ファミコン市場に挑み、ゲーム仲間の輪を広げてくれた「メガドライブ」との出会い
マグミクス / 2019年9月17日 19時40分
■「ファミコン」の市場に風穴を…「メガドライブ」の挑戦
2019年9月19日(木)に発売が迫る「メガドライブ ミニ」は、かつて「メガドライブ」を楽しんでいたファンたちの間で大きな話題となっています。かつてメガドライブのゲームを楽しみ、「メガドライブ ミニ」も既に予約済みのライター、早川清一朗さんが当時の思い出を語ります。
* * *
敵勢力の思考ルーチンが高速化された『アドバンスド大戦略』をやりたいと思ったことはありませんか?
筆者は今でもそう思っています。残念ながら「メガドライブ ミニ」には収録されませんが、いつかどこかでプレイできる日が来ることを祈っております。セガさんよろしくお願いします。とはいえ、今回のラインナップを見ても、余力が残っているようには思えないし、無理かなあ……。
さて、「メガドライブ ミニ」の元となった「メガドライブ(以下、メガドラ)」は、1988年10月にセガから発売されたゲームハードです。「当時から大人気だった」と言いたいところですが、正直な話、所有しているのは少々マニアックな趣味を持つ人間が多かった記憶があります。
その理由は、「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)がまだまだ現役のハードとして活躍していたことが大きいでしょう。さすがに一時の勢いは失われていたものの、メガドラ発売後の1990年に登場した、『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』『ファイナルファンタジーⅢ』といったレジェンド級のカセットの顔ぶれからも、まだまだ家庭用ゲーム機の王者として君臨していたことが分かります。
当時の筆者の記憶では、同じクラスの20人の男子中、15人以上がファミコンを持っていて、「PCエンジン」が1人か2人、メガドラは1人いるかいないかという感じだったような気がします。
筆者もお小遣いはファミコンのカセット優先で、とてもメガドラに回す余裕などありませんでした。そうこうするうちに1990年11月には「スーパーファミコン」も発売され、メガドラへの意識はますます薄れて行きました。
このままメガドラをスルーして終わるのだろう。そうぼんやりと考えていた筆者でしたが、あるゲームとの出会いから、「なんとしてもメガドラを入手しなければ!」と意識が180度変化しました。その出来事について書いてみようと思います。ああ、あの頃は若かった……。
■『フェリオス』と出会い、「メガドラ」の道へ
マグミクス編集長が所有していた「メガドライブ」。写真は1989年頃に本人が撮影したもので、本体と一緒に『ヴァーミリオン』と『TATSUJIN』のパッケージも写っている
1990年前後は今とは比較にならないほど多くのゲームセンターが存在しており、若者たちが集っていました。
ある日、筆者がゲームセンター通いをしていた時に偶然出会ったのがナムコ(現:バンダイナムコエンターテイメント)の『フェリオス』というシューティングゲームです。
このゲームは主人公のアポロンを操り、囚われの女神アルテミスを救いに行く話なのですが、実はアルテミスがめっちゃエロかったのです。おまけに当時のゲームとしては珍しいボイス付きでアルテミスが「早く助けに来て……」と呼び掛けてくるのです。
ええ、そりゃハマりました。アルテミスのシーンを見るためだけにプレイしていたと言っても過言ではありません。
しかしゲームセンターでは同じゲームがいつまでも置かれているわけではありません。ある日、『フェリオス』も撤去されてしまいます。インターネットがない時代、姿を消したゲームを探すのはとても困難でした。
そんな時、『フェリオス』がメガドラに移植されていることを知りました。それからどうにかしてメガドラと移植版『フェリオス』を入手したのですが、正直に言うと、そんなにいい移植では無かった記憶があります。
しかし筆者がメガドラを入手したことにより、数少ないメガドラユーザーたちとの交流が始まり、色々なカセットを貸し借りするようになって人付き合いの輪が広がったのは思わぬ収穫でした。
筆者がメガドライブで熱中したゲームのひとつ、『武者アレスタ』。「メガドライブ ミニ」にも収録される (C) SEGA
『アドバンスド大戦略』や『武者アレスタ』『バーニングフォース』など、楽しく遊んだタイトルは数え切れません。メガドラは沢山の思い出をもらったハードとなりました。
日本ではファミコンやスーファミの影に隠れた感がありましたが、北米で『SEGA GENESIS』として発売されたメガドラは強烈な存在感を見せました。ブラジルでは息の長いハードとして活躍し続け、2017年には新型のメガドラが発売されています。
メガドライブはこれからも、世界各地の熱いファンたちを楽しませてくれることでしょう。
(早川清一朗)
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