1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. 面白ネタ

アミバ様はなぜ愛されるのか 作中屈指のゲスは『北斗』人気を下支えする功労者?

マグミクス / 2023年9月20日 7時10分

アミバ様はなぜ愛されるのか 作中屈指のゲスは『北斗』人気を下支えする功労者?

■作中屈指のゲスキャラは、なぜか愛されキャラ

 2023年で連載開始から40周年を迎えた『北斗の拳』は、原作に武論尊先生、作画は原哲夫先生という強力なタッグによって生み出され、大ヒットを記録した作品です。マンガだけでなくアニメ、ゲームをはじめ、マルチにメディア展開され、リアルタイム世代ではないファンからも支持されています。

 そんな『北斗の拳』の大きな魅力のひとつとして、「魅力的な悪役」の存在が挙げられます。2007年には、ケンシロウの宿敵だったラオウの葬儀が現実世界で執り行われ、約3000人のファンが駆けつけたことも有名です。

 その『北斗の拳』の登場キャラのなかで、いわゆる「ゲスな悪役」ながら、なぜか愛され続けているキャラのひとりが「アミバ」です。サウザーやラオウとは比べものにならない小物にもかかわらず、スピンオフ作品が作られるほどの存在感を示したアミバについて深掘りしてみましょう。

 アミバには「おれは天才だ!!」という、有名なセリフがあります。ケンシロウの義兄であるトキになりすまし、残酷な人体実験を繰り返していたアミバが自画自賛するときに使った言葉ですが、これはあながち大言壮語ともいえない部分がありました。

 もともと南斗聖拳を学んでいたアミバは、独学で北斗神拳を身につけることに成功しています。付け焼き刃ではありましたが、その技を見たケンシロウに本物のトキだと思いこませたのは、紛れもない事実です。

■自称「天才」は本当だった?

『北斗の拳』全編を通しケンシロウ最大の危機ともいわれる、アミバとの戦闘におけるひとコマ

 さらに最初にケンシロウと対峙したときも、アミバはケンシロウの拳を見事にさばいていました。ケンシロウがまだ本気を出していなかったとはいえ、そのへんのザコキャラとは一線を画す実力を持っていたと思われます。

 そのアミバは自分のことを「どんな拳法でもだれよりも早く修得することができる天才」と評していました。独自に北斗神拳を身につけたという事実からも、すべてがウソではなかったはずです。

 そのうえトキになりきるために自らの顔を変え、背中の傷までしっかり再現していた用意周到さは、只者とは思えません。

 そんな優れた才能と狡猾さを持ち合わせながら、行動や発言は小物の悪役そのもので、ゲスな方向に突き抜けていたのが、アミバのなんとも残念なところです。

 とくにトキの名を貶めようと思ったきっかけが、村人に雑な治療を施したのをトキにとがめられ、軽く顔を叩かれただけ、というのは、あまりにも些細な理由すぎて呆れてしまいます。

■ゲスな悪役なのに愛される理由とは?

アミバのセリフで広く知られるもののひとつ

『北斗の拳』の愛される悪役には、ケンシロウの好敵手だったパターンと、言動がゲスすぎて存在感を示したパターンの2種類があると考えられます。アミバは、間違いなく後者にあたることでしょう。

 アミバは、プライドの高さによる身勝手な理由から悪の道をひた走り、まったく悪びれずに非道のかぎりを尽くしました。そして最期の瞬間まで一瞬たりとも改心することなく、「うわらば」という、いかにも小物っぽい断末魔であっけなく散ったのは、逆の意味でインパクトがありました。

 最初から最後まで、ゲスな小物臭の漂う悪役を貫き通したアミバの生き様は、ある種のすがすがしさすら感じられます。そこまで突き抜けた存在だったからこそ憎めず、今も読者の心に残っているのかもしれません。

アミバの最期。このあと「うわらば」

 そのアミバを主人公にしたスピンオフ作品『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説』(コアミックス)が2023年9月現在、連載中です。ケンシロウに敗北して死亡したアミバが、異世界で目覚めるという異色の内容で話題を呼んでいます。

 同作の原作を担当している錦ソクラ氏にアミバについて聞いたところ、「アミバは常に自信満々ですが、実際は他人から認められたくて必死です。誰しもが持っている承認欲求と、見栄や虚勢や嫉妬などの人間臭い感情に溢れているところが、ファンから愛され続けている理由だと思います。『俺は天才だ〜!!』と豪語する姿は、特別な存在になりたくて必死に自分にそう言い聞かせている魂の叫びだと思うと、彼を愛さずにはいられないのです」とのことでした。

 昭和に完結したマンガのゲスすぎる悪役が、令和の時代にスピンオフ作品の主人公として活躍していることからも、傑作『北斗の拳』の人気ぶりとキャラクターの層の厚さを実感させられますね。

(C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983

(大那イブキ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください