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『ブラック・ジャック』が稼いだ総額は約274億円? 最高・最低・平均額を出すと?

マグミクス / 2023年9月9日 20時10分

『ブラック・ジャック』が稼いだ総額は約274億円? 最高・最低・平均額を出すと?

■「3億円いただきましょう」「手術代はおごってやるぜ」

 手塚治虫先生の代表作『ブラック・ジャック』が、1973年「週刊少年チャンピオン」で連載を開始してから50周年を迎えました。無免許の天才外科医が難解な手術に挑み奇跡を起こす同作は、現役の医師たちが最も影響を受けたマンガともされています。

『ブラック・ジャック』といえば、たびたび描かれる破格の手術料金で驚かされます。数千万円を提示する場合もあれば、話の流れで無料なんてこともたくさんありました。ちなみに、おおざっぱですが、作中の金額は、約1.8倍すると現在の価値になるとされます。

そこで疑問なのが、ブラック・ジャック(以下、B・J)はいったいいくら稼いだのか? という点です。『ブラック・ジャック』のお金について調べてみました。まず明確な「総請求額」、また「一度の仕事の最高額」「一度の仕事の最低額(無料を除く)」、そして「報酬を返した総額」も出してみます。さらに請求額が不明な手術はたくさんあるので、「手術の平均額」も出しました。

 本作の連載は229話で終了し、その後、不定期掲載もあって全242話ありますが、お蔵入りの話などもあることから、データの対象は秋田書店から現在出版されている全25巻・合計234話からとさせていただきます。

●請求最高額第1位「150億円」 第21巻・第107話「こっぱみじん」

 このエピソードでは、戦争中の独裁国の大統領夫人がB・Jに「命を狙われている夫のお抱え医師として一緒にいて欲しい」と依頼してきます。150億円は、B・J 本人も危険ということで、保険料も含めて請求した値段です。

 しかし、大統領は息子が投げた手榴弾で死亡。B・Jはその身体のあらゆる部位を切り取って、瀕死状態の子供40人に移植手術を行います。国民に嫌われた独裁者は、「こっぱみじん」になったけれど最後に人の役に立った…という話でした。

ちなみに、個人とのやりとりによる「手術料」としての最高額は「約14億円(5百万ドル※76年の1ドル約280円で換算)」で、ふたつのエピソードあります。

・第16巻146話「あるスターの死」

 依頼者はかつてのハリウッド大女優です。全身整形手術を施して若かりし頃の美しさを手に入れ、再び映画に出演したい……この願いを叶えることになります。女優は映画出演が決まったあと交通事故で亡くなりますが、B・Jは彼女の遺体を骨だけにして、手術料金だった5百万ドルを費やして骨に肉付け特殊加工を施し、映画出演の夢を叶えます。実質もうけはありません。

・第19巻177話「失われた青春」

 石油王ゼット・リンクが、1年後に元の顔に戻す条件を付けて整形手術を依頼します。彼は「青春を取り戻したい」と話していましたが、別人になった本当の理由は、昔の恋人を死なせた男を殺す復讐のためでした。ゼットはまんまと殺害に成功しますが、誤算で元の会社に戻ることができず結局警察に銃殺されます。金額は明言されていませんが、最後のコマに「5,000,000」と書かれた紙があるので、これを5百万ドルとしました。

●最低請求額1位「30円」 第15巻・第142話「がめつい同士」

 B・J は3年前に手術をした高利貸しの男に、そのときの料金5千万円を払えと迫ります。男は工場を営む家族に地所と工場の登記簿を渡すよう迫って8千万円を徴収し、B・Jはようやく報酬を受け取りました。何もかも失った家族3人は車に飛び込み、一家心中をはかりますが、その場に居合わせたB・Jが応急処置を施し一命を取り留めます。

 その時、病院側から診察費を請求してほしいと言われて出した金額が「30円」です。さらに一家から奪った登記簿も「予防薬」だと言ってすべて返すのでした。

■B・Jが患者たちに出した総請求額は?

連載50周年記念「手塚治虫 ブラック・ジャック展」東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)。開催期間10月6日(金)?11月6日(月) (C)Tezuka Productions

 そして、全25巻を読んで出したB・Jの手術の総請求額は「274億2,350万6,068円以上」でした。ドル、マルク、リラなどの外国のお金は当時のおおよその日本円に換算しています。第16巻・第151話「通り魔」の1千万ドル(28億円)も含めましたが、これは事故の原因を作った機関に向けての請求額で、B・Jだけではなく被害に遭った人びとへの慰謝料も含んだ額です。

 また、金額は分からないけれども、おそらく大金が入るであろうという話はたくさんあります。事故や公害にまつわる治療費の請求を、「加害者側からいただく」とだけ言葉にするケースや、財閥などが札束をドンと出して「高額」とだけ分かるケースもあります。ちなみに、報酬が発生しているけれど金額は不明の手術は約50回ありました。

 現金のみならず、金額に換算できない報酬もたくさんあります。ラーメン1杯、寿司、土地、馬、真珠や金貨、ダイヤの原石、絵画、風車、錦鯉など、さらに「ピノコ」も患者の体内にいたバラバラの身体を報酬として頂戴したものです。

●もしかしたら326億9700万円!?

 作品中に描かれたシーンから、約250人、約260回の手術を数えたので、総請求額で割ると1回の手術料金の平均額は「1億547万5023円」になります。不明の手術費50回分のおおよその額と、総請求額と合計すれば「約326億9700万円」になります。このくらいの金額を受け取っている可能性があるということです。

 しかし、B・Jは治療を無料にしたり、一度受け取ったお金を返したり、施設に送ったりという人情に厚い一面もあります。返金・投資などに回した総額は、「20億3012万5800円以上」でした。第1話「医者はどこだ」では大実業家の息子の身代わりに整形手術をした男を逃がして、バックのなかに入れた大金をその男に渡していますが、金額が分かりません。このように金額が分からないものは換算しませんでした。

 まとめるとB・Jは……

・少なくとも、274億2350万6068円を請求している。実際の収入は不明
・最大請求額は150億円、最低額は30円
・もしかすると約326億9700万円請求している
・受けたお金から、少なくとも20億3012万5800円は手放している

 以上、あくまで個人による集計データですが、このような結果を出しました。しかし、なぜB・Jは相手が金持ちでも貧乏でも、高額な手術料を請求するのでしょうか?

 第7巻・第65話「おばあちゃん」で、こんなシーンがあります。老いた母が脳溢血で倒れ、その息子に……B・Jは「助かる見込みは少ない。助かったら3千万円、払えるかね?」と言うのです。息子がかっと目を見開き、「一生かかっても、どんなことをしても払います! きっと払いますとも!」と言うと、B・Jは「それをききたかった」とこぼすのでした。

 読者それぞれで解釈は違うかもしれませんが、B・Jの高額な請求は、どれだけお金を積んででも助けたいという気はあるのか!? という「命の大切さ」を計っているように思います。それは幼い頃に瀕死の重傷を負うも、奇跡的に生きることのできたB・Jだからこそできるのもしれません。

『ブラック・ジャック』を読むと、ふと思うのです。もしも、大切な人が病気になり、たとえば、「手術料1億円で助かるがどうする?」と言われたら……。あなたならどうしますか?

(石原久稔)

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