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思わず笑うマンガ連載誌だけの「迷」アオリ文 世界観を無視するツワモノも?

マグミクス / 2023年6月11日 20時25分

思わず笑うマンガ連載誌だけの「迷」アオリ文 世界観を無視するツワモノも?

■ラスト1ページは担当編集が最も輝く場所?

 好きなマンガを掲載雑誌の方で読んでいれば、誰もが目にするのが、担当編集の「アオリ文」です。読者の心をつかんで離さない文でマンガの魅力を引き立てる一方、作品の世界観を飛び越えた「型破り」なものも存在します。今回は、そんなハチャメチャとも言えるような、「迷アオリ文」を紹介しましょう。

 近年で特に話題になった例に、「週刊少年マガジン」で『ブルーロック』や『炎炎ノ消防隊』、「別冊少年マガジン」で『神さまの言うとおり』などのヒット作を担当してきた編集者・T屋氏によるアオリ文があります。彼のアオリ文は「担当・T屋です!」という自己紹介が決まり文句で、内容も「あまりに女の子を口説き落とすので、最速の男と呼ばれている僕です!」「初彼女獲得秒読み状態です!」などと、マンガ本編とは全く関係ない私信がありました。

 自由過ぎる内容のため読者からは賛否の声がありますが、良くも悪くもユーモアあるT屋氏のアオリ文がきっかけで作品を知った、というマンガファンも少なくないようです。今も『ブルーロック』の連載ページには作者の名前に並んで「天才編集:担当・T屋」と綴られているものの、最近はぶっ飛んだアオリ文をあまり見かけなくなりました。

 もちろん、編集者の顔が頭をよぎるアオリ文を作るのは、T屋氏だけではありません。「週刊少年チャンピオン」で連載されている板垣恵介先生の格闘マンガ『刃牙』シリーズの3部『範馬刃牙』第150話でのアオリ文には、「先生、打ち合わせと違うじゃないですかァァ~!!!(担当)」と、担当者の心の叫びが書かれていました。野人・ピクルに一度倒された後、病院から抜け出してきたジャック・ハンマーが戦いの「続き」を挑み、ピクルの顔に蹴りを入れるという勢いのある最後のコマに合わせた文で、編集者と作者との秘められたやりとりを感じさせ、読者の興味を引きます。

 実は「先生、打ち合わせと――」のアオリは範馬勇次郎が刃牙に「エア味噌汁」を作ってあげた『範馬刃牙』310話などにも登場しており、もともとは原稿を見た当時の担当編集・横井佑来氏がポロッと口に出した言葉です。それを聞いた板垣先生が「よし、それをアオリにしよう!」と提案したのが始まりでした。

 このことは2019年の「週刊少年チャンピオン」50周年記念の「編集者インタビュー」で語られており、そのなかで現編集長の武川新吾氏は「打ち合わせと違うのは基本的に喜ばしいことなんですよ」ともコメントしています。一見、手を焼いているように見えて、実は嬉しさを感じて出た言葉のようです。

 マンガの内容と合わないアオリ文がある一方で、作品の内容に沿いながらも人びとの記憶に残る「迷」アオリ文もありました。

 例えば、「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた『ゴールデンカムイ』第82話の扉絵の「耳をすませば 殺りたいひとができました」というアオリ文は、言わずもがなスタジオジブリの映画『耳をすませば』のタイトルと、公開時のキャッチコピー「好きな人が、できました」をオマージュしたものです。

 しかし『ゴールデンカムイ』の扉絵に描かれているのは、双子の片割れの洋平を殺されて主人公の杉元に殺意を抱く、恐ろしい姿の二階堂浩平の姿でした。江渡貝弥作に作ってもらった特殊なヘッドギアを付け、口元にある自分の削がれた耳に話しかける二階堂の姿は、耳は関係あるものの『耳をすませば』の優しい雰囲気とは対照的な物騒なイラストで、読者をシュールな笑いに誘います。

 また、なかには公式がまさかのミスをする、「やってしまった」アオリ文としてファンの記憶に残ったものもありました。国民的ヒットとなった『鬼滅の刃』での出来事です。

 同作の第37話では、主人公・炭治郎が鬼舞辻無惨配下の「十二鬼月」の下弦の伍・累の糸を斬れず、日輪刀が折れてしまっています。「その刃、十二鬼月には届かず」というアオリ文で本編をシリアスに締めくくっていますが、実は累が十二鬼月であることが判明するのは38話のことでした。まさかの、「公式」がネタバレする形になってしまったのです。

 一方、これまで紹介したアオリ文とは一線を画すのが、『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』でのひと言アオリ文です。「万事が早ッ!!」「とどめはNOW!」「お先にブルルン!!」などの短くも勢いのあるアオリ文は、連載当時ファンの間で「小学生のようだ」「でも脳裏に焼き付く」と話題を呼びました。

 これは6部だけ『ジョジョ』の担当だった、嶋智之氏のセンスによるものです。『ジョジョ』といえばクセが強い独特なセリフが有名ですが、アオリ文までもクセが強くなり、読者の心に残っています。

(ハララ書房)

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