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権利関係で撮り直し? 『帰ってきたウルトラマン』で「初代の帰還」がなくなった理由

マグミクス / 2023年9月3日 8時10分

権利関係で撮り直し? 『帰ってきたウルトラマン』で「初代の帰還」がなくなった理由

■初代ウルトラマンが帰ってくるはずがデザインを変えて撮り直し

 1971年放送の『帰ってきたウルトラマン』のウルトラマンは、現在は「ウルトラマンジャック」と呼ばれ、4人目のウルトラ兄弟として定着しています。しかし、放送開始直前までは、本作は「本当に初代ウルトラマンが帰ってくる設定」で撮影が進んでいました。ところがマーチャンダイジングの権利関係の問題によって、現在のジャックのデザインに変更され、改めて撮り直しがされていたのです。初代とは別人のウルトラマンということになりました。

『帰ってきたウルトラマン』の企画が誕生したのは、円谷プロダクションの創設者・円谷英二さんが1970年に亡くなる前のことです。企画書のタイトルは『続ウルトラマン』で、文字通りに『ウルトラマン』の続編として初代のウルトラマンが帰ってくる設定でした。企画書によると、ウルトラマンはそのままですが、3話で変身アイテムのベーターカプセルをハヤタがバン・ヒデキ隊員(『帰ってきたウルトラマン』の主人公の名は郷秀樹)という青年に渡す予定だったそうです。

 ようやく企画が通って撮影が開始されますが、デザインが初代のウルトラマンと全く同じだと版権営業ではまずいということで、ウルトラマンのデザインに赤く細いラインが追加されました。そして、そのデザインで撮影が進んでいたところ、途中で完全に初代ウルトラマンとは別人という設定に決定し、ハーフパンツ型から現在のブリーフ型のスーツに変更、撮り直しとなったのです。

 もともと初代ウルトラマンのつもりで製作されていた新マンに、名前があるわけがありません。「新マン」「帰りマン」などの便宜上の名前がつけられ、ジャックという名前がつけられたのは1984年の映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』からでした。

 紆余曲折の末、『帰ってきたウルトラマン』の放送が始まり、初回は26.4%と高視聴率でした。しかし、徐々に視聴率が下降します。ベーターカプセルやウルトラアイのアイテムで簡単に変身できる、初代『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』と違い、人間としてぎりぎりまで追い込まれないと変身できない設定が視聴者にあまり支持されなかったようです。

 そして、視聴率回復のカンフル剤として作られたのが、第18話「ウルトラセブン参上!」です。セブンからウルトラブレスレットを授けられ、「帰ってきたウルトラマン」が、パワーアップして強敵を粉砕するようになると、番組の視聴率は上がり、半年の予定が延長されて1年間の放送になりました。

 セブンの登場で視聴率がアップすることが分かると、子供たちが実家に帰省して視聴率が下がる年末時期の第38話「ウルトラの星 光る時」で、ついにセブンとともに初代ウルトラマンも登場します。38話は前後編の後編で、新マンを、(初代)ウルトラマンとウルトラセブンが助けに来るという展開になり、さらにハヤタを演じた黒部進さんや、モロボシ・ダンを演じた森次晃嗣さんも出演して、子供たちは歓喜しました。

 ちなみに、『帰ってきたウルトラマン』放送中の小学館の学習雑誌「小学二年生」1971年で、ゾフィーを長男として、初代ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック(当時は帰ってきたウルトラマン表記)の4人の「ウルトラ兄弟」という設定が発表されます。しかし、円谷プロから抗議があったそうで、その後、同じ小学館の「小学三年生」1971年11月号にて、彼らは仲はとてもいいが実際の兄弟ではないという設定になりました。

『ウルトラセブン』の後、本当に初代『ウルトラマン』が戻ってきていたら、どうなっていたのでしょうか。「ウルトラの星 光る時」のようなエピソードもなく、ウルトラ兄弟の設定もなく、今ほどたくさんウルトラマンがいる世界にはならなかったかもしれません。制作側の都合でうまれたジャックですが、今となっては『帰ってきたウルトラマン』の主人公が彼で正解だったと言えるでしょう。

(LUIS FIELD)

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