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『Zガンダム』「カミーユは問題児」ってホント? 不遇イメージに埋もれがちな「素直さと優しさ」

マグミクス / 2023年6月12日 6時25分

『Zガンダム』「カミーユは問題児」ってホント? 不遇イメージに埋もれがちな「素直さと優しさ」

■主人公らしからぬ行動が目立つカミーユだが…

「そこのMP!一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか?」
「ハハハハハ……ざまあないぜ!」
「歯ァ食いしばれっ!そんな大人、修正してやる!!」
「暴力は……いけない……」

 これらのセリフはすべて『機動戦士Zガンダム』の主人公、カミーユ・ビダンが放ったものです。主人公らしからぬセリフからわかる通り、彼は「ガンダム」シリーズ随一の問題児として知られています。

 ちょっとしたことですぐに暴力をふるい、相手が軍人だろうと上官だろうとお構いなし。怒られても言い訳ばかりで、ガンダムで無断出撃したことも一度だけではありません。そのイメージが強いせいか、ネット上でも「名前をイジられただけで軍人に顔面パンチする主人公」「上官にも平気で殴りにかかる倫理感ぶっ飛び野郎」「生身の人間にバルカン乱射して高笑いする畜生」などとイジられています。

 しかしよくよく見返してみると、実はとんでもない言動を連発するのは最初だけ。それこそ序盤はティターンズのMS(モビルスーツ)パイロットに顔面パンチ、自分を尋問したMP(ミリタリーポリス)に公務執行妨害、挙げ句の果てにはガンダムMk-IIを奪って生身の人間にバルカンを向けていましたが、ストーリーが進むにつれてカミーユの問題行動は少しずつ影を潜めていきます。

 はたしてカミーユは、本当にシリーズ随一の問題児だったのでしょうか。

●ブライトも認める素直な少年へと成長

 たとえば第9話のカミーユは、ハロの修理を優先して集合の号令を無視しています。エマ・シーンから「あなたパイロットなのよ」と咎(とが)められても「僕はまだ軍属じゃありませんよ」と屁理屈をこね、最終的にウォン・リーの修正(鉄拳制裁)を受けていました。

 しかし思いのほか修正が効いたのか、10話以降からカミーユの受け答えが比較的素直になります。エマから注意を受ければ「気をつけます」、上官からの命令にも「はい」、ヘンケン・ベッケナーから褒められた際には「ありがとうございます!」と感謝の言葉を口にしています。第14話でハヤト・コバヤシに怒られた時もほとんど口応えしていませんでした。

 それでもたまに「ステファニーさんにそんな権限はありませんよ」「冗談です」とポロッと本音が出たり、「気をつけます」ばかりで頑なに「やりません」と言わなかったり……。「口数が多いんだから、トーレスの奴。トーストにしてやる」と小言をこぼしたこともありましたが、第26話ではブライト・ノアから「素直になったものだ」と感心されるほどパイロットとして成長しています。

■カミーユは誰よりも優しい心の持ち主?

カミーユの成長譚でもある『機動戦士Zガンダム』、しかし物語の結末は――。 画像はDVD『ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-』(バンダイビジュアル)

●敵兵にさえ祈りを捧げる

 すぐにカッとなって暴力をふるうカミーユですが、実はそこまで好戦的な性格ではありません。むしろ誰よりも、人の死に敏感な優しい心を持っているように感じます。

 第12話で連邦軍から迎撃された時も、彼の口から発せられたのは、敵を殺めなくてはならないことに対する嘆きばかりでした。「出てこなければやられなかったのに……」「抵抗すると無駄死にをするだけだってなんでわからないんだ!」などと叫んでおり、燃えゆくMSを前にした際には「あの中のパイロット……」と敵に思いをめぐらすような一幕も。

 思い返せばカミーユは、敵と対峙してもまず説得から入ることが多々あります。地球連邦軍のライラ・ミラ・ライラを目の前にした時も「あなただってさっきのクワトロ大尉の言うことを聞いたでしょう?」「抵抗するなら撃ちますよ」と説得から入り、結局彼女を討ち取ってしまった際には人知れず胸を痛めていました。

 自分が殺してしまったパイロットにまで祈りを捧げていたあたり、カミーユは誰よりも優しい心の持ち主だったのかもしれません。

●迷言ばかりじゃないカミーユさん

 また迷言が多いように見えて、実は意外と正論も多いカミーユ。第24話でジェリド・メサたちに向かって「ティターンズは地球を汚染する悪魔の集団じゃないか」とかみつくカツ・コバヤシに対し、カミーユは「よせ、カツ」「どっちが悪くても一番迷惑を受けているのはフォン・ブラウン市の市民だ」とけん制しています。

 さらに第27話で片意地を張る幼なじみのファ・ユイリィについても、「もう僕らがいがみ合っていられる時じゃないんだよ。いつ死んでもおかしくない時なんだ。僕にだって悪いところはあるだろうし、それはいくらでも謝る。でもファだってちょっとばかり甘えすぎだな」などと優しく諭していました。「一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか?」とバルカンをぶっ放していた人物とはとても思えません。

 たしかに初期のカミーユはとんでもない主人公でしたが、人としてパイロットとして成長したのもまた事実です。さまざまな人と出会い、数々の戦いをくぐり抜けたからこそ、カミーユは変われたのかもしれません。そんな彼の成長が感じられるところも、『機動戦士Zガンダム』の魅力ではないでしょうか。

(ハララ書房)

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