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『ガンダム』の皮肉屋、カイ・シデン ホワイトベースで担っていた「真の役割」とは?

マグミクス / 2023年6月11日 6時10分

『ガンダム』の皮肉屋、カイ・シデン ホワイトベースで担っていた「真の役割」とは?

■当初は「情けない男」として描かれた

『機動戦士ガンダム』に登場したカイ・シデンは、当初は質の悪い冗談や皮肉をしばしば口にして周囲に嫌われる、斜に構えたキャラクターとして描かれていました。しかし戦いのなかで成長しホワイトベースの仲間たちとも徐々に打ち解け合い、パイロットとしても奮戦して最終決戦を生き残りました。

 戦後はジャーナリストとなり、『機動戦士Zガンダム』や『機動戦士ガンダムUC』などの作品にも登場し、ホワイトベース乗員のなかではブライト・ノアと並んで長く活躍するキャラクターになりました。『ガンダム』におけるカイの重要度が決定的になったのは、戦闘での活躍だけではなく、ホワイトベースにおいて「真の役割」を獲得したからであると考えられます。

 カイが初めて登場したのは2話「ガンダム破壊命令」で、ジオン軍の攻撃におびえホワイトベースに逃げ込もうとして、セイラ・マスに「軟弱者!」と平手打ちを喰らうシーンとなります。セイラさんが特別なキャラクターであることを示すための当て馬に使われてしまっているところに、初期のカイの情けなさがにじみ出ています。

 しかし正規の軍人が多数戦死し、人手不足に悩むホワイトベースでは動ける若者というだけで貴重な戦力です。3話「敵の補給艦を叩け!」では大型特殊のライセンスを取得していたことからガンタンクの操縦士としてハヤト・コバヤシと共に出撃し、パプア補給艦の撃沈に貢献しています。

 8話「戦場は荒野」以降はガンキャノンを任されたカイでしたが、正規の訓練を受けておらず、アムロほど特別でもないため敵モビルスーツに翻弄されるシーンも多く、何度も攻撃を受けて窮地に陥ります。ガンキャノンの重装甲と仲間たちの助けもあり、辛うじて生き延び続けました。8話では崖上から敵のザクIIを突き落として破壊することに成功しており、これがカイにとって初めてのモビルスーツ撃破となりました。

 そしてこのあたりから、カイがホワイトベースで担っていた真の役割が少しずつ顔を出すようになっていきます。皆の不平不満、不安をはっきりと口にする「感情の代弁者」として機能し始めるのです。

■「感情の代弁者」としてのカイ・シデン

カイ・シデンが一年戦争時に搭乗したMS・ガンキャノンを立体化した、「HGUC 190 機動戦士ガンダム RX-77-2 ガンキャノン 1/144スケール」(BANDAI SPIRITS)

 例を挙げると、6話「ガルマ出撃す」で疲れ果てたアムロがカイたちを無視して通り過ぎた際に、「戦ったのは何もガンダムばかりじゃねえんだよ」と不満を口にしています。すぐにハヤトに「よしなよ、そんな言い方!」とたしなめられていますが、ハヤトも「言い方」しか注意していません。カイの言葉の内容自体には、ハヤトもある程度は同意しているのでしょう。

 アムロが優遇されていることに不満を持った際にはホワイトベースを脱走し、ジャブローでカツ・レツ・キッカたちがホワイトベースを下ろされそうになった際には子供たちに代わって抗議し、ア・バオア・クー戦の前に皆が不安になっていると感じた際にはアムロに皆を安心させるよう促すなど、カイは自分の感情だけでなく、周囲の感情を上手く処理するための役割を果たしています。

 カイは皮肉屋ではありますが、実は周囲に気遣いができる優しい人間なのです。それを理解したからこそ、ホワイトベースのクルーたちもカイを大切な仲間として受け入れたのではないでしょうか。

 さて、カイといえばミハル・ラトキエとのエピソードを欠かすことは出来ません。27話「女スパイ潜入!」で軍人になることを拒みホワイトベースを降りたカイは、物売りのフリをして近づいてきたミハルと知り合います。カイはミハルがジオンのスパイであることに気付いていましたが、小さな弟と妹の面倒を見ていることを知り、ホワイトベースの情報を与えてしまいます。苦戦するホワイトベース隊の姿を遠目で見ていたカイですが、駆け戻ってガンタンクで出撃し、仲間の窮地を救ったのです。

 続く28話「太平洋、血に染めて」では、ホワイトベースに潜入したミハルを匿い、ともにガンペリーで出撃しますが、ミハルはミサイル発射の際に爆風に巻き込まれて落下し、命を失いました。27話と28話はカイが戦いへの覚悟を決める重要なストーリーであり、事実上の主人公だったといえるでしょう。

 ミハルとの悲しい別れの後、戦士として飛躍的な成長を見せたカイは、ゴッグやリック・ドムなど手ごわいモビルスーツをたびたび撃破し、より経験が深いスレッガー・ロウ中尉を戦闘中にたしなめるほどになりました。しかしカイは軍人としての人生を選ぶことはなく、戦後は除隊し、ジャーナリストへの道を歩み始めます。

 優れた洞察力を持つカイにとって、おそらくジャーナリストは天職であり、多数の賞を受賞したとされています。ホワイトベースクルーたちのなかでも比較的「成功した人生」を送った人物が、カイ・シデンという優しい男だったのは、偶然ではないのでしょう。

(ゆうむら)

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