まるで別人？ 二重人格でも納得？ 初期のキャラ設定に「イタタ！」「黒歴史（笑）」

■窃盗団に苦言と呈すも「お前が言うか？」

　人気キャラクターの今と昔を振り返ると、性格がまるで異なることがよくあります。あまりに印象が違うため、ネット上で「黒歴史」とささやかれるキャラクターも少なくありません。そこで今回は、「週刊少年ジャンプ」屈指の人気キャラに着目し、彼らの愛すべき黒歴史を振り返りましょう。

●『遊☆戯☆王』海馬瀬人

　大人気マンガ『遊☆戯☆王』は、物語の途中からカードゲーム主体に方針転換したため、キャラクターの性格や立ち位置も大きく変わることになりました。なかでも変化が激しかったのが、主人公・武藤遊戯の永遠のライバル・海馬瀬人です。

　初期の海馬は、目的のためならお金に糸目をつけないヒールキャラでした。世界に4枚しかないレアカード「青眼の白龍（ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン）」を独占したいあまり、持ち主のひとりだった遊戯の祖父・双六の「青眼の白龍」を奪い取り、目の前で破り捨ててしまいます。ほかにも、実の弟・モクバを簡単に見捨てたり、殺し屋を雇って遊戯を殺そうとたくらんだりしていました。

　しかし現在は、初期の頃とは打って変わり、誇り高きデュエリストの一員です。卑劣な手段を嫌うようになり、世界的に暗躍するレアカード窃盗集団「グールズ」に対して「腐りきった連中だ」と憤慨する一幕も見せています。この海馬の姿に「一体どの口が……」「キャラ変しすぎ」などとツッコみを入れる声が多くあがっていました。

●『テニスの王子様』跡部景吾

　部員200人をまとめあげる氷帝学園のテニス部部長・跡部景吾もまた、ちょっとした黒歴史を抱えています。今でこそ作中でもリアルでもモテモテの跡部ですが、初めて本編に登場した時はまるでチンピラのようなキャラクターでした。しかも橘桔平の妹・橘杏を強引にナンパしようとした挙げ句、あえなく失敗に終わってしまいます。

　そのほかにもストリートテニスを「弱者のたまり場」と見下し、テニスの試合も真剣にやらない場面がありました。その後ファンから「跡部様」と崇拝される人物になるとは、ほとんどの人が想像していなかったことでしょう。

　今では、テニスになると泥臭い戦いを見せる作中屈指の人気キャラクターで、跡部の「黒歴史」はファンの間でも語り草となっています。ネット上でも「初期のチンピラ跡部は黒歴史」「今の跡部様が見たらどう思うんだろう」「本当にあの回、跡部の黒歴史すぎるよな（笑）」といったコメントが寄せられていました。

■クールキャラほど、過去が「黒歴史」に？

作中屈指のクールキャラ・飛影にも恥ずかしい過去が？　画像は「30周年記念『幽☆遊☆白書 25th Anniversary Single Record Box』アンコールプレス【カラー盤】」（ポニーキャニオン）

●『幽☆遊☆白書』飛影

『幽☆遊☆白書』が「週刊少年ジャンプ」で連載中に行われた人気投票で二度も1位に輝いている飛影にも、読者から「黒歴史がある」という声があがっています。

　飛影は当初、主人公・浦飯幽助の敵として登場します。そのときは盗賊をしており、下劣で乱暴なキャラ設定だったため、幽助をおびき出すために雪村螢子を人質にさらったこともありました。さらに「弱い犬ほどよく吠える」を体現するかのように、戦闘中のテンションがやたら高かったのも印象的なのではないでしょうか。

　ちなみにアニメ版では、幽助を倒すために妖力をあげた飛影の全身が緑色に変色する一幕があります。「緑飛影」とも呼ばれるその姿は、人によって「黒歴史」扱いされているようですが、ネット上には「初期のくそダサ緑飛影が愛しくて仕方ない」「ハシャいでて本当かわいい」「緑飛影は黒歴史っていうより緑歴史なのよ」などの意見もあがっていました。

●『HUNTER×HUNTER』キルア

　同じく冨樫義博作品である『HUNTER×HUNTER』のキルアも、序盤はイキッた性格の持ち主でした。若くしてプロの暗殺者となった自信から、初期の頃は自らの肩書きや、他者との力量差に優越感を感じていた様子が見て取れます。

　例えば「殺人鬼」という俗称に対して、キルアは「結局アマチュアじゃん」と一蹴してしまいます。また、故ハンター協会会長・ネテロを相手にボールの奪い合いをした際も、「あれ以上やってたら殺してでもボールとりたくなっちゃうもんな」と余裕を見せていました。とはいえネテロはハンデありでキルアに勝ったため、当時のキルアでは触れることも不可能だったでしょう。

　また、キルアがかつて愛用していたヨーヨーの武器も、人によっては「黒歴史」と見ているようです。ヨーヨーは念能力がまだ発展途上だった頃のアイテムで、念能力をマスターしてからはほとんど使わなくなってしまいました。

　しかし、ゴンも釣り竿、クラピカはヌンチャク状の木刀、レオリオは折りたたみナイフと、ほかのメインキャラクターも初期の頃に使っていた武器をほぼ使用していないので、キルアだけの「黒歴史」と呼ぶべきではないのかもしれません。

「黒歴史」とは、言い換えれば若気の至りのようなものです。今と昔で性格が異なるように見えるのは、それだけ成長した証とも言えるでしょう。

（ハララ書房）