韓国でさかんに作られていた、90年代『ストII』映像作品の微妙な「再現度」
マグミクス / 2019年9月12日 19時40分
■実写作品で特に目につく、「ブランカ」の不自然さ
懐かしの1990年代格闘ゲームといえば、『ストリートファイターII(以下、ストII)』。カプコンから1991年に発売され爆発的人気を誇った対戦格闘ゲームです。韓国でも『ストII』の人気は非常に高く、これを題材とした映像作品がさかんに作られていました。
映像作品で確認できるのは、次の5作品です。『ヤング ストリートファイター』(実写)、『ストリートファイターQ版』(実写)、『メングチャングストリートファイアー』(実写)、『ストリートファイター 街頭争覇戦』(実写)、『通りの無法者』(アニメ)。
『ストリートファイター 街頭争覇戦』は、香港で1990年から発行された人気マンガ『街頭覇王』を実写化したもので、『ストリートファイターII』を元ネタにしています(無版権)。オープニングの映像が強烈で、岩山の上にストリートファイターたちが立って技を繰り出す様子が描かれます。ザンギエフは体の傷がマジックインクで書かれています。
『ヤング ストリートファイター』に至っては、キャストがヤングなのですが、あからさまにガイルやバイソンを子供が演じています。オープニングではリュウやケン、春麗がワイヤーでグルグル回りながら空を飛んでいます。
どの実写作品でも目立つのはブランカです。全身に緑色の絵の具でメイクされ赤いカツラを被った人が演じていますが、ゲームをそのまま実写化する不自然さを象徴している存在です。
『ストリートファイターQ版』は、韓国ロボットアニメ『テコンV』のキム・チョンギが製作しています。『ストII』のキャラクターのコスプレ(ゲームと微妙に違う)をした人たちが暴れまわるという内容です。おそらく、『ストリートファイターIII』のQとは何の関係もないでしょう。
どの実写版も、ゲームに登場しないオリジナルキャラクターが登場していて、非常にややこしいです。
■勝手にアニメ化された、『通りの無法者』
『ストII』を題材にしたアニメ『通りの無法者』(VHS版ジャケット)
『メングチャングストリートファイアー』はストリートファイ“ア”ーと、微妙にタイトルが違っています。韓国コメディアンを主役にした『ストII』っぽいドラマです。監督のワン・リョンは韓国版の『幽遊白書』や『北斗の拳』、『ドラゴンボール』の監督として有名。かつ、韓国版の『聖闘士星矢』や『スラムダンク』の主題歌を歌ったことでも知られる人物です。韓国特撮『ファイティングマン』の監督ですね。
同作品は、とにかく元ネタのキャラクターに似せるつもりがあまりないという、別の意味で“オリジナリティー”がある作品でした。
そして、『ストII』は勝手にアニメ化もされていました。しかもギャグ作品として。それが、『通りの無法者』です。
タイトルに「ストリートファイター」とうたっていないところに、カプコンへの目くばせが感じられます。なのに、DVD化された時にはパッケージに「ストリートファイター」と書かれていたりと、気を遣っているのか遣っていないのかどっちなんだ? と思わせます。
同作品は韓国の漫画雑誌「少年チャンプ」に連載された『ストリートファイターIII』が原作です。おそらく正規の『ストIII』とは関係なく、数字を足して勝手に続編を作ってしまったものと考えられます。
核戦争後の世界を舞台に、『ストII』のキャラクターに“よく似た”キャラクターたちが活躍するのです。ただし名前は違っています。核戦争後の世界なのに、最初の戦いがゲームセンターで展開されるなど、「本当に核戦争後の世界なのか?」と疑問に思える設定です。主人公たちは下品なギャグを交えながら戦いますが、基本的に主人公のふたりは弱いです。
今回は詳しく紹介しませんが、『ストII』だけでなく『龍虎の拳』(SNKから1992年に発売された対戦格闘ゲーム)も韓国で実写化されています。当たり前ですが、演じている人は、全員、韓国の俳優さんです。イタリア人のロバート・ガルシアも韓国人が演じています。同作はキャラクターを元ネタに似せようという努力が見え、誰がどのキャラクターなのか区別がつくため、実写版としては比較的マシな方だという印象です。
それぞれ、製作の経緯や内容について是非はあるにせよ、1990年代初頭の韓国でも、格闘ゲームは大人気だったことが映像作品からもうかがえるのです。
(かに三匹)
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