『北斗の拳』ジャギが現世に転生したら「金持ち格闘家」？ 実力、トーク力、有利な材料しかない！

■現実世界にいたら間違いなく「最強」の男？

　マンガ『北斗の拳』では、拳法を極めた強キャラだけでなく、中途半端な実力のせいで散っていったキャラも多く見られます。「ジャギ」も後者のひとりで、ケンシロウに対する憎悪をつのらせあの手この手で陥れようとしましたが、最期は呆気なくケンシロウによって抹殺されてしまいました。

　いわゆる中ボスの代表といってもいいジャギは、しかしながらよくよく考えてみると、強さのスペックはそこまで悪くないのかもしれません。徒党を組む雑魚キャラより遥かに強いのは確実で、もし現代の日本に実在した場合、私たちの想像以上の活躍を見せる可能性もあるのではないでしょうか。

そもそもジャギのポテンシャルって？

　ジャギは北斗4兄弟の三男で、北斗神拳伝承者争いにおいて最終メンバーの4人に残っています。他のケンシロウやトキ、ラオウが強すぎたためにジャギは霞んで見えますが、最終メンバーまで残っていることから、一般人やそこそこの拳法家よりも優れた実力を持っていることでしょう。

　またムック本「北斗の拳 SPECIAL ALL ABOUT THE MAN」（集英社、1986年）のQ&Aにはジャギについて「ジャギが破壊者になったのは兄弟間の競争に敗れたからで、もともとは拳法の才能豊かな人物だった」旨の回答がありました。決して登場機会の多いキャラではないながらも、ケンシロウと戦った際には北斗神拳と対をなす南斗聖拳を繰り出しており、ポテンシャルが高いこともうかがえます。

　さらに建物内の大きな柱をいとも簡単に持ち上げてケンシロウに叩きつけているため、相当な腕力であることも間違いありません。以上のことから、現実世界にジャギが実在していたら、日本どころか世界中の格闘家が集まっても太刀打ちできないでしょう。もちろん、ケンシロウやラオウなどの転生がなければというお話ですが。

「トラッシュトーク」に向いている

　強さだけでいえばケンシロウやラオウ、トキたちのほうが格上であることは間違いありませんが、しかし現実の格闘家には、多くの人から注目される「華」が必要です。最近は話題性を高めるため、記者会見やSNSなどで「トラッシュトーク」という、対戦相手を挑発、罵倒する選手が増えています。

　ケンシロウやトキは、無駄口は叩かなさそうですし、ラオウは自らのことを「拳王」と名乗り、相手のことを「うぬ」という独特な表現で喋るスタイルで、そこに「華」があるかという点では若干、疑問の余地が残るでしょう。その点ジャギは、「どんな手を使おうが勝てばいい！　それがすべてだ!!」「これがきさまの地獄行きの旅の始まりだあ～～～!!」「おれの名をいってみろ!!」などインパクト抜群なセリフが多く見られます。

　またジャギは、シンをそそのかしてケンシロウからユリアを奪わせるほど話術に長けており、ケンシロウになりすまして周りを信じ込ませる演技力も備え、そしてそれらを抜かりなく実行するための情報収集能力も十分といえるでしょう。SNS上でのトラッシュトークをすれば、煽りスキルはもちろん、対戦相手のプライベート情報や異性関係のネタを掴んでは暴露して注目を集めそうです。

■ジャギが格闘家デビューすれば余裕で億万長者か!?

リアルな立体的デザインを実現した「プレミアムマスターライン 北斗の拳 ジャギ ボーナス版」　(C）1983 Buronson & Tetsuo Hara／COAMIX Approved No.GA-019

ジャギの体重は世界で注目度が高い階級のライトヘビー、ヘビー級相当

　高額報酬のプロスポーツというと、野球やサッカーもさることながら、格闘技は世界トップレベルになると、その稼ぎは巨額になります。例えば2019年に米経済誌「フォーブス」で公開された「過去10年間で最も稼いだアスリート番付」によると、ボクシング界のレジェンドで、史上初の無敗で5階級制覇をしたフロイド・メイウェザーは約1000億円を稼いだそうです。サッカー界のスーパースターであるクリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシを余裕でしのぐ額です。

　また近年はMMA（総合格闘技）の注目度も上がり、世界最高峰のMMA団体といわれるUFCではコナー・マクレガーという、2013年から現在まで所属している選手が一気に名を馳せ、PPV（ペイパービュー、1本ごと課金される映像配信サービス）の売上貢献やファイトマネーなどで年収が約200億円ともいわれています。

　ジャギほどの実力があれば、格闘技の種目は問わないとして、なかでも大事なのは契約体重です。ジャギの身長は179cm、体重は89kgなので、体重的にボクシングとMMAともに重めの階級であるライトヘビーからヘビー級あたりで戦え、そしてジャギの場合は海外で人気が高いヘビー級を選んだ方が得策でしょう。遥かに体重が重たい相手でも、ジャギであれば気にする問題ではないはずです。

ファイトスタイル

『北斗の拳』の命をかけた戦いが常である舞台とは違い、格闘技はあくまでも競技です。相手を死に至らしめてしまえば場合によって反則になったり、契約を打ち切られたりするため、完全に破壊しない程度にKOしなければいけませんし、毎回対戦相手の体を破壊すれば、対戦を拒否されカードが組めなくなる（興行が打てなくなる）可能性も考えられます。

　こういった背景からジャギであれば、殺さない程度に相手を倒すために、内部を破壊するタイプの北斗神拳を封じるかもしれません。シンプルに腕力だけでも余裕で勝てるでしょうが、楽をするために南斗聖拳で相手の額を深めにカットし、出血によるドクターストップという勝ち方を選ぶことも可能です。

　ただ対戦相手の気に入らない態度に激昂し、うっかり殺してしまった場合、恐らく格闘技界から永久追放され、故意と判断されたら逮捕されてしまいます。そうなると試合ができなくなり、稼げなくなったジャギはテロ集団を作って国家転覆を狙うかもしれません。

　悪さをしない限り、ジャギは勝利を重ね、無敗記録を更新し続け、メイウェザーやマクレガーよりも大金を稼ぐファイターになることでしょう。ケンシロウという憎む相手がいないため、意外と穏やかな人生を過ごすかもしれません。

　ちなみにジャギと比較されがちなアミバも「実在したら金持ち格闘家なっていた説」に当てはまりそうですが、北斗神拳を試す実験で多くの人を犠牲にした結果、逮捕されてしまいそうなので、ジャギの方が同説には向いたキャラだと判断しました。

（LUIS FIELD）