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漫画家・武井宏之が語る『シャーマンキング』の今後 当初から「異端的な作品」だったのはシンプルな理由?

マグミクス / 2023年7月31日 18時10分

漫画家・武井宏之が語る『シャーマンキング』の今後 当初から「異端的な作品」だったのはシンプルな理由?

■「25周年」で続々と企画が進行 作者自ら語る「創造」の裏側

 武井宏之先生によるマンガ作品『SHAMAN KING』が、2023年6月30日で誕生25周年を迎えました。1998年に「週刊少年ジャンプ」で連載開始した同作品は、シャーマン(霊能力者)の能力を持つ麻倉葉(あさくらよう)が、仲間とともに世界のシャーマンの頂点を決める「シャーマンファイト」に挑むバトルファンタジーです。

 誕生から25年目を迎えた現在、島根県出雲市で『SHAMAN KING』の観光コラボ企画「メラ旅 in 神々の国 出雲」が始まるなど、大きな盛り上がりを見せていますが、ストーリーの面でも、「SHAMAN KING」シリーズは大きな山場を迎えています。

「少年マガジンエッジ」で連載中の最新作『SHAMAN KING THE SUPER STAR』では、武井宏之先生がこれまでさまざまな作品で描いてきたキャラクターがあたかも「オールスター」のように集結しつつあり、主人公たちと敵対する勢力のラスボス「資本主義の神」に挑んでいくというのです。多くのファンに愛されてきた「SHAMAN KING」のキャラクターたちが展開するバトルや人間模様、そして「世界の仕組みのあり方」を問い直すような壮大なテーマを、どのようなエンタメ作品としてまとめ上げていくのか、大きな注目が集まっています。

『SHAMAN KING』の独自連載企画を持つ「マグミクス」はこの機会に、武井宏之先生へのロングインタビューを実施。なんと、「25周年」の節目として仕込みが進んでいるという今後の企画についてもいち早く聞くことができました。

『SHAMAN KING』をはじめとする作品についての話題や、ものづくりにかける思いや苦労なども、「少年マガジンエッジ」編集担当のY田さんが同席するなかで赤裸々に語っていただいています。今後数回に分けて掲載されるロングインタビューをぜひご期待ください。

(取材・執筆:タシロハヤト/編集:マグミクス編集部)

■うれしくてつい描いちゃう「描き下ろしイラスト」

――今回は、編集担当であるY田さんにも同席いただきました。まずは、7月20日から始まっている「メラ旅in神々の国出雲」のイベントについてお聞かせください。出雲市でのイベントは2回目となりますが、今回注目すべき点はどこでしょうか?

「少年マガジンエッジ」編集部Y田(以下敬称略) 武井先生に描き下ろしていただいた、たくさんのイラストです。 2年前にも「シャーマンキング展  ゴーイング出雲」を開催しましたが、今回は連載25周年ということで、描き下ろしを先生にご相談したところ、当初お願いしていたよりもたくさんのイラストを見られることになりました。

 実は最初にご依頼したのは葉とハオだけだったのですが、「原稿上がったよ」とご連絡を受けて確認したら、知らないデータがたくさんありまして……。まず夏服のアンナとマタムネ、次のファイルには道蓮、ホロホロ、チョコラブ、リゼルグが描かれていて「5人の戦士」がそろい、最後にとても重いデータがあって、それがジャンヌ、ピリカ、たまおが巫女服を着たイラストだったんです。

 これは大変なことになるぞと覚悟しました。出雲の国の三巫女の絵は描き込みが凄すぎて、「先生、これ大変でしたよね?」と言ったら3日かかったとのことでした。ここまで先生がファンのために絵を用意してくださったのなら、コラボ先を当初想定より広げて皆さんに楽しんでいただかねばと考えていたところ、想定していた以上に出雲の方々のご協力が得られた形になり、忙しく準備を進めてきました。

――武井先生、それはまたどういう心境で全部そろえることにしたんですか?

武井先生(以下敬称略) 描けるチャンスなんだよね。見てもらえればわかるんだけど、みんなが着ている服とか、特に巫女服なんか普段のマンガでも出てこない。マンガのなかだと「どうしてこの服着てるんだ?」ってなるから、こういうきっかけがあるとうれしくてつい描いちゃう。最近……というか、京都タワーあたり? の展示からカラーもイチから全部ひとりでやってるんで、いろいろ試せるチャンスなんです。

Y田 前回の出雲でのイベントはTVアニメ『SHAMAN KING』とのコラボだった関係でアニメの絵か既存の絵を中心とした展開でしたが、今回は原作の「25周年」ということで、武井先生描き降ろしのイラストをより多く目にすることができるのです。

武井 ちなみに、10月にもそういうのが出るよ。それぞれのキャラクターが昔のコミックスの……まあ、「シャーマンらしさ」をテーマに何かやってるものが出ます。そのうちちゃんとお知らせが出ることでしょう(笑)

Y田 そうですね、続報をお待ちいただければ。

■自分が「変だな」と感じたことをマンガに描いていた

主人公の麻倉葉は「楽をして生きたい」という理由でシャーマンファイトに参加したが、戦いの終盤で深い真意が明らかになる。「SHAMAN KING KC完結版」34巻より (C)武井宏之/講談社

――それではここで、いわゆる「無印」と呼ばれる、最初の『SHAMAN KING』について振り返りたいと思います。連載当時、「戦いに勝って一番になること」よりも、自分の心のありようを大事にする主人公というのは珍しく、たいへん話題になりました。先生自身も以前、「異端的な作品だった」と振り返っています。しかし現代ではその考えはもう普通に受け入れられています。時代が作品に追いついて来た感もありますが、それについてどう考えていますか?

武井 それはね、たまたまです。別に予見したいわけでもないし、つねづね自分が「変だな」と感じていたことをマンガにしていただけで。ただ連載だって競争だってのに、その中で競争しないっていうね……描くのは大変でした。毎週、読者アンケートの戦いってのもヘンだし。だからまあ、今この時代の流れについては、やっと誰かがおかしいことに気づき始めて、ようやくまともになってきたんだと思ってます。

――先生が競争社会のなかで「変だ」と思って抗っていたことが、結果として時代の流れを先取りした……ということになるでしょうか。

武井 先取りはエンタメとして何も褒められたものじゃないし……望み通りになりつつあるのは良いことだけど、当時そのへんを上手く描けていたら、もっと『SHAMAN KING』を浸透させられたのに! とは思います。

Y田 先生はそう仰っていますが、担当編集として見ていると、先生はエンターテイナーとして超一流なので、読者(=お客様)を楽しませるにはどうすればいいか、自分の絵を一番格好良く見せるためにはどうすればいいかを常に考えていると感じています。

 それで『SHAMAN KING』シリーズは先生が徹底的なまでに「人間ってどんなものなのか?」っていうのをキャラクターに問いかけながら描いていて、いろんなキャラクターが「俺ってこういうキャラですよ」っていう答えを出している作品だと思うんです。ですから、シリーズを通して「これが正解です」というものがあるわけではなく、受け手によって全ての答えが変わってくる作品だと感じているんですが、その点はもう十分上手く描いているんではないかと思います。

――なるほど。武井先生は常々、「マンガはキャラだ」という話をしていましたが、きちんと人生を持たせるのはその最たるものですね。ところで先生、そのキャラたちのなかではハオがとても人気があるんですが、それについてはどう思われますか?

武井 ハオは自分にとってだいぶ正直なキャラに当たるかな……うん、一番正直なことを言ってると思う。今、さまざまなキャラがいるっていう話だったけど、本質的には自分の分身だから全部一緒。でもそのなかでハオはそういう存在です。

* * *

 『SHAMAN KING』に登場するキャラクターのなかで、多くのファンが愛してやまないのが、ラスボスとして序盤から登場する「ハオ」です。武井先生にとってハオは、「一番正直なことを言っている」キャラクターだということですが、それはどういうことなのか? ハオに込められた武井先生の想いや感情はどのような形で描かれたのか? 次回の記事では、武井先生自身の言葉から、ひと筋縄ではいかないラスボス「ハオ」の成り立ちを解き明かし、『SHAMAN KING』のさまざまな要素を深掘りしていきます。

※誕生25周年を迎えた『SHAMAN KING(シャーマンキング)』の観光キャンペーン「メラ旅 in 神々の国 出雲」が、7月20日(木)から8月31日(木)まで、主人公「麻倉葉」の故郷である島根県出雲市にて開催中。作中に登場した場所や市内の観光名所などを巡るスタンプラリーや、描き下ろしイラストによるコラボグッズの販売、地元飲食店などによるコラボフードやドリンクの提供、アニメ『SHAMAN KING』のセル画などを展示する設定資料展が開催されるほか、これらを巡る大阪発の高速バスツアーも実施されます。

(タシロハヤト)

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