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謎多きガンダムの「武器商人」アナハイム・エレクトロニクス 最高性能のMSを敵にも味方にも提供

マグミクス / 2023年9月2日 6時10分

謎多きガンダムの「武器商人」アナハイム・エレクトロニクス 最高性能のMSを敵にも味方にも提供

■敵味方の両方にモビルスーツを売る「死の商人」

 アナハイム・エレクトロニクス(以下、AE)は、ガンダム作品の宇宙世紀を代表する巨大企業であり、敵対する勢力双方にモビルスーツを供給するため「死の商人」と揶揄される存在です。

 もともとは北米のアナハイムに本社を置く中規模家電メーカーで、『機動戦士ガンダムUC』に登場したサイアム・ビスト(入社時の姓はビストではありません)の入社をきっかけに急成長を遂げ、月面のグラナダに本社を構える巨大企業へと変貌しました。今回は謎めいた「死の商人」アナハイム・エレクトロニクスの歩みを振り返ります。

「スプーンから宇宙戦艦まで」をキャッチコピーとするほど取り扱う業務は幅広く、MSをはじめとする軍需製品以外にも民間向けの工業製品や娯楽・金融・出版・報道・飲食などを手がけ、月を事実上の支配下に収めています。

 そんなAEが初めて登場したのは1985年の『機動戦士Zガンダム』です。月に本社を置く企業のため、反スペースノイド組織であるティターンズに対しては強い警戒心を持ち、反地球連邦組織「エゥーゴ」の出資者としてリック・ディアスやネモといった主力モビルスーツや強襲用宇宙巡洋艦・アーガマなどを供給しています。

 スポンサーとしてエゥーゴの作戦に対する強い発言権を持っており、しばしば無謀な作戦を強いることもありました。なかでも「Z」の最序盤で展開された「ガンダムMK-II強奪作戦」はAEが地球連邦に対する技術的優位とモビルスーツ発注量を維持するために執り行われた作戦であり、利益に対する貪欲さが浮き彫りとなっています。

 このとき「ガンダムMK-II 強奪作戦」への関与を疑われたAEは、火消しのために本来エゥーゴのために開発したMSマラサイをティターンズに無償提供しました。結果として強いパイプを作り上げるしたたかさも見逃せません。失敗さえもAEにとっては後に利益を得る下準備に過ぎないのです。

 結局、『Z』で展開されたグリプス戦役終了後は、地球連邦軍のモビルスーツシェアをさらに拡大し、ほぼ独占といえる状況を作り上げました。

 敵対する複数の勢力に対し兵器を供給できる大きな理由として挙げられるのが、各地に存在している工場がそれぞれ「独立採算制でほぼ別会社」という組織体系を取っている点です。他の工場が何をしているのか把握できないため、仮にどこかの勢力に「うちの敵にモビルスーツを渡しているんだろう?」と咎められても、内心「多分あそこがやっているだろう」と思っても、知らぬ存ぜぬを通せるのです。

■技術にも貪欲、戦場をメカで支配する存在に

『ガンダムUC』では、企業体としてのアナハイム・エレクトロニクスについて新たな設定が明かされた。主人公のバナージもアナハイム工業専門学校の生徒として描かれた。画像は「機動戦士ガンダムUC 7」Blu-ray(バンダイビジュアル)

 利益だけではなく、技術にも貪欲なのがAEの特徴です。ガンダムMK-II強奪後は機体の解析を行い、ムーバブルフレームの設計を参考にカミーユ・ビダンの変形MS案のプロットを採用してZガンダムの開発にこぎつけています。

 時系列としては「Z」より前となる『機動戦士ガンダム 0083 STARDUST MEMORY』ではRX-78 ガンダムの純粋な発展型である試作1号機、核弾頭を装備した試作2号機に加え、モビルスーツをなかに組み込んだ大型機動兵器・試作3号機(デンドロビウム)が登場しています。いずれも優れた技術力で生み出された機体ではありますが、倫理観の欠如が見え隠れしている点はいかにもアナハイムです。

「シャアの反乱」の際にはロンド・ベルにνガンダムやジェガンを供給する傍ら、ネオ・ジオン側にはサザビー、ヤクト・ドーガ、ギラ・ドーガを開発するなど、軍需企業としてすでにやりたい放題の状況となっていることが見て取れます。とはいえ工場は異なっていても企業として規格は統一されているようで、νガンダムがギラ・ドーガのビーム・マシンガンを奪った際にも問題なく使用できていました。

『機動戦士ガンダムUC』では、アナハイム工業専門学校が登場し、人材教育に積極的なところを見せています。モビルスーツとしてはRX-0 ユニコーンガンダムやジェスタ、リゼルなど高性能モビルスーツを開発・生産し、地球連邦軍に提供する傍ら、「袖付き」にはシナンジュを強奪に見せかけて提供し、ギラ・ズールを製造。ネオジオングの開発・製造を支援するなど、積極的に関与しています。

 思えば、トリントン基地へのジオン残党の襲撃は、AEのモビルスーツと非AEのモビルスーツによる、ほぼ最後の一大決戦だったのでしょう。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、テロ組織であるマフティーに最新鋭のΞ(クスィー)ガンダム、地球連邦側には同じ五世代機ながら若干技術的に未成熟なペーネロペーを供給しています。アナハイムしか持ちえない技術を詰め込んだモビルスーツをテロ組織に渡したということは、仮にばれたとしても問題ないほどの政治力を獲得しているのでしょう。

 この世の春を謳歌していたアナハイムですが、宇宙世紀111年にサナリィとの小型モビルスーツ開発競争に敗れ、徐々に衰退を始めます。一次は持ち直したもののアナハイムによる独占を問題視した地球連邦の政策もあり、アナハイムの生産力は徐々に分散されていきました。

『機動戦士Vガンダム』の時代では明確に描写されることはほぼありませんでしたが、かつてのアナハイムやサナリィの工廠がモビルスーツの開発や製造に使用されたそうです。技術力と政治力、そして陰謀で宇宙世紀をひっかきまわし続けたAEは、縮小したとはいえしぶとく生き残っていたということでしょう。

※誤字を修正しました(9月2日12時35分)

(早川清一朗)

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