせに完璧だぞって(笑)」と、当時を振り返っています。

 このインタビューでは、その他の重要な設定についても語られていました。『北斗の拳』の人気が軌道に乗っていた頃に登場した悪役で、ケンシロウの兄であるジャギは、「作品のターニングポイント」といいます。その理由は「ケンシロウには兄がいる」という設定にしたことで、「かつての北斗神拳の伝承候補者同士の争い」という新たな展開が生まれたからです。

 そして、北斗四兄弟には長男ラオウ・次男トキ・三男ジャギ・末弟ケンシロウがいるという設定が作られました。しかし、実際に血がつながっているのはラオウとトキだけで、ジャギとケンシロウは「義兄弟」として設定されています。やがて、北斗四兄弟の設定が浸透すると、ストーリーの軸として重要な役割を果たしました。

 また、ケンシロウが現在の「カタカナ」の名前になり、舞台が核戦争後の「世紀末」になったのも武論尊先生のアイデアです。「フレッシュジャンプ」で掲載された読み切り(原哲夫先生が単独で描いた作品)の『北斗の拳』では、世界観やキャラクターの設定は異なり、舞台は現代で主人公の名前も「霞拳四郎」でした。このフルネームは漢字は違いますが、後にケンシロウの先々代の北斗神拳伝承者の物語を描いた『蒼天の拳』の主人公・霞拳志郎に使われます。

 武論尊先生は、上記の読切を面白いと思っていたものの、80年代初頭に話題を呼んだ核戦争後の世界を描いたアクション映画『マッドマックス2』の影響もあり、「近代兵器が無い世界なら、間違いなく拳法というものが生きてくるし最大の武器になるだろう」と考え、舞台を「世紀末」にすることを考えたそうです。

 武論尊先生がインタビューで明け透けに「先(の展開)を考えなかったんじゃなくて、考える余裕が無かったんだよ。週刊だから。」と、後付けが多いことを認めている『北斗の拳』ですが、いろんな柔軟なアイデアで現在に至るまで愛される作品となっています。武論尊先生のインタビューを読んだ上でまた読み直すと、違う味わいがあるかもしれません。

(LUIS FIELD)

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