ベジータがナメック星で超サイヤ人になってたら フリーザには勝てた？

■ベジータは何かのコツをつかんでいる？

　人気マンガ『ドラゴンボール』の「フリーザ編」にて、ベジータは孫悟飯、クリリンとともにフリーザに戦いを挑みます。この時の戦闘力は25万でした。リクームに負けた後、悟空に貰った仙豆によって回復して成長したようで、1990年12月の「ブイジャンプ」にて、この時点でかなり高くなっていたことが説明されています。

　ベジータは戦闘力53万（第1形態）のフリーザに対して、悟飯、クリリンと一緒に戦えば何とかなるという読みでした。戦闘力は油断すると、わずかの差でも瞬殺されるパラメーターですが、この時のベジータは戦闘力が倍以上あるフリーザとある程度戦えていたので、瞬間的には25万以上あったのかもしれません。

　そもそも、ベジータがこの時点で戦闘力25万ということは、かなりの飛躍です。リクーム戦で3万程度だったベジータの戦闘力は、仙豆による回復で推定6～7万程度（ジースには勝てるけれど、12万のギニューには勝てない程度なので、その辺りでしょう）になったと考えられます。そこからベジータは特に戦わず、フリーザ戦に突入しました。

　ベジータは「天才」ですから、地球での悟空との戦いで「戦闘力のコントロール」という概念を身に着け、さらにギニューと戦う悟空が「界王拳」を使うのを見て、界王拳に近い技を身に着けたのではないでしょうか。ベジータの基礎戦闘力を6万2500とするなら、「4倍界王拳」相当のパワーアップで公式説明通りの25万となりますから整合性が取れます。

　その後ピッコロや悟飯がフリーザと戦っている間、ベジータはフリーザに勝つために、クリリンにわざと大ダメージを与えてもらいました。そして、デンデの回復能力を使うことで「瀕死から回復するとパワーアップ」するサイヤ人の特性で、大きく戦闘力を向上させます。そのことで、ネイルとの同化で進化し戦闘力が100万以上あるピッコロが圧倒された第3形態のフリーザに対しても、ベジータは「自分は超サイヤ人になった」と自信を見せます。

　第3形態フリーザの戦闘力は、どれくらいでしょうか。「公式情報」とは断定できませんが、1988年からバンダイより発売されたトレーディングカードゲーム「ドラゴンボールカードダス本弾」の情報では、150万とされています。しかし、150万だとピッコロは「ベジータたちと共闘すれば勝てる」と考えるでしょうから、もう少し強く、200万くらいあるのかもしれません。

　一方、クリリンに半殺しにされた後のベジータは、上記のカードダスでは200万とされています。パワーアップ前の25万が「界王拳のような技を使った結果の戦闘力」なら、この200万も「界王拳のような技を使った結果」であるとも推察できます。この場合は「元々が6万2500→20万にアップし、10倍界王拳相当で200万」とも考えられるわけです。

　では、ここでベジータが自己申告通り、本当に超サイヤ人に覚醒していたのなら、戦闘力1億2000万（『ドラゴンボール大全集』より）の最終形態フリーザを倒せたのでしょうか。

　こちらも『大全集』の情報ですが、超サイヤ人になれば、「戦闘力を50倍にアップさせる」ことができます。もとの基礎戦闘力が20万なのであれば、超サイヤ人化で50倍しても1000万ですから、最終形態フリーザに勝てるわけがありません。「おかしな変身で、少しは強くなったようだけど、ボクには敵わなかったね」で終わりでしょう。

　ただ、『大全集』をはじめとする公式の説明によれば「フリーザ編」の悟空は「基礎戦闘力が300万で、20倍界王拳で6000万。そして、超サイヤ人化で1億5000万」のようです。ギニュー戦での悟空は、界王拳を使って18万ですから、基礎戦闘力がおそらく9万。瀕死からの回復で9万→300万（元の33.3倍）という、大幅なパワーアップを実現したことになります。

　上記の通り、ベジータの基礎戦闘力がおよそ6万2500で、デンデの回復によりそれが200万（32倍）になったというなら、このパワーアップ比率とほぼ同じです。もしかしたら、ベジータは本人の自覚通り「超サイヤ人の入り口」には立てていたのかもしれません。

　基礎戦闘力が20万ではなく、200万なら50倍で戦闘力1億になります。ベジータが「フリーザ編」終盤で超サイヤ人になれていたなら、1億2000万の最終形態フリーザに勝てないにしても、いい勝負はできたでしょう。

　もし、悟空がもう少し仙豆をもっていた、もしくは回復能力を持つデンデが殺されていなければ、怒りではなく、懇願する気持ちで悟空に「フリーザを倒してくれ」と願ったベジータを、助けられていたかもしれません。そうすると「穏やかな気持ちから、怒りで目覚める」という、超サイヤ人になるための条件を満たせる流れも考えられます。

　劇中ではコテンパンに負けたベジータですが、「あと一歩」のところまでは来ていたとも考えられるのではないでしょうか。

（安藤昌季）