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若い世代は知らない? 危険で魅力的だった「ゲームセンター」 先生が止めても行きたかったワケ

マグミクス / 2023年8月21日 21時10分

若い世代は知らない? 危険で魅力的だった「ゲームセンター」 先生が止めても行きたかったワケ

■今は「アミューズメントパーク」、昔は「ゲームセンター」

 UFOキャッチャーやプリクラ、メダルゲームが並ぶ現代の「アミューズメントパーク」は子供から老人まで楽しめる街のレジャースポットです。しかし90年代のいわゆる「ゲーセン(ゲームセンター)」文化を知る世代からすると、その変貌ぶりに感嘆せざるを得ません。

 90年代のゲーセンは、いわば当時のアミューズメントパークであり、ゲーム好きの青年や少年たちの遊び場でした。その多くがタバコの煙が漂う薄暗い空間で、時には治安の悪さも問題となりました。この記事では、筆者の当時の経験を交えながら懐かしのゲーセン文化を振り返ります。

●対戦格闘ゲームの熱量が凄い!

 90年代のゲーセン文化において欠かせないのが対戦格闘ゲームです。アーケード版『ストリートファイターII』(通称:ストII)の大ヒットにより、多くの若者がゲーセンに集まり、日々熱戦を繰り広げていました。

 その興奮は頂点を超え、時にはゲームで負けた者が筐体に怒りをぶつけること(台パン)もありました。また、強力な技ばかりを使う行為が対戦相手の神経を逆なでし、店内でリアルファイト(喧嘩)が発生することも珍しくありませんでした。

 さらに、怖い先輩に金品を強奪される「カツアゲ」に遭遇する危険もあるため、常に自己防衛の意識が求められていました。ゲームプレイのスキルだけでなく、リアルに危険を避ける能力が試されるのが90年代のゲーセンでした。

●若者の社交場

 喧嘩やカツアゲのリスクに加え、当時のゲーセンにはタバコの煙が充満していました。喫煙者は大人だけではありません。喫煙者のなかに制服姿の中学生や高校生までもが混じっていました。当時は嫌煙文化が今ほど強くなく、タスポカードもありません。今よりもタバコの価格が手頃だったこともあり、学生でも簡単にタバコを手に入れることができたのです。

 ゲーセンには対戦ゲームを中心とした、荒っぽいコミュニケーションや未成年の喫煙といった非合法でアングラなカルチャーがありました。この「お行儀の悪さ」が、ある意味ゲーセンを若者たちの社交場として位置づけていたのです。

●いかつい店主

 ゲーセンは無法地帯のような面もありましたが、それなりの秩序が保たれていました。不思議なことに、栄えているゲーセンの店主はいかつい印象の人が多かったのです。決してアミューズメントパーク店員のような、きとんと制服をまとった風貌ではありません。

 今振り返ると筐体を設置すれば利益が出るという「水物商売」なビジネスモデルが「そのスジ」の人と関係していたのかもしれません。今となっては確かめる方法はありませんが、当時は景気も良かったので、1台の筐体から毎日かなりの売上があったはずです。

■学校は「ゲーセンに行くな」 ゲーム好きは無視?

クレーンゲームやプリクラなどが並ぶ一般的なアミューズメントパーク。明るく入りやすい。(画像:無料写真素材 東京デート)

 これらの特徴から、ゲーセンは一般的には悪所と認識されていました。学校ではゲーセンに行くことを禁じていましたが、ゲーム好きな生徒たちにとっては日常の一部。その規制はほとんど完全に無視されていました。

 友達がいて、その空間にいること自体に価値があると感じていたゲーマーたちにとって、ゲーセンは欠かせない存在でした。ゲーセンはゲーマーの青春の一部を形成する場所だった……。少し美化が過ぎて言いすぎでしょうか。

●リアルからオンラインへ

 個人的な感覚では、格闘ゲームのブームは『バーチャファイター2』(1995年)が登場した頃にピークを迎え、その後は少しずつ衰退しはじめました。これは、初代プレイステーション(1994年末)に代表される家庭用ゲーム機の進化が大きな影響を与えたと思われます。現在、当時のゲーセン文化を体現する店は全国的に数を減らし、希少な存在になりつつあります。

 かつて家庭用ゲーム機が今ほど高性能ではなかった時代には、高性能な基板を備えた最新のゲームを遊べて、その楽しさを仲間と分かち合えるゲームセンターは、危険があるとわかっていても純粋に「ゲーム好き」を引き付ける魅力を放っていました。

 しかし現在、ゲーム機自体の性能も圧倒的な進化を遂げ、ゲームセンターで遊べるゲームとの性能差はほとんどなくなりました。インターネットやSNSを通じてゲームの楽しさを共有する文化は世界中に広がり、オンラインで国境を越えてプレイされています。

 明るく清潔なアミューズメントパークを目の当たりにして、かつてのゲーセンのカオスな空間を懐かしく思うこともあります。かつてのゲーセン文化にあった熱量や活気は形を変え、デジタル空間に移行したのかもしれません。

(レトロ@長谷部 耕平)

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