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苦渋の決断で「制作中止」? 世に出ることが叶わず惜しまれる幻のアニメ

マグミクス / 2023年9月14日 18時10分

苦渋の決断で「制作中止」? 世に出ることが叶わず惜しまれる幻のアニメ

■天才・今敏監督の幻のアニメ

 日本のアニメ業界は日進月歩の進歩を続けており、毎年多数の傑作を生みだしています。しかし、毎年数多くつくられるアニメのなかには、企画が立ち上げられたものの、途中で制作が中断されてしまった作品もあるのです。今回は、志半ばで制作中止となった幻のアニメを振り返りましょう。

 アニメーション監督の今敏さんといえば、2023年9月15日より期間限定で4Kリマスター版が再上映される『パーフェクトブルー』や、『パプリカ』など数々の名作アニメ映画を生み出した人物として知られています。手掛けた作品はどれも個性的で、クリストファー・ノーランやダーレン・アロノフスキーをはじめとする名だたる映画監督に影響を与えるほどでした。

 そんな今監督が2010年8月に亡くなる直前まで制作を進めていた作品が、『夢みる機械』とよばれるアニメーション映画です。制作中に今監督が膵臓がんで亡くなってしまったため、当初『夢みる機械』のプロジェクトは、アニメスタジオ「マッドハウス」の丸山正雄さんが主導となって動かしていました。

 一説によれば全1500カットのうち600カットは完成していたと言われていますが、あるとき丸山さんは「誰が今敏の才能を引き継ぐことができるか」という難しい問題に直面します。そして「誰が引き継いでも、最後はその人の作品になってしまう」「『夢みる機械』は今敏の作品であるべき」との思いから、制作を断念する運びとなりました。

 今監督に敬意を込めた形での制作中止だったとはいえ、いまだに『夢みる機械』を切望する声は多く、ネット上でも「無理とはわかっていながらも『夢みる機械』が上映される日を永遠に待ってる」「確かに『夢みる機械』は今監督の作品であるべき。でもいつか観れることを諦めきれない」といった声が相次いでいます。

『夢みる機械』とはまた少し事情が違いますが、『タビと道づれ』も残念ながらアニメ化が実現しなかった作品のひとつです。同作はマッグガーデンの「月刊コミックブレイド」で連載されていたマンガ家・たなかのか先生によるファンタジー作品で、かねてよりファンのあいだでアニメ化が熱望されていました。

 2009年6月に声優・釘宮理恵さん主演のドラマCDが発売された際には、それこそ多くのファンがこのままアニメ化まで行ってくれることを期待したのではないでしょうか。

 実はオリジナルTVアニメ『リコリス・リコイル』などで知られる足立慎吾監督も、同作のアニメ化を切望するファンのひとりでした。過去には自分で企画書を作り、会社に提出したこともあったそうです。その結果、会社もアニメ化に向けていろいろと動いてくれたものの、結局制作費が集まらず、実現まであと一歩というところで流れてしまいました。

 ちなみに当時の足立監督は何とかアニメ化させたい気持ちから、わざわざ伊勢神宮にまで行って願掛けをしてきたとのことです。ここまでの出来事は、2011年9月に足立監督自身がX(旧Twitter)で明かしていました。

 これだけ熱意のある人が制作に携われば、きっと素晴らしい作品になっていたに違いありません。

■制作会社の経営難でお蔵入りに

一度制作中止になるものの、別会社の手によって再度アニメ化! 画像は『マルドゥック・スクランブル 圧縮【期間限定版】』Blu-ray(キングレコード)

 原作・河島正先生、作画・あだちとか先生による『アライブ 最終進化的少年』は、2003年から2010年まで「月刊少年マガジン」で連載されていた作品です。2008年にはアニメスタジオ「GONZO」(当時は『ゴンゾ』)の制作で、TVアニメ化が発表されましたが、「GONZO」がマザーズ上場廃止になったことで2010年に製作中止となりました。

 廃止理由は、同社が2期連続で債務超過を解消できなかったことが、上場廃止基準に抵触したためです。「GONZO」といえば『フルメタル・パニック!』や『ぼくらの』『GANTZ』など、数多くの人気アニメを手がけてきた制作会社ですが、かねてからスタッフの独立やDVDの販売不振といった経営難に陥っていました。同作が制作中止になった背景には、上場廃止に加えてそうした事情もあったと考えられます。

 同じく「GONZO」が制作予定だった作品に、小説家・冲方丁さんの代表作『マルドゥック・スクランブル』があります。同作のOVAアニメ化が発表されたのは2005年2月のことでした。しかしその1年後の2006年12月に、突如として制作中止が発表されたのです。

 制作中止の理由は未だ不明のままですが、ファンの間では「GONZO」が当時赤字に転落したことに加え、3DCGを多用するための製作コストや資金が回収できないと判断されたことが原因だったのではないかとささやかれています。

 ちなみに『マルドゥック・スクランブル』は「GONZO」制作のアニメ化は叶いませんでしたが、のちにアニメ制作会社「GoHands」の手によって全3部作からなる完全映画化を果たしました。

 経営難や資金不足など、制作中止に至った理由は実にさまざまです。もし何事もなく完成していたら、後世に残る名作が生まれていたかもしれませんね。

(ハララ書房)

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