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あらゆる面で革命的! 初代『ガンダム』のリュウ・ホセイは「デブキャラ」の概念を変えた男

マグミクス / 2023年8月18日 6時10分

あらゆる面で革命的! 初代『ガンダム』のリュウ・ホセイは「デブキャラ」の概念を変えた男

■ホワイトベースの精神的支柱だったリュウ

 アニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)は、あらゆる面で革命的な作品でした。子ども向けだと思われていたロボットアニメというジャンルに、リアルなSF設定、善悪を超えた戦争の描写、多様で魅力的なキャラクターによる青春群像劇などの要素を取り入れたことで、多くのファンの熱狂を生み、後々のアニメに大きな影響を与えました。

 ここで注目したいのが、リュウ・ホセイです。恰幅のよい大柄な体型に野太い声、浅黒い肌。ルックスは一見コワモテですが、温厚で面倒見がよい18歳の青年です。モビルスーツのパイロット候補生としてホワイトベースに乗船してからは、コア・ファイターやガンタンクの操縦者としてガンダムとともに戦いました。

 特に重要だったのが、ホワイトベースのまとめ役としての役割です。艦長として指揮をとらなければいけなくなったブライトのサポートをしつつ、ブライトと同じ正規の軍人としての立場から、ガンダムのパイロットとして最前線で戦うアムロや、突然戦争に巻き込まれた形のカイ、ハヤトらを気遣ったり、叱咤したりしていました。

 反目するブライトとアムロの仲介役を買って出るなど、若くて未熟な乗組員たちの不平不満を受け止める緩衝材的な役割を担っており、ホワイトベースの精神的支柱とでもいうべき存在だったと言えるでしょう。

 リュウは第21話「激闘は憎しみ深く」でアムロとホワイトベースの絶体絶命のピンチに重傷の身で出撃し、壮絶な死を遂げます。リュウの死後、アムロ、ハヤトらの乗組員の悲しみは深く、とりわけ四つん這いになって号泣するブライトの姿は視聴者に衝撃を与えました。それほどまでにリュウは大きな存在だったのです。

■ロボットアニメの「デブキャラ」とリュウの違い

劇中でリュウ・ホセイの死とアムロたちの成長が描かれる、DVD「機動戦士ガンダムII 哀・戦士編」(バンダイビジュアル)

 ところで、リュウの見た目は明らかに「デブキャラ」でした。それまでのロボットアニメには、いわゆる「デブキャラ」枠があったのです。列挙すると以下のようになります。

『マジンガーZ』(72年)のボス、『ゲッターロボ』(74年)の巴武蔵、『勇者ライディーン』(75年)の荒磯ダン、『ゲッターロボG』(75年)の車弁慶、『超電磁マシーン ボルテスV』(77年)の大次郎、『惑星ロボ ダンガードA』(77年)の荒井伴太、『未来ロボ ダルタニアス』(79年)の畑田之助などです。

 アニメではありませんが、特撮『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)のキレンジャーも典型的なデブキャラでした。『ドラえもん』のジャイアンも国民的なデブキャラと言えると思います。

 彼らの共通の特徴としては、太った見た目はもちろんですが、「大食漢で力持ち」「ドジ」「主人公をライバル視」「ヒロインに片思い」「粗暴でトラブルメーカー」「デベソ」「コメディリリーフ」などがあります(全員にすべての要素があてはまるわけではありません)。アニメのなかの類型的なキャラクターのひとつとして「デブキャラ」があったわけです。

『ガンダム』のリュウは見た目こそ「デブキャラ」でしたが、上記の特徴にひとつもあてはまりません(力持ちだったかもしれませんが、特に怪力が強調される描写はありませんでした)。

 熱血漢の多かった主人公に内向的なアムロを置き、カイ、ハヤト、ブライト、セイラ、フラウ・ボゥ、ミライと、いずれも複雑な内面を持つキャラクターを登場させた『ガンダム』らしいキャラクターのひとりがリュウだったと言えるでしょう。なお、もともと富野由悠季監督(当時は喜幸)はリュウを黒人として考えていたそうです。

『ガンダム』の大ヒットの後、幼児向けアニメを除いて、いわゆる類型的な「デブキャラ」枠はなくなったように感じます。そこにいるのは単に太った見た目を持つキャラクターというだけであり、彼らは多様な特徴と内面を持たされるようになりました。『ガンダム』のリュウは「デブキャラ」の概念を変えた存在だったのです。

(大山くまお)

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