『ガンダム』心がえぐられる「トラウマ死亡シーン」3選 「無駄死にが余計にツラい」
マグミクス / 2023年7月8日 6時25分
■戦争の悲惨さが伝わる衝撃的なヘルメットの中身
戦争を描く「ガンダム」シリーズでは、熾烈な戦いの果てに衝撃的な最期を迎えるキャラクターが少なくありません。なかには一度見たら目に焼き付いて忘れられないほど、悲惨な最期を迎えるキャラもいます。そこで今回はトラウマ級に心をえぐられた死亡シーンを振り返ります。
※この記事には『機動戦士Vガンダム』『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のネタバレが含まれています。
●『機動戦士Vガンダム』
ひとつ目は、1993年4月に放送開始された『機動戦士Vガンダム』のワンシーンです。主人公の少年ウッソ・エヴィンはザンスカール帝国軍と戦闘が激化するなか、探し続けていた失踪中の母親ミューラ・ミゲルと再会を果たします。
しかしザンスカール帝国の軍人ゴズ・バールによって、ミューラは生身のままモビルスーツ・ゾリディアに掴まれ人質にされます。ウッソは戦闘にこそ勝利しますが、ゾリディアはミューラを掴んだままアドラステアの砲塔にひっかかってしまい、身動きが取れない状態に。そこへ仲間の攻撃を受けた反動で飛んできたザンスカール軍の巡洋艦「リシテア」のタイヤが、ゾリディアを直撃してしまうのです。
ミューラはゾリディアと共に押しつぶされ、その衝撃でヘルメットを被った首だけになってしまい死亡します。仲間の元に戻ったウッソは、うつろな表情で首が入ったミューラのヘルメットを上官のマーベット・フィンガーハットに差し出して「母さんです」と呟くのでした。
主人公が親を失う展開は他の「ガンダム」シリーズでも見られましたが、ここまで直接的な惨状を目の当たりにした主人公は、ウッソがはじめてだと言えるのではないでしょうか。放送から30年が経過した今でもSNSでは「いまだに『母さんです』がトラウマ」「辛すぎて何度も見れない」という声があがっています。
●『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』
ふたつ目は1989年にリリースされた「ガンダム」シリーズ初のOVA作品である『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の一幕です。コロニー・サイド6で暮らす少年アルフレッド・イズルハは、連邦軍の新型モビルスーツNT-1奪取のためコロニーにやってきた新兵バーナード・ワイズマン(バーニィ)と出会います。
バーニィらの作戦は他のメンバーが死亡したことで失敗に終わり、一度はコロニーを脱出しようとします。しかし核攻撃の計画があることを知ると、もう一度ガンダムと戦うことを決意して脱出を取りやめるのでした。
ザク改に乗ってNT-1との戦いに臨んだバーニィは、激闘の末コックピットをビームサーベルで貫かれて死亡してしまいます。しかも最後の瞬間まで、ガンダムに乗っていたのが、好意を寄せているクリスチーナ・マッケンジーであることなど知る由もありませんでした。
バーニィの死にざまは、爆発したザクのコックピットから本人を確認することが出来ないほどの惨状で、連邦軍の兵士が「ミンチよりひでえよ」と称するほど。兵士の言葉を聞いたアルフレッドはただ呆然とするほかありませんでした。
実は、バーニィが命がけで戦う理由となった核を積んだジオンの戦艦は、コロニーに辿(たど)り着く前に連邦軍に撃墜されています。結果的にバーニィの死は無駄死にとなり、より視聴者のやるせなさとトラウマに拍車をかけました。
■「無邪気さが逆に怖すぎる」
ガンダム・エアリアルの前で手を伸ばし合うスレッタとミオリネが描かれた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』キービジュアル (C)創通・サンライズ・MBS
●『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
最後は、2023年7月に最終回を迎えた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』から。主人公のスレッタ・マーキュリーは宇宙産業の大手ベネリットグループが経営する、アスティカシア高等専門学園に編入するため水星からやってきます。ひょんなことから園理事長のひとり娘であるミオリネ・レンブランの婚約者となったスレッタは、水星から持ち込んだガンダム・エアリアルと共にミオリネを支えながら学園生活を送りはじめます。
しかしその影では権力者たちの陰謀が渦巻いていました。Season 1の最終話、ミオリネの父であるベネリットグループの総裁デリング・レンブランを暗殺しようとする計画が実行に移され、スレッタとミオリネも訪れていたコロニーが襲撃を受けます。
敵の攻撃によってスレッタとはぐれてしまったミオリネは、爆発に巻き込まれる間一髪のところを、デリングが身を挺してかばってくれたおかげで難を逃れました。これまで反抗を繰り返してきた父親の思わぬ行動に激しく動揺していたところ、興奮した様子の敵兵に遭遇して銃を向けられます。
そこへエアリアルに搭乗したスレッタが現れ、敵兵をガンダムの手のひらで叩き潰しました。スレッタは、飛び散った血液の上に平気で降り立ち、笑顔で血まみれの手を差し出すも、ミオリネからは「人殺し」呼ばわりされるのでした。しかし、まったく悪びれる様子のないスレッタに視聴者からは「無邪気さが逆に怖すぎる」「一気に地獄展開」などの声が上がり、放送直後からトラウマになったという人が続出しました。
ときに強烈なトラウマを生むこともある死亡シーンですが、残酷なだけではなく物語に説得力をもたせる手段として必要な場合もあります。とはいえ、あまりに凄惨なシーンだとトラウマになったシーンだけが心に焼き付いてしまうため、バランスが難しいところです。
(LUIS FIELD)
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