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『機動戦士ガンダム』総人口の半分は、いつどこで死んだのか 「コロニー落とし」の瞬間ではなかった?

マグミクス / 2023年8月9日 6時10分

『機動戦士ガンダム』総人口の半分は、いつどこで死んだのか 「コロニー落とし」の瞬間ではなかった?

■「総人口の半分」は、どこで死んだのか

『機動戦士ガンダム』の冒頭で流れる、落下したコロニーが地表に激突する瞬間に生じた巨大な衝撃波が都市を飲み込み、すべてが光のなかに消えていくシーンは、小さな子供でも大量の死者が出たことを簡単に理解できる強烈なインパクトを持っていました。

 地球連邦とジオン公国の戦いはわずかひと月あまりの戦いで総人口の半数を死に至らしめたとナレーションで語られており、このコロニー落としにより多くの死者が出たと考えている方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。「総人口の半数」といわれる人口がいつ、どこで死んだことになっているのかを考えてみると、実は子供のころに想像していたのとは違った実態が見えてくるのです。

 まず、被害の規模から考えれば、億の単位で死者が出たのは間違いないでしょう。特に大型コロニーの落下がもたらした津波や気象変動は地球の環境に大きな悪影響をもたらし、1981年に発売された『ガンダムセンチュリー』では、落下による一次被害で3億2千万人の死傷者および行方不明者、二次被害で20億人以上の人的被害を出したとされています。コロニー落としの被害については資料によって異なることが多く、あくまで参考でしかありませんが、甚大な被害であることに代わりはありません。

 しかしここでおかしなことが分かります。宇宙世紀0079年の人口は110億人から120億人とされており、そのうち20億人が地球に、あとの80億人から90億人が宇宙に住んでいる状況なのです。仮にコロニー落としにより地球住まいの人間が10億人死んだとしても、人口の半数である55~60億人には到底足りません。

 つまり、大半は「コロニー落とし」ではなく宇宙で死んでいるのです。

『ガンダム』に登場するスペースコロニーはさまざまなタイプがありますが、ジオン公国のサイド3で使用される、採光ミラーを持たない「密閉型」コロニーは、1基あたり1000万人が収容可能とされています。他のサイドで使われる、ミラーを持つ「開放型」は最大収容人口3000万人とされていますが、『機動戦士ガンダムZZ』の主人公、ジュドー・アーシタの出身コロニーであるシャングリラは4000万人近い人々が暮らし始めたと1話冒頭のナレーションで語られています。コロニーによっては、限界を超えて人間を詰め込んでいる状況であることが分かります。

 これらのコロニーが大量に破壊されたために40億人以上の死者が出たのは明らかです。その犯人は誰なのか?

 答えは簡単、ジオン公国軍です。

■ジオンの攻撃により破壊されたコロニーの死者たち

コロニーへの毒ガス注入に関与したとされるシーマ・ガラハウを立体化した、「GGGシリーズ 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY シーマ・ガラハウ」(メガハウス)

 宇宙世紀0079年1月3日7時20分、ジオン公国は地球連邦に宣戦を布告し、地球連邦寄りのサイド1、サイド2、サイド4に奇襲攻撃をかけました。各サイドに駐屯する地球連邦艦隊が壊滅的な打撃を受けるなか、8時2分には核弾頭を装備したMS-06CザクIIの攻撃によりサイド1の13バンチコロニーが破壊され、ついに最初のコロニーが犠牲になってしまいます。その後も毒ガスと核弾頭によるジオンの攻撃は続けられ、わずか1週間の間に30億人ほどの死者が出てしまいました。

 このときサイド2のコロニー「アイランド・イフィッシュ」は、シーマ・ガラハウ率いる部隊により毒ガスを注入されて住人2000万人が虐殺され、後に地球連邦軍の拠点・ジャブローに対するコロニー落とし「ブリティッシュ作戦」に使用されました。シーマはガス攻撃による虐殺で深刻なトラウマを刻み込まれていましたが、実のところこの頃のジオン軍のザクIIは核弾頭を装備していたため、シーマと同じくらい人間を殺したパイロットは他にもいたと思われます。

 民間人に多大な犠牲者を出したブリティッシュ作戦でしたが、地球環境に大きな影響を与えたものの地球連邦軍の必死の抵抗により突入角度を変えられてしまい、ジャブローの破壊には至りませんでした。そこでジオン軍はコロニー落とし作戦を再度実行するために、サイド5へと侵攻し、速やかに制圧。コロニー落としの準備に取り掛かりました。しかし地球連邦軍もレビル中将率いる120隻の艦隊が到着し、凄惨な戦いが幕を開けます。

 最終的にジオン軍はコロニー落としを断念しましたが、地球連邦軍は艦艇の80パーセントを失い、レビル将軍も黒い三連星の働きにより捕虜となりました。むろん犠牲となったのは軍人だけではありません。多くのコロニーが戦闘の巻き添えとなって破壊され、膨大な犠牲者が出てしまいました。

 なお、その後、『機動戦士Zガンダム』の時代には、人口は100億人を回復したとされています。わずか7年でどのようにして増えたのかはわかりませんが、『ZZ』に登場した幻のコロニー「ムーンムーン」のような連絡が途絶えたコロニーとの連絡が回復し、死んだと思っていた人間が実は生きていたのではないかという説を唱える方もいるようです。何が真実なのか完全に定めるのは難しい話ではありますが、正解がない以上、いくらでも考えを深められるのも、『ガンダム』世界の特徴なのかもしれません。

(早川清一朗)

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