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「声優交代」は昭和アニメでは珍しくなかった? レジェンド声優にまつわる制作裏話

マグミクス / 2023年9月13日 6時10分

「声優交代」は昭和アニメでは珍しくなかった? レジェンド声優にまつわる制作裏話

■名作SFアニメにまつわる「声優交代」

 ちまたでは、人気TVアニメーションのキャラクターの声優さんが交代する云々という話が話題になっているようですが、昔から声優交代は決して珍しいことではありません。

 体調等の具合はもちろんのこと、スケジュールの関係や所属事務所の都合もあれば、制作側の都合のこともあります。まして、前作から期間が空いていれば、互いの状況が変わるのはごく自然なことですよね。

 たとえば『機動戦士ガンダム』の後半に登場したスレッガー・ロウは、TV本放送時は、あの『ターミネーター』でも有名なハリウッドの大スター、アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えを担当しているベテラン声優、玄田哲章さんが演じていました。『シティーハンター』の海坊主や『魔神英雄伝ワタル』の龍神丸などでご記憶の方も多いでしょうね。懐かしいところでは、昨今、実写化で話題の『超電磁マシーン ボルテスV』で、主人公の剛三兄弟のひとり、剛大次郎役も玄田さんです。

 劇場版でスレッガーを演じたのは、『ルパン三世』の石川五右ェ門や『宇宙海賊キャプテンハーロック』のハーロック役などで多くのファンを持つ、故・井上真樹夫さんです。井上真樹夫さんは『勇者ライディーン』で、ニヒルな神宮寺力役を演じておられ、当時アフレコ現場で幾度かお話したことがあります。焼き鳥の「ねぎま」の「ねぎ」がお好きで、ネギばかり食べてしまわれるとか、記憶力が優れていらっしゃるのでしょう。私などのことも覚えていてくださり、収録中のスタジオ内からでも、目が合うといつもにっこりと微笑んでくださる優しい方でした。

 また、上記の『ハーロック』が、まだパイロット版(本制作に入る前の試験映像)では、『忍風カムイ外伝』のカムイ役などをなさった中田浩二さんがハーロックを演じていらっしゃいます。中田さんと言えば、ドラマでも数多く活躍されているレジェンド俳優さんですが、昭和半ば生まれの自分などには、イギリスの特撮マリオネットSFドラマ『キャプテンスカーレット』(日本放映は1968年)のイケメン主人公、スカーレットの印象も強く、個人的には、あのカッコよく渋い声での「中田版ハーロック」も是非見たかったと今でも思います。

■ 古代進が変身するとデスラーに?

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 今ではレジェンド声優とされている方が、同時に様々な役柄を演じている、なんてことも珍しくありません。

 ずっと『ガンダム』のアムロを演じ続けている古谷徹さんは、『聖闘士聖矢』の主人公、聖矢をガンダム作品と同時期に演じておられますし、そこには、ブライト役の鈴置洋孝さんも、そしてララァの潘恵子さんもメインキャラクターとして出演していますよね。

『機動戦士Vガンダム』のカテジナ・ルース役で話題となった渡辺久美子さんは、90年代初頭に大人気を得た『鎧伝サムライトルーパー』に登場した純少年や『勇者エクスカイザー』の主人公、コウタ少年を担当していますが、あの『ケロロ軍曹』であることも忘れてはなりません。

 また、現在も大人気の『ワンピース』の主人公、ルフィ役の田中真弓さんには、私がサンライズ時代に文芸設定制作を担当した『巨神ゴーグ』(1984年)の主人公、田神悠宇を演じていただきましたが、実は、同じサンライズで1982年制作のTVスペシャル作品『白い牙 ホワイトファング物語』の主人公、ミトサァ少年を演っていただき、この時の印象から上記の『ゴーグ』をお願いしたと、監督の安彦良和さんから伺っています。

 また『魔神英雄伝ワタル』の主人公ワタルも田中さんですが、これは『ワタル』のプロデューサーが『ゴーグ』と同じ、後にサンライズの社長も務める吉井孝幸さんだったことに起因します。

 私の中で印象深いのは、多分、半分以上の日本人が知っているだろうベテラン俳優の伊武雅刀さんとのエピソードでしょうか。

 アニメでは『宇宙戦艦ヤマト』の敵ガミラス星のデスラー総統役が有名ですが、実は、1979年に制作放映された、アニメ版ウルトラマン『ザ☆ウルトラマン』で、主人公・ヒカリ超一郎隊員に乗り移っているウルトラマン・ジョーニアスを演じています (当時は伊武雅之名) 。

 実は、私はこの作品の製作現場にいたのですが、ちょうどその20年後に、とあるイベントで伊武さんとご一緒したことがあります。その折りに「ザ☆ウルトラマンではお世話になりました」と申し上げたら、伊武さんは「えっ? 俺、ウルトラマンなんてやったっけ?」ときょとん。手を十字に組み「ジョワッ……なんていったことあったっけ!?」とすっかり忘れられていました。

 思えば、伊武さんは、ヤマト、ウルトラマン、ゴジラなど、とにかく日本を代表する作品に次々と出演されています。こうなったら『ドラゴンボール』に『ワンピース』、そして『ガンダム』(他にもいっぱいありますが)と、人気作を網羅していただきたいものです。

 ちなみに、この『ザ☆ウルトラマン』の主人公ヒカリ役は、故・富山敬さん。つまり『ヤマト』の古代進が変身するとデスラーになるという、ある意味では「ものすごい」?作品なので、機会があったら是非ご覧くださいね。

【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。

(風間洋(河原よしえ))

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