苦境から奇跡の人気再燃! 「原点回帰」で復活を遂げた3名のジャンプ作家
マグミクス / 2023年9月27日 20時10分
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■原点回帰を果たした漫画家たち
次々と新しい漫画家がデビューするマンガ界において、ヒット作を手にするのはほんの一握りです。さらに一度ヒット作を生み出したとしても、その後の作品が人気を得るとも限りません。
『鉄腕アトム』や『ブラックジャック』などで知られる手塚治虫先生をはじめ、複数の大ヒット作を世に送り出した漫画家もいますが、やはり限られています。そういった巨匠は、ある意味奇跡のような存在と言えるのではないでしょうか。
それでも一度ヒット作に恵まれたなら多くのファンの記憶に残ります。ましてや惜しまれつつ終わった作品の続きが読めるとなれば、喜ぶファンは少なくないはずです。
そこで今回は、かつて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で大ヒット作を生み出したのち、新たな作品に挑戦するも前作を上回ることができず、原点回帰を果たして復活を遂げた漫画家を紹介します。
2023年にアニメの新シリーズの制作が発表された『キン肉マン』の作者・ゆでたまご氏は、その代表格と言えるのではないでしょうか。
『キン肉マン』は1979年から1987年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載された人気マンガです。その『キン肉マン』の連載終了後、ゆでたまご氏は、『ゆうれい小僧がやってきた!』や『SCRAP三太夫』などの新連載に挑戦しますが、残念ながら『キン肉マン』を超えるようなヒット作には恵まれませんでした。
ゆでたまご氏は、「キン肉マン 40周年ポータルサイト」のインタビューで、『キン肉マン』の連載終了後、あえて違うジャンルの作品を手がけた背景について語っています。
ゆでたまご・嶋田氏は、「あらゆるジャンルの作品を描けてこそ一流という考えが大勢を占めてました」と当時のことを語り、ゆでたまご・中井氏はギャグマンガの大家・赤塚不二夫先生が少女マンガ『ひみつのアッコちゃん』を描いたことに「そういうのも描ける懐の深さに憧れはありました」と述べられていました。
しかし結果的に『キン肉マン』を超える作品が生まれず、苦悩の日々を過ごしながら辿り着いた答えは、「格闘技のマンガだけは誰にも負けない」という思いだったそうです。
こうしてゆでたまご先生は一度原点に立ち戻り、1998年から「週刊プレイボーイ」にて『キン肉マンII世』を連載開始、さらに『II世』のあとは再び『キン肉マン』の連載を再開させて脚光を浴びています。
■サッカーマンガの巨匠も原点回帰
世界中にファンを抱えるサッカーマンガの金字塔『キャプテン翼』 「キャプテン翼 DVD-BOX」(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
ゆでたまご氏と同時期に「週刊少年ジャンプ」で活躍していたサッカーマンガ界の巨匠・高橋陽一氏も、原点回帰した漫画家のひとりと言えます。
代表作の『キャプテン翼』は1981年から1988年まで連載された作品で、高橋氏といえばサッカーマンガを思い浮かべる人も多いはずです。
しかし『キャプテン翼』の連載終了後、テニスを題材にした『翔の伝説』、野球を題材にした『エース!』、ボクシングを題材にした『CHIBI』など、その他のスポーツマンガにも挑戦しています。しかし打ち切りを経験するなど、『キャプテン翼』のような絶大な人気を得るには至りませんでした。
そんな高橋氏は、1994年から『キャプテン翼 ワールドユース編』をスタートさせると、当時のJリーグ人気も相まって人気が再燃します。その後『キャプテン翼』はサブタイトルを変えながら、現在に至るまで連載が続いています。
2020年にTBSラジオ「嶌信彦 人生百景 志の人たち」に出演された高橋氏は、「連載打ち切りで、助けてくれたのは翼くんたちだった」と語られており、『キャプテン翼』に対する思いが伝わってきます。
男同士の熱い戦いを描いたヒット作『魁!!男塾』の作者・宮下あきら氏も、原点回帰を果たした漫画家です。
「週刊少年ジャンプ」にて、1985年から1991年まで連載された『魁!!男塾』の終了後、宮下氏は『瑪羅門の家族』や『世紀末博狼伝サガ』などを描きますが、『魁!!男塾』を超えるようなヒットには至っていません。
しかし、その後『魁!!男塾』と世界観を共有する『天より高く』をスタートさせると、2001年からは『魁!!男塾』の正式な続編である『曉!!男塾 青年よ、大死を抱け』の連載を開始しました。
ほかにもスピンオフ作『天下無双 江田島平八伝』が大きな反響を呼び、2022年には『曉!!男塾』が舞台化されるなど、『男塾』をきっかけに人気が再燃しています。
ゆでたまご氏、高橋陽一氏、宮下あきら氏は、「週刊少年ジャンプ」での大ヒットを経験したのち、いずれも次回作で苦しんだ経験をお持ちです。単に人気作を再開させただけでなく、その後の厳しい苦難を乗り越えたからこそ、現在の復活に至ったのはないでしょうか。
(LUIS FIELD)
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