時間返して！ショックすぎ！プレイヤーをビビらせたゲームキャラの「永久離脱」

■何年経っても忘れられない永久離脱イベント

　ジャンルを問わず、ビデオゲームではプレイヤー（主人公）の味方となる「キャラクター」が登場し、さまざまな形で支えてくれるシチュエーションがしばしばあります。RPGではパーティーの回復役を務める「魔法使い」などがおり、エンディングを目指すプレイヤーにとって非常に頼もしい存在です。

　しかし、何らかの理由でプレイヤーの前から、「行方をくらます」キャラクターも少なくありません。場合によってはストーリー上の都合でパーティーを離脱、そのままゲーム終了まで一切姿を見せないキャラクターも存在します。

　今回は大多数のプレイヤーに衝撃を与え、発売から年月が経った今もなお語り継がれている、ゲームキャラクターの「永久離脱イベント」を振り返ります。

●『ファイナルファンタジーVII』

　世界的な人気を誇るRPG「ファイナルファンタジー」シリーズにおいて、誕生から26年を迎えてもなお支持され続けているのが『ファイナルファンタジーVII』（以下、FFVII）です。プレイヤーはソルジャー元クラス1stを自称する傭兵「クラウド・ストライフ」（以下、クラウド）となり、人びとが住まう星そのものを破壊しようと企む「セフィロス」との戦いに身を投じていきます。

　巨大なバスターソードを勇猛果敢に振るうクラウドをはじめ、眉目秀麗ながらも戦闘に長けた女性「ティファ・ロックハート」（以下、ティファ）など、『FFVII』は全編を通して魅力的なキャラクターに事欠かない作品でした。しかしストーリー中盤、クラウドに寄り添って運命と向き合う覚悟を決めた女性キャラクター「エアリス・ゲインズブール」（以下、エアリス）に魔の手が忍び寄り、凶刃によって命を落とすというショッキングなイベントが発生します。

　ティファやそのほかの女性キャラクターと異なるものの、エアリスは明るい性格と端麗な容姿からプレイヤー人気も高かったキャラです。それだけに彼女の永久離脱イベントは凄まじい衝撃で、本作の発売当時、彼女の死を受け入れられない人々の間で、「死んだエアリスを蘇生できる」といった「裏技」が話題の的になったほどでした。

　また、これから発売予定（2024年初頭予定）の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』において、エアリスが『FFVII』（オリジナル版）と同様の結末をたどるのか、それともストーリー分岐によって生存した未来が描かれるのか……などなど、現在進行系でエアリスにまつわる議論は跡を絶ちません。

■親友だったのに！突然のパーティー離脱に困惑

●『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』

2000年8月26日発売『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』。小さな島に住む少年たちの好奇心が、やがて時空を越えた冒険の扉を開ける（スクウェア・エニックス）

「FF」と双璧をなす国民的RPG「ドラゴンクエスト」シリーズでも、「一度仲間にしたはずのキャラクターが途中でいなくなった」という例が見られます。その最たるものは、やはり『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』に登場する、「キーファ・グラン」（以下、キーファ）ではないでしょうか。一国の王子でありながらも気取ることなく庶民の主人公と仲を育み、その旺盛な好奇心が結果的に世界のあり方を大きく変える分岐点となりました。

「石板を探して過去の世界を訪れる」という名目のもと、主人公は同郷のキーファや「マリベル」と一緒に旅を続けます。その最中、キーファは前向きな兄貴分として主人公たちに接し、またモンスターとの戦闘では攻撃役として力を発揮することで、ストーリー序盤から中盤にかけて確かな存在感を放っていました。

　ところが彼もまた、さらに冒険が本格化するという手前で、プレイヤーのもとを去ってしまうのです。その理由は、「自分が本当に生きる道を見つけた」からでした。キーファはグランエスタード国の王族に生まれたのはいいものの、玉座を受け継ぐことは頭になく、胸のうちを熱くさせる何かを探し求めた結果、主人公らと一緒に世界へ旅立っています。しかし、道中で出会った女性の踊り子「ライラ」と出会い、彼女の部族が抱える問題と直面したのち、キーファは信念と恋心に突き動かされ、ライラと一生添い遂げることを決意したのです。

　ライラのため、過去の世界に留まることを選んだキーファですが、パーティーから貴重な戦力がいなくなったプレイヤーの大多数は当然困惑します。よかれと思って「ちからのたね」や「命のきのみ」をキーファに与えていた場合は、貴重なアイテム類が水泡に帰すという悲劇に見舞われました。

「ひょっとして返ってくるのでは？」という期待もむなしく、突然の別れを主人公たちに申し出たキーファは、コミュニティの間でつけられた「種泥棒」という不名誉なあだ名もあいまってか、「二度と戻ってこないキャラクター」の代表格として脳裏に焼き付いているプレイヤーも多いのではないでしょうか。

（龍田優貴）