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ファミコンと同時発売だった『ポパイ』と『ドンキーコング』には「不思議な因縁」が?

マグミクス / 2023年7月16日 21時10分

ファミコンと同時発売だった『ポパイ』と『ドンキーコング』には「不思議な因縁」が?

■ファミコン以前から知名度が高かった2作品

 1983年7月15日にファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)が発売されたてから、40周年の節目を迎えました。ファミコン用のソフトは、『ドンキーコング』『ドンキーコングJr』『ポパイ』の3タイトルが同時に発売されましたが、実は『ドンキーコング』と『ポパイ』には浅からぬ因縁があります。それはどういうものだったのでしょうか?

 ファミコンが発売されてから40年、最初に買ってもらったカセットに強い愛着を持っている方も多いでしょう。筆者が買ってもらったのは『ナッツ&ミルク』というタイトルで、丸くて可愛い主人公の「ミルク」を操り、敵をかわしながらステージを攻略するアクションパズルゲームでした。

 後に1000を超えるタイトルが発売されたファミコンですが、本体と同時に発売されたローンチタイトルは『ドンキーコング』『ドンキーコングJr』『ポパイ』の3本でした。「たったの3本?」と思う方もいるかもしれませんが、当時としては、カセットを入れ替えるだけで別のゲームを遊べるというのは、子供たちにとっては革命的な出来事だったのです。

 この3タイトルのなかでも、『ドンキーコング』の存在感は群を抜いていました。1981年にアーケードゲームとして発売された『ドンキーコング』は圧倒的な支持を集め、『スペースインベーダー』や『パックマン』に続くヒット作品として高い知名度を誇りました。

 任天堂がファミコンの発売前から展開していた「ゲーム&ウォッチ」でも『ドンキーコング』が発売されており、ゲームセンターには縁が遠い子供たちも親に買ってもらったり、友だちに借りたりして遊んでいたものです。

 一方、『ポパイ』の知名度もかなり高いものがありました。当時はたびたびTVアニメが放送されており、子供たちはポパイが缶詰入りのほうれん草を食べてピンチを脱する姿に喝采を送っていたものです。ゲームとしては、1981年にゲーム&ウォッチ版が、1982年にアーケード版が発売されており、ファミコンのローンチタイトルに選ばれたのもうなずける話です。

『ドンキーコング』と『ポパイ』の両タイトルにある因縁は、「『ドンキーコング』はもともと『ポパイ』として開発される予定だった」というものです。

■『ポパイ』の企画から『ドンキーコング』が生み出された

ファミコン本体と同時に発売されたソフトのひとつ『ポパイ』(任天堂)

『ドンキーコング』の開発は、北米市場で『レーダースコープ』というシューティングゲームが人気を獲得できず、大量の在庫基板を処理するために任天堂の社内で企画を募集したことから始まりました。

 開発に当たったのは当時新人で、現在は任天堂株式会社の代表取締役フェローを務める宮本茂氏です。この時期の任天堂はゲーム&ウォッチが大人気で、割ける人員が不足していたため、デザイナーとして入社した宮本氏に白羽の矢が立ったのです。

 宮本氏は当初『ポパイ』を題材としたゲームを開発する予定でした。しかしこの時期は版権の都合がつかず、宮本氏はキャラクターデザインを新たに起こし、ほぼ単独で『ドンキーコング』を作り上げました。なお、後に『ポパイ』は版権が下りて無事開発が行われています。

 紆余曲折を経て世に送り出された『ドンキーコング』は大ヒット作品となり、宮本氏は以後もゲームクリエイターとして「マリオ」シリーズや「ゼルダの伝説」シリーズなど数々の大ヒット作を手掛けることになります。

 つまり、もし宮本氏に白羽の矢が立たなかったら、『ポパイ』版権の使用許諾が1年早く降りていたら、『マリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズはこの世に存在していなかったかもしれないのです。

 世のなかでは些細な出来事が後に大きな影響をもたらすことがありますが、『ドンキーコング』の開発にまつわるエピソードも、間違いなくそのひとつと言えるのではないでしょうか。

(早川清一朗)

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