『Starfield』主人公の声なぜ削った? 「バレット」役・岩崎ひろしさんの収録裏話も飛び出したローンチイベント
マグミクス / 2023年9月8日 8時31分
■岩崎ひろしさんが語る『Starfield』の収録現場とは
剣と魔法による戦いで壮大な物語を描いた『The Elder Scrolls』シリーズや、荒廃した近未来を舞台にさまざまな人間ドラマを綴る『Fallout』シリーズなど、数多くの作品でプレイヤーに魅力的な冒険を提供し続けてきたBethesda Game Studiosが、最新作『Starfield』を世に放ちました。
本作は、Xbox Series X|SおよびPCに向けて9月6日に発売されましたが、その翌日となる9月7日、東京タワー内にある「RED°TOKYO TOWER SKY STADIUM」にてローンチイベントを開催し、本作が持つ魅力や開発中の裏話などを綴りました。その模様を、こちらでお届けします。
●収録期間はなんと1年超え! 『Starfield』の収録事情
『Starfield』は、自分の宇宙船で広大な宇宙を駆け巡り、1000を超える惑星を探索できるRPGです。暗く照明が落とされたイベント会場は、深淵なる宇宙を連想させます。その中で唯一明るく輝くステージは、さながら光に満ちた惑星のようでした。
その惑星に姿を見せた最初の人物は、Bethesda Game Studiosでゲームディレクターを務めるトッド・ハワードさん。ビデオメッセージを通じて本作について語り、「皆さんも、良き旅を」と船出を見送る一言を添えます。
こうしてイベントの幕が上がり、MCの荒木美鈴さんと、本作に登場する「バレット」の声(日本語版)を担当した岩崎ひろしさんが登壇し、まずは収録に関するエピソードなどを岩崎さんが明かしました。
岩崎さんによれば、バレットの音声収録が始まったのは昨年の4月頃。それから幾度にもわたり、時には何ヶ月か期間が空きながらも、1年を超える長丁場で「バレット」を演じたとのこと。
大作ゲームの場合、音声収録が長期間に及ぶ場合も少なくありませんが、本作は日本語収録だけでも1年を超えており、元の英語版を含めるとその収録期間はさらに伸びるはず。音声ひとつを見ても、『Starfield』がどれほど力を入れて作られたのかが窺えます。
また、同じ意味のセリフでも英語と日本語では当然セリフの長さが変わりますが、ゲーム内の尺は決められているので、その枠に合わせて演じ切る点が大変だったなど、岩崎さんのさまざまな体験談が会場を大いに盛り上げます。
■なぜ主人公の声はないのか? 開発陣のこだわりも明らかに
『Starfield』では、「あなただけの物語」が味わえる @Bethesda_jpn
●主人公の声を削る英断は、「RPG」を楽しんでもらうため
岩崎さんの軽快なトークで場が暖まった後は、発売元のBethesda Softworksでコミュニケーション・マネージャーを担当しているレイナ・ボラノスさんが壇上に上がり、『Starfield』が持つ特徴と魅力に迫ります。
無数の惑星を探索できる膨大なスケール感、宇宙を自在に駆け巡る宇宙船を自分好みにカスタマイズ、多彩な武器が用意されている洗練された戦闘システム、探索から繋がる収集、そして建築の要素など、その奥深さを語るだけで時間があっという間に過ぎていきます。
その中でも重要で、本作を象徴する印象的なワードなのが「あなただけの物語」です。岩崎さん演じるバレットをはじめ、重要な人物だけでも数多く存在しますが、主人公はほかの誰でもないプレイヤー自身。その容姿も自由にカスタマイズでき、世界にたったひとつの見た目で、自分だけの冒険を楽しむことができます。
本作のジャンルである「RPG」の正式名称は「ロールプレイングゲーム(role playing game)」で、これは役割を演じるという遊び方を指す言葉です。あらかじめ決められた個性を持つ主人公もいますが、本作の場合はまったくのまっさらなので、プレイヤーである「あなた」と『Starfield』の主人公は限りなく近い存在と言っても過言ではありません。
その親和性をより高めるため、開発陣が行ったひとつの判断をボラノスさんが語ります。冒頭で触れた『Fallout』シリーズのひとつ『Fallout 4』では、主人公(男女とも)に声が用意され、日本語版では寸石和弘さんと有賀由樹子さんが担当しました。この『Fallout 4』のように、『Starfield』の主人公も声があるはずだったと明かします。
セリフがあり、それに合わせた収録も進んでいたそうですが、Bethesda Game Studiosが主人公の音声を削除するという決断を下し、製品版では主人公の声なしという仕様になりました。
声があることで特定のイメージが積まれてしまうと、「あなた」と『Starfield』の主人公にズレが生まれてしまうかもしれません。そうなると、「役割を演じる」ことから遠ざかってしまいます。それを危惧し、ロールプレイングの楽しさを重視した結果、『Starfield』の主人公に声をあてなかったと述べるボラノスさん。RPGを数多く手がけたBethesda Game Studiosならではの英断と言えるでしょう。
●今後の展開にも期待が集まる『Starfield』
『Starfield』の魅力を言葉で伝えた後は、ボラノスさんによるゲームプレイが披露されました。冒頭の場面を進め、岩崎さんが演じたバレットが登場すると、なんと演者本人がリアルタイムでアフレコをする一幕も。「生のバレットの声」がゲームプレイに合わせて飛び出すという、得難い体験が綴られるひとときとなりました。
そして締めくくりでは、アーリーアクセス含めてすでに多くの方が『Starfield』をプレイしている現状について述べ、その盛り上がりにボラノスさんが感謝の意を示します。また「新しいコンテンツも追加していきたいと思っています」と、今後の展開への期待を抱かせるコメントを残し、このイベントの幕が閉じました。
『Starfield』の冒険はまだ始まったばかり。このローンチイベントが、その門出を祝う形となりました。ここから先の旅路は、プレイヤーした方だけが知る領域。「新しいコンテンツ」の登場に期待を寄せつつ、多くの方が今も「あなただけの物語」を楽しんでいることでしょう。
(臥待)
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