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『ガンダム』なぜホワイトベースは直接ジャブローを目指さなかった? あえて遠回りをしたワケ

マグミクス / 2023年7月3日 6時10分

『ガンダム』なぜホワイトベースは直接ジャブローを目指さなかった? あえて遠回りをしたワケ

■もうガンダムを届ける必要がなかった?

 アニメ『機動戦士ガンダム』は、主人公が乗艦している新型戦艦(強襲揚陸艦ですが、劇中ではそう呼ばれています)ホワイトベースが、ドラマの舞台として印象深いです。

 このホワイトベース、正規軍人が数多く戦死したなかで、サイド7からルナツーを経由して、地球連邦軍総本部ジャブローに、ガンダムなどの試作型モビルスーツを届ける任務に従事します。

 しかし、大気圏突入寸前で、ジオン軍の「赤い彗星」シャアによる攻撃を受けて、軌道を狂わされ、ジャブローではなく北米に降下します。そこでガルマ・ザビの大部隊による攻撃を受けますが、ブライトの奇策とシャアの裏切りにより、窮地を脱するのです。

 不思議なのはここからです。ホワイトベースは飛行できるのですから、北米から南米まで飛べば、すぐに作戦目的を達成できたでしょう。にもかかわらず、太平洋を横断して、第13~15話は日本周辺、第16~22話は中央アジア、第23~25話は東欧のオデッサ周辺、第26~28話は英国ベルファストと地球を一周し、第29話でようやくジャブローに到着するのです。

 なぜこんな遠回りをしたのでしょうか。「連邦軍上層部が、試作型モビルスーツはもう必要ないと考えたから」ではないでしょうか。

 ガンダムがザクと史上初のモビルスーツ戦闘(『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』はパラレルワールドです)を行ったのは、宇宙世紀0079年9月18日です。一方『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』で、シローが第08MS小隊の隊長に着任したのは、0079年10月6日。時系列はホワイトベースが北米でガルマを戦死させた時点となります。

 08小隊という以上、01~07小隊もあるはずで、慣熟訓練を考えるなら、ガンダムがザクと戦闘した時点で、陸戦型ガンダムや陸戦型ジムが存在しても不思議ではありません。

 となると、ハードとしてのガンダムやガンタンクをジャブローに送り届けても、あまり意味がないということです。試作機の設計図は共有されているでしょうから、試作機を元に何かを作るということも考えにくいでしょう。

 であるなら、もっと戦略的に有意義な使い方をするべし、となるのが自然です。ホワイトベース隊が北米で、ザビ家の御曹司ガルマを戦死させたことで「とても有名な部隊」となりました。実際、ガルマの仇討ちとして、ランバ・ラルのような歴戦のエースが投入されています。

 つまり、こういうことでしょう。「ジオン軍の制圧下にはあるが、それほどの大兵力が存在しない地域をことさらに通過して、ジオン側の兵力を分散する」「ガルマの仇討ちに来た、ジオン軍の精鋭部隊と交戦し、対モビルスーツ戦の戦闘データを教育型コンピューターに学習させる」ということです。

 その結果、ホワイトベースが仇討ち部隊にやられたとしても、アムロたちが残した戦闘データは続々と量産されているモビルスーツに反映されますから、無駄死ではありません(ブライトたちはたまったものではないでしょうが)。

 で、ジオン軍は大兵力を投入することなく、精鋭のランバ・ラル隊や黒い三連星を逐次投入し、各個撃破されるのですが、これは地球連邦軍が「ジオン軍が大兵力を派遣して迎撃しにくいルート」に、ホワイトベースを派遣し続けたからとも考えることができます。

 ホワイトベースは期待以上の活躍を見せ、ジオン軍のエース撃破だけでなく、水爆ミサイルまでも阻止していますから、この陽動作戦は大成功といっていいでしょう。

「付けられましたな」「あの白い強襲揚陸艦は厄介者」のようにも言われるホワイトベースですが、レビル将軍は何もブレることはなく、重要戦線に投入し続けましたから、これは恐らくレビルの考えなのでしょう。

 宇宙でも「第13独立戦隊」として、単独で囮部隊となり、ジオン艦隊を引きつけていますから、同じ使い方をされていたに違いありません。

 そして、ホワイトベース隊の活躍は「連邦軍勝利の象徴」として、最大に報じられたことでしょう。それもあって画面映えするマチルダが派遣されたのかもしれません。セイラも画面に出されようとして、拒否していた、とも考えられます。軍人でもないフラウが乗艦し続けたのも、広報用映画を撮るのに都合がよかった可能性もあります。ちなみに歴代のガンダムが配属された各部隊は美女や美少女が多いですが、プロパガンダの都合もなきにしもあらずでしょう。

 ちなみに劇中で最初に「ガンダム」と呼んだジオン兵は、第17話のコズンで、0079年10月上旬です。コズンは「ガンダム、ガンタンク、ガンキャノンの3つのタイプが存在する」と味方部隊に通報しています。

 地球連邦軍としては、ガンダムの存在をもう秘密にする必要もないので、コズンの通報と同じくらいの時期から、プロパガンダ映像を作っていたに違いありません。その映像はもちろん、ジオン軍も見るでしょうから「連邦の白い悪魔」という認識を深めたことでしょう。

 これはホワイトベースがすんなり、ジャブローに向かっていたら達成できなかったことであり、連邦軍としては「シャアが軌道を変えたことは結果オーライ」みたいな気持ちだったのではないでしょうか。

(安藤昌季)

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