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韓国CGロボットアニメ映画の「長い空白」、その直前に生まれた試行錯誤の2作品

マグミクス / 2019年9月24日 19時40分

韓国CGロボットアニメ映画の「長い空白」、その直前に生まれた試行錯誤の2作品

■1999年公開、フルCGで作られた『鉄人四天王』

 1980年代まで数多く製作されていた韓国の劇場ロボットアニメは、1990年代~00年代にめっきり数が減少しています。
 
『ウレメ』シリーズのような「実写(特撮)+アニメ」の作品が増えたことも一因ですし、『虹の戦記イリス』や『装甲救助部隊レストル』、『幻影闘士バストフレモン』『RUN=DIM』『さいころボット コンボック』といった日本でも放送された作品がいくつもありますが、ロボットアニメの活躍の場所が徐々にTVへと移っていったことも要因として挙げられます。

 他にも、『魂騎兵ラゼンカ』や『出動! ロボットV』、『サイキックス』といったTV向けロボットアニメが作られています。

 現在から見て興味深いのは、『RUN=DIM』や『サイキックス』『さいころボット コンボック』のように、2000年代の比較的早い時期に3DCGでTVシリーズが製作されていることです。現在の韓国では、国産ロボットアニメが繁栄しています。それらは『トボット』や『カーボット』など、3DCGで作られている作品がほとんどです。

 現在の韓国ロボットロボットアニメのブームは突然発生したわけではなく、その先駆けとなる作品があります。それが、ロボットアニメ映画『鉄人四天王』と『エリシウム』です。アニメづくりにおいて先鋭的なチャレンジがなされることが多い劇場アニメとして、この2作品を取り上げたいと思います。

『鉄人四天王』は1999年に公開されました。韓国初のフル3DCGロボットアニメです。仏教的なモチーフが散りばめられ、登場する「鉄人四天王」という4体のロボットはなんと『西遊記』の三蔵法師が残した設計図を基に建造された……という設定です。

 戦う相手も、三蔵法師が封印していた妖怪が、自らを半分ロボット化してよみがえったというものです。主人公たちは普段はカーレースチームとして活躍し、妖怪が襲ってきたときにはロボットに乗り込んで戦います。設定だけ聞くと、非常に面白そうに感じます。劇場公開後に全26話でTVシリーズも予定されていました。

 しかし、興行的には大失敗したといいます。TVシリーズの制作もなくなってしまいました。

■韓国初期のCGロボットアニメの出来栄えは?

『エリシウム』のDVDパッケージ

『鉄人四天王』興行失敗の理由は、その出来栄えにあったと思います。設定には力が入っていますが、作品の出来が悪いのです。3DCGは、非常にペラペラな印象で迫力がありません。脚本もあまり盛り上がらず、評価が低かったようです。

 一方、2003年に公開された3DCGアニメ映画『エリシウム』は、地球にやって来たエイリアン、エリシウムの指導者が地球を襲うなか、エリシウムと戦う4体のロボットの活躍を描きます。

 こちらも、観客動員は散々だったそうで、「合計4400人だった」という記録があります。そして、これら2作品を最後に、しばらくロボットアニメ映画は作られなくなります(TVアニメをもとに映画化された作品はありました)。

 酷評を受けた両作品には、「4体のロボットが地球の命運をかけて戦う3DCGアニメ」という共通点があります。しかも、主人公がレーサーという点でも共通しています(なぜこんなに被ってしまったのでしょうか?)。冒頭のレースシーンは、両作品とも迫力があり、見ごたえがあります。ここは素直に評価したい点です。おそらく、レースシーンは3DCGと相性がいいのでしょう。

 また、『エリシウム』の3DCGは同年の『ワンダフルデイズ』などとともに、一定のレベルに達していると感じます。CGで描かれるロボットのデザインも独特、異様な風体で、これはちょっと期待できるのではないかと思わされました。巨大ロボットが剣戟で戦うというのも、非常に面白いポイントです(ただ、ジャンプして剣で切りつける動作が繰り返されるなど、アクションは退屈な面もあります)。

 現在の韓国ロボットアニメの隆盛を考えると、両作品は試行錯誤のひとつだったのだと思えてきます。技術と試行錯誤の積み重ねが現在の韓国ロボットアニメに受け継がれていると思いながら見てみると、非常に興味深い作品です。

(かに三匹)

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