ランバ・ラルがアムロに勝つ? 「IF展開」を堪能できる「ガンダム」ゲームたち
マグミクス / 2023年6月18日 6時10分
■本編とは違った世界観とIF展開
初代アニメの放送開始から今年で44年目を迎えるガンダムシリーズは、2023年4月より『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第2クールがスタートしており、昭和・平成・令和と半世紀近くにわたって多大な支持を集めてきました。
その歴史を紐解くと、TVアニメ・OVA・劇場版・コミカライズといった各種メディアやプラモデルの展開に加え、ビデオゲーム作品の豊富さにも驚かされます。アクションやシミュレーションなどゲームジャンルもさまざまです。今回は数あるガンダムゲームのうち、作中の史実と異なった「もしもの世界」を大胆に描いた作品をご紹介します。
●機動戦士ガンダム ギレンの野望
「ガンダム」のゲーム史を語るなら、1998年4月9日発売のセガサターン向けソフト『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(以下、ギレンの野望)を外すことはできないでしょう。『ギレンの野望』はTVアニメの史実をベースとし、硬派なシミュレーション要素で従来の「ガンダム」ゲームとはひと味違う存在感を放っていました。
プレイヤーは「ギレン・ザビ」か「レビル将軍」のどちらかを選び、ジオン公国か地球連邦軍を導くことになります。言わば国家の対局を見据える司令塔であり、モビルーツ(MS)をはじめとする兵器開発やユニット単位の戦闘を入念に進める必要がありました。
登場キャラクターは「アムロ・レイ」「シャア・アズナブル」(以下、シャア)といった主役級パイロットをふくめ、それまで映像化の機会に恵まれなかったMSV(モビルスーツバリエーション)周りの設定などもしっかりと網羅。同作はファーストガンダムの世界観を戦略シミュレーションへと内包し、多くのガンダムファンを虜(とりこ)にしました。
その『ギレンの野望』、ならびに後続シリーズで起こりうるIF展開(もしもの世界)は実に多種多様です。例えば愛機「グフ」を駆ってホワイトベース隊を苦しめたジオンの猛将「ランバ・ラル」の場合、ルート分岐次第では「ドム」に乗り換えてホワイトベース隊を打ち破り、モビルスーツの鹵獲(ろかく)に成功するという戦果をあげます。
ほかにも「キシリア・ザビが正統ジオン、ガルマ・ザビが新生ジオンを立ち上げる」「シャアが一年戦争中にネオ・ジオンを組織する」など、ジオン側だけでなもアニメ本編では描かれなかったさまざまな出来事が起こります。「ジオン軍の主力MSにギャンが採用される」といった展開もあり、政治と軍事の両面で作中の世界をプレイヤー自身の手で変えることができます。
当然ながら地球連邦軍のIF展開も多彩な仕上がりで、収録されている一枚絵に「ウッディ大尉とマチルダ中尉の結婚式」があるなど、主役級からサブキャラにいたるまで、ありえたかもしれない世界が丁寧に描かれていました。
■シーマ・ガラハウが名将に! 敵キャラの救済ルートも
2005年5月26日発売の『SDガンダム Gジェネレーション DS』(バンダイ)。宇宙世紀から『機動戦士ガンダムSEED』まで、次元を超越した機体およびキャラクターが集結している
●SDガンダム Gジェネレーション DS
2005年5月26日にリリースされたニンテンドーDS向けソフト『SDガンダム Gジェネレーション DS』(以下、GジェネDS)は、異なる時代背景や舞台設定を持つ「ガンダム」シリーズ作品を題材とし、通常では見られない豪華なクロスオーバーを実現させました。
『GジェネDS』には、「宇宙世紀」「平成ガンダム」「ライバル」と大きく分けて3つのルートが存在。ストーリー序盤までは共通ですが、『∀ガンダム』に登場した勢力「ムーンレィス」の介入が始まると、地球と宇宙を取り巻く諸勢力の動きが活発化。相対する陣営、そしてプレイヤーサイドの目標が様変わりします。
本編で死亡してしまうキャラクターの生存フラグなど、クロスオーバー作品の醍醐味をたっぷり詰め込んだ『GジェネDS』で見られるIF展開はいずれも特徴的ですが、「本編の敵対キャラクターが仲間に加わる」という名シーンも大きな魅力です。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』にて登場する女性軍人「シーマ・ガラハウ」はそのひとりです。『GジェネDS』ではシャアと邂逅を果たしたことで彼の姿勢を学び、一年戦争が終わった後も宇宙をさまようことなく、アクシズへ渡ることに成功しています。このほかにもクロスオーバーとして、「軍属である自身の行いに疑問を感じるナタル・バジルールを叱咤激励する」「ターンXの操縦者になる」など、インパクトの強い見せ場がいくつか用意されています。
また、『機動戦士ガンダムSEED』で壮絶に散っていった地球連合軍の3人組(シャニ、クロト、オルガ)は、同じく強化人間である「ゼロ・ムラサメ」の説得に感化され、本当の幸せを見つけるためにプレイヤーサイドへ参加。本来の人間らしさを取り戻したことにくわえ、「戦闘時に3人の相性パラメータにプラス補正がかかる」という変化ぶりを披露しました。
(龍田優貴)
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