出番短い『北斗の拳』ファルコはもっと評価されるべき？ 「誠実さも強さも完璧」

■部下からの信頼も厚いファルコ

『北斗の拳』の「天帝編」で活躍したファルコは、誠実さと強さを併せ持つ戦士です。ファルコの誇り高い生き様や元斗皇拳の強さに関して、ネット上では「過小評価されているのでは」「もっと活躍が見たかった」との声も上がっていました。今回はファルコの印象的なシーンを振り返ります。

　天帝に仕える帝都の将軍・ファルコは、「金色のファルコ」という異名の持ち主で、髪型は金髪で角刈り、脚は義足とインパクトの強いビジュアルをしています。「元斗皇拳」の伝承者であり、最強の使い手として登場しました。

　ファルコの使う「元斗皇拳」は、かつて「北斗神拳」を凌駕するとも言われていた拳法です。その強さはケンシロウとの戦いで存分に発揮されており、互角に渡り合いました。体内に満ちた「闘気」を刃として相手の細胞を瞬時に絶つという恐ろしい拳法を駆使し、ケンシロウに胸の真ん中の秘孔「戈穴」を突かれても、秘孔の周囲の細胞を焼き尽くして死滅させる奥義で死を回避しました。

　強さだけでなく、ファルコの誠実な人柄や忠義を感じられるシーンは、天帝の血を引く双子の姉妹が誕生した場面が印象的です。「双星が育てば天は二つに割れる」との言い伝えに従い、ファルコは双子の妹の殺害を命じられました。

　しかしファルコは赤子を手にかけることはできないと思い、殺したことにして叔父夫婦に預けたのです。その叔父夫婦に育てられた赤子が、ケンシロウの仲間であるリンでした。そして、ファルコはもうひとりの天帝・ルイを守るために戦い続けます。

　そして双子の誕生から数年後、ファルコたちの暮らす村へラオウが軍を率いて侵攻してきました。ここでファルコは、今の自分の実力でラオウを倒すのは可能だが、自分も死ぬだろうと予見。ラオウが死ねば拳王軍は統率を失い、暴徒となり村人を襲うだろう……、と最悪の事態を想像したファルコはラオウに講和を求めます。

　ラオウはファルコの言い分を認めますが、ただでは引き下がれません。そこでファルコは自身の右足を切断し拳王軍に差し出しました。その覚悟に感服したラオウは、「その片足は一国に値する」と言います。それ以来、ファルコの右足には義足が取り付けられていました。

　数々の戦いで苦しみを背負いながらも涙ひとつ流さず任務をこなすファルコに対して、部下たちは絶対的な忠誠心を持ちます。そして、部下たちはハーン兄弟の兄による爆弾の攻撃の際に、身を挺してファルコを守りました。部下のひとりは死の直前、「将軍は我われのために涙を使い果たし　すでにその涙は枯れているのだ」と言い残し絶命します。

　ファルコが登場するのは短い期間ですが、その誠実さと強さは読者に大きなインパクトを与えました。ネット上では「ファルコは主人公になってもおかしくないぐらいの漢」「義足であの強さなんだから、本来はさらに上の実力者だよね」「部下の身の挺し方見る限りだと、人望だけなら作中ナンバーワンでしょ」「『天帝編』自体が1部のラオウや南斗の敵たちとの戦いと比べると影薄めで、ファルコが正当に評価されないのが悔しいなぁ」といった声が上がっています。

　ファルコはその後、ケンシロウと協力して天帝・ルイを幽閉していたジャコウを倒すも、リンが「修羅の国」にさらわれたために、満身創痍のなかで助けに向かいました。最後は異様に強い「名もなき修羅」と戦って、ケンシロウに一瞬だけ生を得る「刹活孔」を突いてもらい、勝利と引き換えに死亡します。この最期に関しては「ファルコ案外弱いのでは」「修羅が異常に強すぎ」などと言われていますが、ケンシロウが名もなき修羅に対し「おれと戦っていなければ　例え片足といえど　お前など　ファルコの敵ではない！！」と言っていたため、ケンシロウ戦で相当のダメージを負っていたものと思われます。

　その他、「乳兄弟のジャコウを殺せなかった理由も優しさが分かっていいよね」「ラオウに『その片足は一国に値する』って言われてるんだから、もう作中トップクラスの実力でしょ」「ルイに感謝されてようやく涙流す場面は泣いた」「修羅との戦いで砂地を凍らせるの、地味だけど超人すぎる」「最後に恋人・ミュウに子供出来たこと知って死ねてよかった」と、いろんなファルコ支持の声が出ています。

　2023年10月7日から始まる『北斗の拳』の40周年を記念した「北斗の拳 40 周年大原画展」では、400点以上の展示があるそうですが、ファルコの姿はどれくらい見られるのか、期待したいところです。

（マグミクス編集部）