「りぼん」読者1000人の熱い思いから見える、さまざまな人生の「名場面」
マグミクス / 2019年9月10日 11時20分
■「りぼん」読者の「あるある」エピソードとは?
2019年7月より東京で始まった「特別展 りぼん 250万りぼんっ子 大増刊号」が京都に会場を移し、2019年10月30日(水)から京都高島屋で展示を開始します。少女マンガ誌「りぼん」とともに育った大人世代には、どのような「りぼん」の思い出があるでしょうか。「りぼん」をテーマとした同人誌の制作経験があるライターのさくらいみかさんが、1000人の「りぼんっ子」から寄せられたさまざまな声を紹介します。
* * *
小学生のころに教室でよく聞いた「りぼん派? なかよし派?」という会話を、大人になっても聞く機会がちょいちょいあります。そして年齢が近い者同士だと、まるで当時の同級生かのように「あった、あった!」と共通の思い出にトリップし、いきなり「りぼん」トークが始まったりするものです(少なくとも私の周りでは!)。
創刊から64年なので、70代より下の世代なら思い出がある人も多いはず。そんな「りぼん」にまつわる思い出をネットで募集したところ、1953年~2000年生まれという広い世代の1000人から投稿がありました。その結果は私も含めたユニットで出した同人誌「りぼんメモリアル」に掲載しています。
例えば、一番多くの人に読まれていた1980~90年代の読者からよく聞くのは、こんな「あるある」エピソード。
【いまだに初恋の人は?という質問に「ときめきトゥナイト」の真壁俊と答える(1976年生まれ)】
【高校生になったら「天使なんかじゃない」みたいな学校生活が送れると信じ込んでいた(1980年生まれ)】
【いまだに「ママレード・ボーイ」の銀太派か遊派か盛り上がれる(1983年生まれ)】
【小学生のとき「GALS!」のファッションをマネする子が多かった(1989年生まれ)】
【岡田あーみん先生を好きだと周りになかなか言えなかった(1974年生まれ、ほか数名)】
子供時代だと、4歳違うと小学生と高校生だったりするので、年齢がズレると「思い出の作品」はかなり違ってきますが、「りぼん」のふろくは1960年生まれ世代からずっと変わらず、日用品として、あるいは友だちとの交流ツールとしての役割も果たしてきました。
【陸奥A子先生のふろくのノートで、友人5人と交換日記を書いてました(1960年生まれ)】
【全員プレゼントの、小椋冬美先生の絵柄のピンクのくしは20年以上愛用してました(1966年生まれ)】
■一生忘れられない、「激しすぎる」エピソードも
筆者が参加するユニット「神保町クラブ」で出した同人誌「りぼんメモリアル」。80〜90年代の「りぼん」を、さまざまな視点からリサーチしている
ふろくを愛用するエピソードも、21世紀に入るとこうなります。
【タイピングのふろくがとても好きで、おかげで速く打てるようになりました(1990年生まれ)】
ほかにも、「なかよし」派とふろく交換をしたり、夏にはふろくのプールバックを学校へ持っていくとクラスの誰が「りぼん」派なのか分かったり。
姉妹で「どっちが先に読むか」ケンカした、というような家庭内エピソードも多く届きました。次の投稿は、そのなかでも激しめだったものです。
【妹とどちらが先に読むかで毎回大ゲンカになるため、母の解決策で真ん中で2つに割って読んでいました。(1980年生まれ)】
そしてもうひとつ、楽しみ過ぎて勢い余った激しめエピソードを。「一刻も早く欲しい!!」と毎月思っていた身として、気持ちは分かります。
【発売日に早く入手したいがために、走ってスーパーに行ったら自動ドアに激突して両足を怪我し救急車で運ばれた。12針縫った。(1983年生まれ)】
最後は「転校」にまつわるエピソード。当の本人は元の学校の友人に見つけられるだなんて、1ミリも予期していなかったでしょうね。
【転校して会えなくなった友達が応募プレゼントに当選して、名前を誌面で見つけて感動した(1983年生まれ)】
「りぼん」について思い出そうとするだけで、全然関係ない記憶まで釣りあげてくる人が多く、それほど暮らしそのものに溶け込んだ文化だったのだと思い知らされます。「りぼん」卒業後に興味を持つものは人それぞれですが、「りぼん」はやはり、多くの人にとっての原点となっているようです。
(さくらいみか)
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