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サザエさんが「登場しない」? お茶の間をザワつかせた超異色エピソード

マグミクス / 2023年8月6日 18時50分

サザエさんが「登場しない」? お茶の間をザワつかせた超異色エピソード

■サザエが出てこない泣けるエピソード

 アニメ『サザエさん』は、1969年10月のスタート以来、放送年数が53年を超える長寿番組です。1回の放送につき3つのエピソードが放送されるため、これまで放送されたエピソードは8000話以上にのぼります。

 そのうち、主人公のサザエが登場しないエピソードは、たった2話だけです。はたして、どのようなお話だったのでしょうか。

 まず、1970年5月3日放送の「ハッピーバースデイ」をご紹介します。タイトル通り、誕生日をめぐるお話です。

 ワカメが学校で友達のミコちゃんの誕生日を祝いますが、ミコちゃんは「おめでたくなんかない」と走り去ってしまいました。帰宅後、間違えてミコちゃんのノートを持って帰ってきたことに気付いたワカメは、ミコちゃんの家まで返しに行こうとします。ミコちゃんの家には電話がなかったので、知らせることができなかったのです。

 誕生日の話を聞いたカツオは、ケーキを期待してついていきますが、ワカメは「お断りしときますけどね、ミコちゃんの家はあまりお金持ちじゃないのよ」と釘を刺します。ミコちゃんは土手の脇に建てられた古い木造アパートの六畳一間に、親子3人で住んでいました。昭和のアニメの貧乏描写はリアルです。

 ミコちゃんのお母さんは保険の外交の仕事に行っていて留守で、お父さんはタクシーの運転手でその日は帰ってこられません。「お仕事で忙しいから忘れちゃってるわ、きっと」と健気に言うミコちゃんを見て、義憤に駆られたカツオは自分たちだけでパーティをやろうとワカメに提案します。

 先立つもののないカツオとワカメは、廃物利用でミコちゃんの部屋を飾り立てることにしました。「お部屋がまるで夢の国みたい!」と大はしゃぎのミコちゃん。拾ってきてシーツをかけた穴だらけのソファに腰かけ、出がらしの薄い紅茶を飲んで、3人は笑い合います。

 ところが、別れ際にカツオが「子供の誕生日を忘れるなんてひどいな! きみのお父さんとお母さんは!」と憤ると、ミコちゃんは号泣してしまいました。ワカメは「ミコちゃんのパパやママだって一生懸命働いてるのよ! 悪口言うほうが間違ってるわよ!」と兄を叱り飛ばしますが、ミコちゃんは泣きやみません。

 そのとき、外からクラクションの音が聞こえました。ミコちゃんのお父さんとお母さんが帰ってきたのです。もちろん、ふたりともひとり娘の誕生日を忘れてはいませんでした。カツオとワカメもミコちゃんのお父さんのタクシーに乗って、一緒にドライブに出かけます。ケーキを食べながら全員で「ハッピーバースデイ」を合唱すると、周りの車はびっくり。きっとミコちゃんは、とても幸せそうな顔をしていたことでしょう。カツオとワカメが友達のために奮闘する、心温まるエピソードでした。

■カツオとおばあちゃんの大騒動?

初期のエピソードに関する情報も満載の『サザエさんヒストリーブック1969-2019』(扶桑社)

 続いては1972年3月26日放送の「ぼくにまかせて」です。いきなり、足をケガした裏のおばあちゃんを病院で世話するカツオの姿から始まります。カツオはなぜかそのままおばあちゃんの家に上がり込み、「ぼくにまかせてよ!」と世話を買って出るのです。

 実際は敷居につまずいてねんざしただけでしたが、近所ではタクシーにはねられて死んだというデマがかけめぐっており、おばあちゃんは激怒。誤解を解くために一計を案じたカツオは、おばあちゃんが死んでないことを証明するため、デマをばらまいた三河屋の三平さんと一緒に、おばあちゃんをハシゴやハンモックに乗せて病院まで運びます。

 やがてリハビリと称して家のなかで機関車のおもちゃに乗せたおばあちゃんをトイレに叩き込むなど、カツオの看病(?)はエスカレート。さらに翌朝は乳母車を借りてきて、恥ずかしがるおばあちゃんを病院まで連れていきます。

 病院の先生に献身ぶりを褒められたカツオですが、なぜか今度はおばあちゃんがニヤリとしました。カツオに派手な格好をさせて周囲の注意を引き、自分は乳母車のなかに隠れてしまうという方法を編み出したのです。このエピソードは、カツオが恥ずかしがる様子で終わります。なお、磯野家の人たちはカツオ以外、誰も出てきません。

 なぜカツオが裏のおばあちゃんの世話をしているのか、理由もきっかけもまったく語られませんが、どこかご隠居と八っつあんが登場する落語のような、おかしみを感じさせるエピソードでした。

 サザエが登場しないエピソードを振り返ってみると、このような異色のお話をまた見たいと思いますが、これまで8000話以上もサザエを演じ続けている加藤みどりさんの偉大さをあらためて実感できます。

(大山くまお)

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