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『ガンダム 水星の魔女』が女性主人公になった「必然の理由」 アムロとは担う役割が違う?

マグミクス / 2023年8月8日 6時10分

『ガンダム 水星の魔女』が女性主人公になった「必然の理由」 アムロとは担う役割が違う?

■歴代作品で「女性パイロット」は多かったが?

『機動戦士ガンダム』シリーズの主人公像は、約20年おきに大きく変化する。2022年から23年にかけて放送されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(以下、水星の魔女)を見終えた筆者はそのように感じました。

 女性パイロットであるスレッタ・マーキュリーを主軸に据え、相方のヒロインとしてタイプの異なるミオリネ・レンブランを配置したキャラクター構成は、近年流行している女性バディものとして理想的な組み合わせです。また、女性をしんどい目にあわせると海外からも多くの抗議が寄せられる実情に対応するためか、きつい局面を担当する裏主人公として、グエル・ジェタークを機能させたのは、脚本の妙と言えるでしょう。

 なぜ『水星の魔女』は女性主人公を採用したのか? という疑問をひもといていくと、歴代ガンダム作品の「主人公像」の変化が見えてきます。

 過去、「ガンダム」シリーズには多くの女性パイロットが登場しています。そもそも初代「ガンダム」の時点でセイラ・マスがガンダムやGファイターに登場しているのに加え、『機動戦士Zガンダム』ではフォウ・ムラサメやレコア・ロンド、ファ・ユイリィなど大勢が登場しており、数え上げればレギュラーの男性パイロットよりも多いくらいです。

 とはいえ、女性パイロットの存在が当たり前でありながら「ガンダム」シリーズの主人公は長く男性に固定されてきました。

 その理由として考えられるのは、男性主人公が「伝統」化していたからだと思われます。「ガンダム」ほど長く愛され続けているコンテンツには、根強いファンが存在しているものです。女性パイロットを主人公にするのは非常に挑戦的な試みであり、歴代の制作者はファンからの反発を受ける可能性も考えていたのではないでしょうか。

 しかし、おおもとをたどれば、1979年に放送が開始された『機動戦士ガンダム』はそれまで熱血系の主人公が多かったロボットアニメに、メカいじりが好きな根暗な少年であるアムロ・レイを主人公とした、一種の革命的な作品でもありました。

■女性主人公「スレッタ」は、『ガンダム』が生き延びるために必要?

『ガンダム』主人公のロランを立体化した、「エクセレントモデル RAHDX ガンダム・アーカイブス サイド1 RAHDX G.A.02 ロラン・セアック」(メガハウス)

 その後も『機動戦士Zガンダム』では、女性のような名前を持つカミーユ・ビダン、『機動戦士ガンダムZZ』では明るい少年であるジュドー・アーシタなど、さまざまな主人公が登場しましたが、初代「ガンダム」から20年後、1999年に放送された『∀(ターンエー)ガンダム』で決定的な変化が訪れます。
「∀」の主人公であるロラン・セアックは男性ではありますが、非常に中性的なイメージを持つキャラクターとして描写されたのです。実際に作中で女装もしていますが、その姿を見た男性キャラのグエン・サード・ラインフォードは彼を「ローラ」と呼び続け、惚れこむほどでした。

 それでもまだ「∀」の時期には「ガンダム」の主人公は男性でした。それから23年後、ようやく女性主人公が誕生たことになります。

 もちろん、背景として女性が社会のさまざまな地位で活躍するのがごく自然な状況となったこともあるでしょう。先述したように、近年では「女性バディもの」が人気を博しているのもこうした影響と思われます。
 ですが、『水星の魔女』の場合は、新たな機軸を打ち込むことにより、新たなファン層を開拓したいという強い気持ちがあったからではないでしょうか。

 筆者も含め、初代「ガンダム」のファン層は徐々に高齢化しています。過去40年「ガンダム」を支えてきた人間たちは、これから先の40年を支えることはできません。しかし、「ガンダム」は今や世界的な文化であり、失われてはならないものです。

 忘れられないためには、新たな作品を次々と生み出していく必要があります。作品数が少ない時代であれば、過去の作品に目を向けることもできましたが、日々、膨大な数の作品が生み出される現代では、新作を送り出さなければシリーズそのものが忘れ去られる可能性もあるのです。

 おそらくはこれから先、20年、30年と『ガンダム』が生き続けるために生み出された主人公の形のひとつが、スレッタ・マーキュリーなのでしょう。

 約20年という節目ごとにで大きく姿を変える主人公たちは、社会の構造変化に対応し、「ガンダム」を後世に伝える大きな役目を果たしているのかもしれません。

(早川清一朗)

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