全問正解したら漢字マスター？ 「初見殺し」の絶対に読めない難読名キャラたち

■小手調べは国民的人気作品の難読キャラ名

　マンガやアニメには、非常に「読み方」が難しいキャラクターがたくさんいます。ありきたりな名前でない分、ファンの記憶にも残りやすく、国民的な人気作品にも難読名字を持つキャラがいるのが面白いところです。アニメやマンガに親しんでいる人は、きっといつの間にか漢字に強くなっていることでしょう。

　この記事では初見で読むのが難しそうなキャラクターを10名紹介します。全員読めたら、「マンガ＆アニメ上級者」と胸を張ってもいいと思います。また、もし作品を知らずに読めたなら、かなりの「漢字マスター」と言えるでしょう。

●虎杖悠仁

　虎杖悠仁は、累計発行部数7000万部を超える大人気マンガ『呪術廻戦』の主人公です。正解は「いたどり・ゆうじ」でした。蓼科の植物の名前に、虎杖というものがあります。全国に50人ほどいる実在する名字です（日本の名字の約99％を網羅している「名字由来net」での調査結果）。

●夏油傑

　同じく『呪術廻戦』より「最悪の呪術師」の異名を持つ敵キャラクターです。正解は「げとう・すぐる」です。岩手県北上市に夏油という地名があり、温泉地として知られています。

●嘴平伊之助

　嘴平伊之助国民的人気を誇る『鬼滅の刃』の人気キャラクターです。同作は小学生にも大人気の作品なのに、難読キャラ名が続出します。正解は「はしびら・いのすけ」で、嘴平は実在しない名字のようです。

●栗花落カナヲ

　同じく『鬼滅の刃』より、主人公・竈門炭治郎の同期隊士です。正解は「つゆり・かなを」でした。栗の花が落ちる時期である6月頃を意味するため、「つゆり」と読みます。2021年2月放送の『沸騰ワード10』（日本テレビ）に出演した名字研究家・髙信幸男さんの話によれば、実在する名字だそうです。

　奈良時代、天皇に仕える役人がとある美しい姫と結婚しますが、姫は早逝します。役人が姫を祭るために設けた社に栗の花が落ち、梅雨入りの時期が来るごとに社から泉がこんこんと湧いたという伝説が残されています。その後、残された姫の一族が名乗った名字だと言われているそうです。

●小鳥遊六花

　こちらは、『中二病でも恋がしたい！』のメインヒロインです。正解は「たかなし・りっか」。「小鳥が遊んでいるから鷹がいない」という意味で、「たかなし」と読みます。こちらも実在する名字で、『WORKING!!』の小鳥遊一家や、『イナズマイレブン』の小鳥遊忍など、多数の作品に出てきました。

●五月七日くみん

　同じく『中二病でも恋がしたい！』のキャラで、正解は「つゆり・くみん」です。なんと、栗花落カナヲと同じ読み方でした。旧暦の5月7日に「栗花落祭り」という雨乞いの祭りが行われるため、このように読むそうです。旧暦5月はグレゴリオ暦の5月下旬から、7月上旬にあたります。

●伊弉冉一二三

　メディアミックスプロジェクト『ヒプノシスマイク』の登場人物で、正解は「いざなみ・ひふみ」です。伊弉冉は日本神話に登場する女神「イザナミ」にあてる漢字の一種で、、他にも「伊邪那美、伊耶那美、伊弉弥」などがあります。

●四十物十四

　同じく『ヒプノシスマイク』のキャラで、正解は「あいもの・じゅうし」です。四十物とは鮮魚と塩漬け加工品の間にある塩魚類のことで、40種類ほどあることから、後からこの字をあてたと語られています（「株式会社四十物昆布」のHPより）。富山などに見られる名字です。

●邪答院仄仄

『ヒプノシスマイク』は、難読キャラの宝庫です。正解は「けいとういん・ほのぼの」で、名字も名前も難読です。。女性キャラですが、名前では性別が分からないでしょう。邪答院と書いて「けとういん」と読む名字は、実在するそうです。また、邪答院は「祁答院」の誤記ではないかとも言われています。鹿児島で見られる地名、名字です。

●十龍之介

　スマートフォンアプリゲームで、アニメシリーズも人気の『アイドリッシュセブン』のアイドルグループ「TRIGGER」の最年長メンバーです。正解は「つなし・りゅうのすけ」。こちらも実在する名字で、十には「つなし」のほか「もげき」「よこたて」などの読み方があります。ひとつ、ふたつ、みっつと読んでいったとき、「十」には「つ」がつかないので、このように読むのだそうです。なお、70年代の人気ドラマ『ありがとう』に児玉清さん演じる十龍之介（つなし・たつのすけ）という人物が登場しますが、両者の関係は定かではありません。

　こうして並べてみると、日本の漢字文化、名字文化の幅広さと奥深さを改めて感じます。はたして、全問正解できた人はいたでしょうか？

（大山くまお）