『キン肉マン』強いのに父親としては「残念？」な超人たち 「厳しすぎ」て悲劇が？

■超人としては一流だが父親としては…

『キン肉マンII世』は「週刊少年ジャンプ」で人気を博した『キン肉マン』の数十年後を描いた続編です。『キン肉マン』で活躍した超人たちも「伝説超人」として登場します。主役はキン肉マンの息子・キン肉万太郎で、万太郎のほかにも数々の超人たちの息子が登場しました。

　ただ、それぞれの性格は少々難があり、父親たちの「教育」に疑問を感じてしまうほどです。今回は伝説超人のなかでもメインキャラのキン肉マン、テリーマン、ロビンマスクの子育ての苦労を振り返ります。

　テリーマンの息子テリー・ザ・キッドは、父が常にキン肉マンの「二番手」に甘んじていたことをよく思っていませんでした。その感情は、万太郎に対する対抗心として現れたようです。「正義超人大学校H・F」在学中に、悪行超人アナコンダが万太郎に勝負を挑みに来た際、自分が実績を上げようとキッドは真っ先に立ち向かい負傷してしまいます。

　そして、キン肉マンがキッドの怪我を手当てした際、キン肉マンはテリーマンに対する尊敬の念を口にするのです。それを聞いたキッドは改心し、悪行超人と戦う万太郎のフォローに回るのでした。

　キッドは自分の父親であるテリーマンを敬愛しており、キン肉マンさえいなければ父親が一番だったかもしれないとの鬱屈した感情を持ってしまったのではないでしょうか。しかし、すぐに自身の考えを改める柔軟さ、性格の良さもあり、父親への愛情も見られるので、比較的良い育てられ方をしたように考えられます。

　キッドは「そういえばパパから聞いた事がある」と、いろんなことを父親から教わっていたことが分かる博識ぶりも見せており、テリーマンはしっかり息子と向き合っていたようです。しかし、過去の自分の姿が原因で息子に反発されるという、子育ての難しさに直面したキャラでした。

　キン肉マンの息子・キン肉万太郎はそもそも戦うことが嫌いで、トレーニングをするくらいならゲームをしていたいという性格です。現れた悪行超人と戦う相手として万太郎に白羽の矢が立ったときも、彼は逃げまどい、弱気な姿を見せました。生まれつきキン肉星の王子として育てられ、父・キン肉マンことキン肉スグルも40歳を過ぎてできた息子を甘やかしていたので、こういった性格になるのはしょうがないかもしれません。

『キン肉マンII世』第1話では、息子からそもそも「万太郎」という名前すら嫌いと言われ、格闘家であることも馬鹿にされ、将来は弁護士か科学者になりたいと言われるなど、スグルの父親としての姿はかなり情けないものでした。万太郎は悪行超人に父や師匠のラーメンマンをバカにされると、いきなり「キン肉バスター」を放つなど、さすがといえる素質を持っていたため、もうちょっと育てようがあったのではないかと思えてしまいます。しかし、キン肉マンは息子が地球に駐屯し始めると厳しい一面も見せ、その後も父親として範を示そうと奮闘しました。

　キン肉マンは息子を甘やかしすぎていましたが、正義超人のなかでも最も紳士だったロビンマスクは、逆に息子・ケビンマスクに厳しく接しすぎてしまいます。その結果、ケビンマスクは悪行超人軍団の一員として登場しました。父親のロビンマスクから受けた英才教育があまりにも厳しかったようで、その生活にストレスを感じ、まだ8歳の時に家を飛び出していたのです。

　優秀な親が子供に期待するあまり、プレッシャーを感じた息子が反抗して不良になるケースは、現実社会でも少なくない話です。ネットではロビンマスクの子育てに関して「子育て失敗おじさん」「スパルタ教育はよくないと分かる好例」「超人としては超一流だけど子育てに失敗してて残念」「H・Fの校長なのに自分は息子の教育に失敗って、よく聞くような妙に生々しい設定だな」などの声があがっています。

　ただ、父の理想とは違う方向に育ったものの、ケビンマスクは「第22回超人オリンピック ザ・レザレクション」で万太郎を破って優勝しロビンマスクとも和解、公式人気投票でも何度も1位を獲得するなど、ちゃんと「立派」な人物になったと言えます。キッドも万太郎も、紆余曲折を経て一人前の超人になっているので、見守りつつもあまり余計な干渉はしない、というようなバランスの子育てがいいのかもしれません。

（LUIS FIELD）