最近の「アニメ作品のテンポ」は速くなった? 転換点は「2005年前後」 背景に製作形態の変化も
マグミクス / 2023年9月8日 12時0分
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■2001年と2006年のアニメを比べて「速度の違い」に驚く
20年以上アニメを見続けている熱心なファンの方は、近年のアニメのテンポが速くなっていると感じていませんか?
今年2023年春に、YouTubeのサンライズチャンネルで筆者が大好きなアニメ『スクライド』が最終回まで配信されました。当然、大喜びで再生し、カズマと劉鳳の熱いド付き合いを楽しませてもらったのですが、少々気になる点がありました。なんとなく「テンポが遅い」と感じたのです。
近年のアニメはテンポが高速化しており、昔のアニメを見るとテンポが遅いと思うことは確かに増えています。果たして、いつごろからアニメ作品のテンポは高速化したのでしょうか。
『スクライド』の監督は谷口悟朗氏で、『コードギアス 反逆のルルーシュ』を代表作に持つヒットメーカーです。『反逆のルルーシュ』はかなりテンポが良い作品だと記憶していたため比較対象として見直してみたのですが、『スクライド』と比べるとやはりテンポが速く、現在のアニメとほぼ同等のスピード感であるように思えました。
『スクライド』が放送されたのは2001年、『コードギアス』が放送されたのは2006年と、その間は5年しか離れていません。他にも複数の作品を確認しましたが、おおむね2005年あたりからテンポの高速化が顕著となっています。
なぜ、この時期にアニメのテンポが高速化したのでしょうか。まず第一の理由としては、1クール(四半期)アニメの増加が挙げられるでしょう。1980年代までは、TVアニメは2クール(半年)から4クール(1年)放送されることが多かったのです。1990年代に入り、徐々に1クールアニメが増え始め、1996年に放送された『エルフを狩るものたち』が深夜枠を開拓したことを皮切りに、勢いを増すことになりました。
1990年代後半に入ると『新世紀エヴァンゲリオン』の成功がきっかけで複数の企業が出資を行う「製作委員会方式」のアニメが定着していましたが、出資企業として出版社が参加することも多く、結果として原作つきアニメを1クールで制作するパターンが増加しています。原作の内容をできるだけ多くアニメのなかに詰め込むためにはテンポを速くする必要が生じるわけですが、この90年代後半の原作つきアニメはまだアニメオリジナル要素で構成されることも多く、テンポの加速は始まってはいたものの、まだ目立つ段階ではなかったようです。
■2005年あたりから高速化が顕著に?
2001に放送された格闘アクション作品『スクライド』は、2005年以降の作品と比べるとテンポがやや遅く感じる? (C)サンライズ
しかしながら2002年に大きく状況を変化させたと思われる作品が放送されました。ゲームブランド「Key」の原作をアニメ化した『KANON』です。『KANON』のゲームシナリオは1クールでアニメ化するのはほぼ不可能と思われる膨大な量でしたが、TVアニメ化の際は原作のエピソードを可能な限り織り込みながらストーリーをまとめ上げており、静かな雰囲気でありながら展開はスピーディーな作品となっていました。
なお、『KANON』は2006年に二度目のアニメ化が行われましたが、こちらは24話構成となっており、シナリオに対する適正なボリュームとなっていたように思えます。
さらに2005年にはやはり「Key」ブランドの作品である『AIR』が放送され、大ヒット作品となりました。多くの人の心をとらえた重厚で悲劇的な物語を1クールでアニメ化するのは厳しいと思われましたが、見事なテンポ感により芸術的なストーリー展開を見せてくれています。
このあたりからテンポを重視した作品が急速に増加しており、特にこの時期に一世を風靡した制作会社・シャフトからは『さよなら絶望先生』など数々の傑作が生みだされました。
その後は2009年の『化物語』や2012年の『ソードアート・オンライン』など原作の内容に忠実なアニメのヒットにより、原作つきアニメがさらに増加。原作の内容を可能な限り詰め込むために速いテンポの作品が増え、アニメオリジナル作品のテンポもあわせて加速していったと考えられます。
近年は2分程度のショートアニメも増加しており、より短い時間で楽しめるコンテンツが求められる傾向にあります。アニメはテンポが速くなるだけでなく、より短く、より情報密度の濃い形へと、さらなる変貌を遂げていくのかもしれません。
(早川清一朗)
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